誰だって話を聴いてもらいたいもの
1on1の効用
「何だかんだ言って、みんな話を聴いてもらいたい」
そんなことを思う時がある。
僕は毎週部下との1on1を続けている。
そんな僕はある時、同僚のマネージャーから「毎週話すことなんてあります?」と聞かれることになった。
確かに。
話すことなんてない。
毎回面談に臨む際にはノープランである。
そして実際に、大して話が盛り上がらずに終わる週だってある。
それでも僕は1on1を続けている。
それは何故か?
単純に「誰もが話を聴いてもらいたいと思っている」と感じるからである。
でも、それをやってくれる人は殆どいない。
じゃあ、やるしかなくね?
そんな感じなのである。
今日はそんな1on1の効用みたいなことを書いていこうと思っている。
それでは始めていこう。
飲み会の激減
何かの記事で、「飲みニケーションは不要だ!」みたいなことが書いてあったので興味深く読んだ。
確かに、コロナ以降、会社におけるいわゆる飲み会というものは減ったように思う。
それも公式なというか、色々な役職の人が入り乱れて大人数で開催する、というようなものは殆ど絶滅したと言ってもいいくらい少なくなったように思う。
その方向性に僕は大賛成である。
はっきり言って、僕も飲み会は苦手だから。
それも上司(や偉い人)がたくさんいるような飲み会はできるだけ参加したくないと思うクチである。
ただ、そのような考え方は、僕らの世代ではそこまで普遍的ではなかったというか、口に出してはいけないような話であったようにも思う。
飲み会があるのは当たり前で、そこで上司とコミュニケーションを取るのは普通の話で、それがなくなるなんて事態は想像すらできなかった。
おじさん達の嘆きもわかるけれど…
翻って現在。
上記したように、公的な飲み会はほぼなくなった。
そして、おじさん世代を中心に、そのことを嘆かわしく思っている人も一定数いるようだ。
曰く、「部下とコミュニケーションが取れない」とか、「上司の話を聞くことだって大事である」とか。
昭和の残り香を知っている僕には、その言わんとしていることはわからなくはない。
自分のことを振り返ってみても、飲み会によって仕事が円滑になったり、上司の職場では見られないような人間らしさみたいなものが垣間見られたりして、それはそれで有用だったなと思うこともある。
ただ、大半は無駄だったなとも思うのだ。
そして、更に付け加えるなら、当時の上司のような話を聞きたくなるような人は今の職場にはあまりいないよな、ということも。
上司部下の間柄で、濃い話をする必要ってある?
ハラスメント的な話しかできない上司ばかりの飲み会に、若手たちが行きたくないと思うのは至極当然な話で、それは彼(彼女)らがどうだとかという話ではなく、僕だって同様である。
そんな飲み会に価値はない。
ただ、飲み会がなくなったことによって失われたものがあるのは事実だろう。
少なくとも、現在の職場において、上司とそれなりの濃度で話をするという機会は殆んどない。
もちろん、表面的な話はする。
でも、それだけの関係性である。
そして、「それだけの関係性」というのは望ましいものでもある。
部下が上司に対してそう思うように、僕も部下に対してそのように考えている。
別に職場で友達を作りたい訳ではないし、仲良くなったところで成果が劇的に向上する訳でもない。
職場に見合った節度でお付き合いをすればいい、それはその通りである。
やめると不満が出るという不思議
でも、そんな風に考えている僕なのに、1on1をやめると、部下からはそれなりの不満が出る。
これが当時はよくわからなかった。
大した話をする訳でもなく、かつ距離感を詰めたくもない僕のような上司を相手に、1on1をする必要などないではないか?
僕もそのように考えていた。
ただ、最近思うのは、どうやらそんな風に考えている部下だって誰かに話は聴いてもらいたい、ということである。
何だか面倒くせえなあと思いつつ、一方で、まあ気持ちもわからないでもないとも感じる。
それくらい現在の職場は無味乾燥というか、人との関わり合いが希薄化している。
それは対上司だけでなく、対同僚においても同様なのだろう。
ドライな職場環境
誰もが自分のことで精いっぱい。
自分のことは自分でやるのが当たり前であり、誰かに頼ったり話を聴いてもらうなんてもってのほか。
そのようなある種ドライな環境。
それは僕のような薄情な人間にはとても良い環境である。
そして、多くの人もそう感じているはずだと僕は思っていた。
でも、どうやらそうでもないようである。
1on1に意味なんてない。でも…
結果として、僕は毎週1on1をすることになる。
冒頭に書いたように、ある種のマネージャーにとっては「何の意味があるのか?」と感じるような話であると思う。
それなりに体力も気力もかかるし、具体的な成果物が出る訳でもないから。
コスパだけが仕事じゃなくね?
ただ、長いことマネージャーという仕事を続けてきた僕が思うのは、たとえそうであっても、まあやった方がいいよね、ということである。
部下と深い話をすることに意味なんてない。
それはそうだろう。
でも、コスパばかり考えているだけでは、成果なんて上がらないよなとも思う。
そんなことを思いながら、今週もまた僕は下らない話を続けるのだ。
それではまた。
いい仕事をしましょう。
あとがき
営業マン時代には気づきませんでしたが、僕は人の話を聴くことが上手いようです。
それはスキルがあるという面ももちろんあるとは思います(営業経験も長いので)。
でも、どちらかというと、相手の感情を察することができる点がその要因であるような気がしています。
僕はHSP的な傾向があり、他者と話をすると非常に疲れてしまうのですが、仕事においては、それも1on1においては、それは有効に機能するようです(その分物凄く疲れます…)。
表面的にはクールぶっている部下も、話を聴いてもらいたいと思っています。
定期的な面談を行っていきましょう。