飛び込むこと・泥に塗れること
前に進めるか否か
マネージャーになってから何年も経つが、何かコトが起きた時に、マネージャーの中にも前に進める人と立ち止まってしまう人がいることがわかってきた。
そして、この口ぶりからもわかるように、前に進める人でなくてはマネージャーは務まらないということも。
残念ながら、誰もが万能ではない。
今までのキャリアの中で経験したことがないような事態がある日急に訪れ、その判断を瞬間的に求められることがある。
そんな時に、わからないなりに前に進めるか、そこで恥をかきながらも仕事ができるか、が結構大きな分かれ目なのではないかと僕は考えている。
そしてそこに求められる資質は、そんなに大層なものではない。
「ちょっとした勇気」のようなものに過ぎない。
でも、そのようなちょっとした勇気を持つ人はそんなに多くもないのだな、ということも最近はわかってきたような気がしている。
今日はそんな話である。
ちょっとした勇気さえあれば、後はどうにかなる
マネージャーに求められるものはたくさんある。
以前、「マネージャー スキル」で検索した時の話を書いたけれど、確かにマネージャーには様々なスキルが必要であると、実際に仕事をしていても思う。
でも、根本的なところというか、本質的なところは一緒で、それがあれば他の部分は多少劣っていてもどうにかなる、とも最近は考えている。
それが冒頭にも書いた「ちょっとした勇気」である。
何か体が硬直してしまうような事態が起きた時、その場でフリーズしてしまうのではなく、よくわからないながらも、えいっと前に進めること。
そのような胆力。
それがマネージャーには必要である。
というか、それさえあれば、後はまあどうにかなる、とすら僕は思っている。
そして、そのような「ちょっとした勇気」は、もしかしたら先天的なものかもしれず、後天的に(スキルとして)身に付けることは難しいのかもしれない、とも思っている。
楽観性と自信
不測の事態というのは、誰にとっても怖いものだ。
そこで何かが起こるかわからないから(不・測)、誰だって一旦は固まってしまうものではある。
でも、その硬直を自ら解いて、「まあよくわからないけれど、飛び込むしかないよね」という考え方ができる人がマネージャーには適している。
「なるようになるさ」というか、「飛び込んでから考えればいいや」というようなある種の楽観性。
そして、自分に対する自信のようなもの。
それを兼ね備えた人が、マネジメント業務を続けていくことができるのだ。
常識を基に判断を下す
これは「汎用的なスキルの高度化」と言えなくもない。
それぞれの仕事にはそれぞれの専門性があり、そのレベルに到達することは当然ながら不可能ではあるのだけれど、元となる考え方はそこまで大きく変わらないことが多い。
そして、そのようなある種の「一般常識」を基に、専門領域に関する判断を下すことは、難しいものではあるが、不可能ではない。
慌てふためく部下の話を冷静に聞き取り、どこが要点なのかを押さえ、自分が持っている常識に基づきながら判断をすること。
それができれば、自分のキャリアとは畑違いのチームであっても、それなりにマネジメントという仕事をすることはできるのである。
未知の仕事への態度
そこから先は、「未知の業務への態度」みたいなものが関係してくると僕は考えている。
多くの人は「既知の仕事」しかやろうとしない。
未知の仕事に対しては、「それは私の仕事ではない」と言い切り、そこで立ち止まってしまう。
でも、(当たり前の話であるが)全てが既知の仕事であるはずがない。
未知の仕事はそれなりの頻度で訪れる。
その際に、わからないなりに勘所を抑えられるか、わからないままでも部下と共に仕事ができるか、というのがマネージャーとしての分かれ目になるような気がしている。
そして、マネージャーという仕事をそれなりに長くしてきた僕が思うのは、「まあ、やってみれば何とかなる」ということである。
大抵の仕事はできるもの
大風呂敷を広げるようで恐縮であるが、世の中の仕事の大半は、それも僕のようなサラリーマンがやるようなレベルの仕事の大半は、(一見高いようには見えるが)そこまで専門性が高くなく、誰がやってもできないことはない、と僕は考えている。
「私がいなくてはこのチームは回らない」というのは(残念ながら)幻想である。
だから、ある程度の常識と、今までの仕事の経験があれば、時間はかかるかもしれないし、方々にそれなりにご迷惑は掛けるかもしれないけれど、その場を乗り切ることはそこまで難しいことではない。
なので、繰り返しにはなるが、やっぱりそこに飛び込めるかどうかが重要なのである。
不格好でもとにかく泳ぐ
渦の中に入ってしまえば、あとはなるようにしかならない。
巻き込まれながら、流されながら、必死に泳ぐしかない。
その際に、「泳ぎ方が違う」とか「マニュアルを読んでみてからやろう」とかそんなことは言っていられない。
今までの知識と経験で何とかカバーするしかない。
ただ、そのような(修羅場の)繰り返しをしていると、部下からの信頼もそれなりに得られるようになるし、日常業務においても、良い循環になっていくはずだ。
ドキッとするような場面こそ、一歩踏み出す勇気を。
それではまた。
いい仕事をしましょう。
あとがき
「瞬発力は普段からの鍛錬によってしか生み出せない」
そんなことを思う時があります。
ただ、万能性を付与することは不可能であるので、どちらかというと基礎体力というか、基礎筋力のようなものを高めておくことが、マネージャーにとっては大事なことのように感じます。
マネージャーの仕事は「判断」です。
でも、わからない領域における「判断」はとても難しい。
だからこそ、一般常識(もしくは理性のようなもの)を鍛えておくことが大事です。
真っ当に仕事をしていきましょう。