言ったことはやるし、やらないことは言わない
言行一致が大事
マネジメントは信用の仕事である。
マネージャーへの信用があれば、部下はその能力を超えた仕事をしてくれるようになる。
では、マネージャーへの信用はどのようにしたら築けるのだろうか?
僕はこのブログを開設した当初から、「言行一致が大事」と言い続けている。
今日もまたその話の焼き直しである。
というのも、これができないマネージャーが腐るほどいるからである。
というか、これだけできれば、後のことは正直どうでもいいのになと僕は思うのだけれど、なぜか皆これができないようなので、改めてその方法論やメリットについて書いていこうと思っている。
それでは始めていこう。
朝令暮改的な組織で、言行を一致させるのは至難の業
言行一致。
大事な言葉だ。
ただ、マネージャーという仕事柄、それは難易度が高い。
それは事実である。
というのも、会社という組織は朝令暮改的な指示をするのが日常茶飯事であるからである。
朝自分の上司が言っていたことを部下に指示をしても、夕方になるとその上司は違うことを言っていたりするのが会社という組織であり、マネージャーは(特にミドルマネージャーは)それによって振り回され、結果としてマネージャー自身の言行一致度も下がっていってしまう。
これはよろしくない。
でも、まあ一般的というか、よくある話であると僕は思っている。
このような流れがある中で、言行一致させる為にはどうしたらいいのだろうか?
やらないことは言わない(もしくは遅らせる)
僕は「やらないことは言わない」ということをまずお勧めしたい。
上記したように、会社という組織の中で仕事をしていると、次から次へと色々な指示が下りてくる。
その中には「明らかにこれはダメだな…」という指示も含まれている。
それはできるだけ部下に言わないようにする。
もしくは、言う時間を遅らせる。
このようなイメージが大切である。
あからさまにやってはいけないが…
もちろん、これは大っぴらにやってはいけない。
「会社の指示に背いている」というような指摘がされるようなへまを犯してはいけない。
単純に忘れていた、うっかりしていた、というような雰囲気を醸し出すのである。
そうやって時間を稼ぐ。
すると、いつしか、そのような指示が変わっているということが起きる(上記したように会社というのは朝令暮改的な組織であるから)。
結果として、間違ったことをマネージャーは言わずに済む。
これをまずやってみるといいと思う。
やらないことは言わないようにするだけで、マネージャーへの信頼度は大きく向上する。
少なくとも、部下はそのようなマネージャーに対し一目置くようになる。
これだけで仕事のやり易さは大きく向上するはずだ。
ただ続ける
これが出来たら、次は「言ったことはやる」ようにする。
これは部下への指示よりも、まず自分で実践するのが手っ取り早い。
何か決めたら、それをただ愚直に自分で繰り返していく。
例えば、僕の場合であれば、毎週1on1をやると宣言したら、それをただ毎週繰り返していくのである。
これは簡単なように見えるが、実際はそうではない。
僕から見えるマネージャーの多くは、当初は熱心に言ったことをやるようにしているけれど、3か月が経ち、半年が経ち、1年が経つ頃には、形骸化しているのが殆どである。
僕の場合は、9年も経つ。
この違いがご理解頂けるだろうか?
本気度が伝わるかが重要
この「やらないことは言わない」と「言ったことはやる」ということを徹底すると、「あの人がやると言ったら絶対にやるのだ」という信念や決意みたいなものが部下に伝わるようになる。
「生半可なことではあの人はやると言わないし、やると言ったら徹底的にやる人である」ということが、本気度を伴って部下に理解される。
こうなれば、後は平常運転を続けていけばいいだけである。
みな口は上手いが…
書いていること(言うこと)は簡単なことである。
でも、それを続けることは難しい。
だから、有言実行の人はあまりいないのだ。
マネージャーへの信頼がないのは、多くのマネージャーが「言うことには長けているけれど、実行することは不得手である(というか熱心ではない)」ところにあると僕は考えている。
みな口は上手い(だからこそマネージャーにもなれたのだろう)。
でも、実際に汗をかける人は多くない。
言ったことをやるのは難易度が高い
「言動よりも行動の方が、信頼度が高まる」
そんなの書くまでもなく、当たり前の話である。
しかしながら、これができないのである。
「言うは易く行うは難し」
本当にそうなのだ。
だから、余計なことは言わないことから始めた方がいい。
言ったことを全てやるのは難易度が高すぎるから。
ベースの信頼感を
言葉に重さを持たせる為には、部下に言葉を届ける為には、このような行動に裏打ちされた「ベースの信頼感」が不可欠である。
それを差し置いて「キレイゴト」を言ったところで、部下に刺さる訳がない。
でも、皆その「言い方」や「スキル」みたいなところに注意を向けがちである。
そんなもの正直どうだっていい。
話し方が下手でも、表現が的確でなくても、全然気にしなくていい。
大事なことは、その人が言うことが信頼されているかどうかである。
何だか当たり前の話になった。
それではまた。
いい仕事をしましょう。
あとがき
今日の話は当たり前の話ですが、なかなか実践できている人は多くないのではないかと思っています。
僕はたくさんのマネージャーと仕事をしていますが、「できないなら言わなきゃいいのにな…」と思うことが本当に多いです。
これは組織にも問題があると思っていて、「アピール上手」「アピールすることが大事」というイメージが強すぎるように感じています。
そして、これは「評価者の質」や「印象による評価」というものにも関係しています。
大事なことは、きちんとやっている人を的確に評価することです。
それなくして成果主義はあり得ません。
成果を上げる人を愚直に評価していきましょう。