指示し過ぎると、部下は受け身になる
先回りをしない
「部下が自発的ではなくて困っている」
そのような相談を、それこそ耳にタコができるくらい聞いてきた。
その度に、僕は「マネージャーがそれを助長している場合もあるんだけどなあ…」と思うことになる。
もちろん、多くの部下は元来受け身な生き物である。
「指示待ち」というか、「受動的」というか、とにかくこちらからのアクションに対してリアクションをすることが仕事だと思っている人ばかりだ。
それは間違いない。
ただ、もしそれを問題だと捉えていて、少しでも改善したいと思うのであれば、マネージャーもそのように行動しなければならない。
そして僕が思うマネージャーがすべき行動は、「指示をし過ぎない」ということである。
これは「先回りをしない」ということでもあるし、「待つ」ということでもある。
今日はそんな受動的な部下を改善する為の方法論について書いていこうと思う。
それでは始めていこう。
いつ部下に声を掛けるか?
あなたが部下にある仕事を依頼し、依頼した期限の日の朝を迎えました(因みに、あなたは部下が退社するまでに提出してくれればいいと期限を切っています)。
が、まだ特に部下からの報告はありません。
さて、あなたはどうしますか? また、いつ頃声を掛けますか?
- 朝の時点で声を掛ける。
- 昼の時点で声を掛ける。
- 夕方になったら声を掛ける。
- 声を掛けない。
- 既に前日までには声を掛けている。
さて、皆さんはどれでしょうか?
もちろん、その仕事にかかる時間や、部下のタイプ、その部下の今までの仕事の履行状況などが関係してくるので、一概にどれが正解なのか言えないのは事実だろう。
ただ、ここで意識して頂きたいのは、できるだけ「待つ」というイメージである。
それも自分が思っているよりも、少し長めに待つというイメージである。
以下、もう少し詳しく書いていく。
期日管理
マネージャーにはたくさんの期日がある。
自分の仕事もそうであるし、部下に依頼した仕事もそうだ。
たくさんの期日管理をしながら、仕事を進めていく必要があるのがマネージャー業である。
そこにはまた、たくさんの関係者がいる。
社内もそうであるし、社外にも当然たくさんいる。
だから、期日云々はもちろんのこと、できるだけ早めに終わらせていきたい、期日を管理しなければならないものを減らしていきたい、というのが基本的な考え方であると思う。
僕自身も、自分の仕事であれば、「依頼を受けた瞬間にその作業に取り掛かり、終わらせてしまう」というスタンスで仕事をしている。
そうすることで、総タスク量を減らすことができるからだ。
早めの期日管=優秀?
ただ、部下の中にはそのような仕事のやり方を取らない者も多い。
大体の部下が、期日ギリギリか、少し前くらいに出してくる、そんな感じである。
となると、マネージャーとしては、部下に早めに牽制をしておくことが、自分の仕事のペースを乱さない為にも重要になってくる訳だ。
そして、このような仕事のやり方は、マネージャーとしても優秀であるようにも思える。
部下の仕事を早めかつ正確にコントロールし、それぞれの期日を的確に守りながら仕事をこなしていくこと。
素晴らしい上司のように思える。
ただ、これをやり過ぎると、部下は受動的になる。
何なら、期日管理すら自分でやらなくなる。
というのも、上司がそれを代行してくれるはずだ、とか、言われてからやろう、という風に考えるのが部下という生き物であるからだ。
声を掛けない
先程の問いに戻る。
僕は本当に重要な期日である仕事以外はできるだけ声を掛けないようにしている(先程の選択肢であれば、Dを選ぶ)。
そして、実際に期限を超過するのであれば、それで良いとも思っている。
もちろん、上司や社内外の関係者、その他諸々の人に怒られることにはなる。
でも、それすらも部下の自発性を涵養する為には大事な過程だと思っている。
一度任せたものは、部下の仕事であるから
これは表現が難しいのであるが、僕が仕事を依頼するということは、そのような覚悟を持ったものであるということを部下にも認識してもらう、ことが大事なのだと僕は考えている。
プロとしての依頼というか。
一度頼んだものは、責任を持ってやって欲しい、というか。
もちろん、僕は僕で部下の期日管理はしっかりとやっている。
牽制しようと思えばいくらでもできる状態である、というのが大前提ではある。
その上で敢えて僕が言わないということを、部下も理解していることが大事だと思うのだ。
マネージャーに覚悟がなければ、部下が自発的になることはない
部下を自発的にする為には、マネージャーの覚悟が必要である。
そして、先回りして指示することが優しさではないし、ましてやそれが保身目的であるのであれば、冗談にもならない。
そのように考えること。
それが部下を自発的にすることに繋がっていく。
敢えて言わないこと
最後になぜ部下が僕が期日管理ができているのかどうかがわかるのかを書いて本稿を終えようと思う(「期日経過するまで僕が言わないなら、期日管理をしているかどうかなんてわからないじゃないか!」という反論が予想されるので…)。
僕はスケジュールを部下に公開している。
そこに仕事の期日(部下へ依頼したものも含めて)を入れるようにしている。
もちろん、それは僕自身の管理の為ではある。
ただ、たぶん何の気なしに、部下だってそれを見ているはずなのだ。
嫌らしい話であるが、そうやって僕が期日を忘れていないことを明示しているのである。
言うか言わないか。
その判断の積み重ねの先に、部下の自発性は涵養されるのだ。
それではまた。
いい仕事をしましょう。
あとがき
部下を大人として扱うか、子供として扱うか。
後者のように扱うマネージャーが大半です。
そして、その人たちが「部下に自発性がない」と嘆いている状況。
コメディか?
僕はそのように感じてしまいます。
子供扱いすれば、部下は子供のように振舞います。
そんな当たり前のことを理解できないマネージャーが多過ぎます。
責任を取りたくないだけだろう?
大人として扱えば、敬意を持って接すれば、人は応えてくれるものです。
部下を信頼していきましょう。