部下が寄ってくる人と遠ざかっていく人

あなたはどちら?
マネージャーには2種類いる。
部下が寄ってくる人と遠ざかっていく人だ。
もちろん、このような2分法の口ぶりには気を付けるべきであるが、僕は時々そんなことを思う。
さて、(もしこの2分法を受け入れるとしたら)あなたはどちらのタイプだろうか?
僕は(自分で言うのもなんであるが)前者のタイプである。
それも僕自身はあまりその状況を望んでいないのに、そのようなことが起こっている。
一方、それを望んでいても叶わないマネージャーもいる。
結果的に、後者のようなタイプとなってしまう者も多い。
今日はそんな話である。
それでは始めていこう。
慕うかどうかを決めるのは部下
多くのマネージャーが部下から慕われたいと思っている。
もちろん、僕にもその気持ちはわかる。
ただ、それはどうすることもできない問題であるとも思っている。
僕が不思議なのは、多くのマネージャー達はそれを自分たちでコントロール可能であるかのように振舞うことである。
そして、案の定失敗している(失敗し続けている)。
そこにマネジメントの不思議さを思う。
庇護や管理で関係性が良くなる?
たぶん多くのマネージャーが考えるマネジメントというのは「管理」の概念に近くて、その管理の範囲内に部下を入れたい(入れることが当然である)と考えているような気がする。
それはよく言えば「庇護」みたいな考え方で、そのように振舞えば慕われるだろう、という算段が働いているようにも思える。
でも、親子関係と同じで、管理したり庇護したりすれば子どもとの関係性が良くなる訳でもない。
むしろ遠ざかる(遠ざけられる)ことだって往々にしてある。
それがなぜわからないのだろうか?
対等な関係として扱う。以上。
「部下が寄ってくる人と遠ざかっていく人の違いは、部下をある種対等の存在と捉えられるか否かというところにある」
そんなことを思う。
確かに立場や年齢は違うけれど、1つの意思を持った個体であり、そこには主従関係がある訳ではない。
そんな当たり前の考え方を、当たり前のように理解していれば、自然と部下は寄ってくるものである。
でも、それができないと、部下は寄ってこない。
おや。
何だか結論が出てしまったようにも思う。
そうなのだ。
これが自然にできるようになれば、部下は寄ってくるようになる。
ただ、それが自然とできるということは、必ずしも部下が寄ってくることをこちら側も望んでいる訳ではないという状態になっているということも同時に意味する訳だ。
別にどっちでもいいです
かく言う僕も、以前は部下に慕われたいなと思って仕事をしていたように思う。
ある種の媚びがそこにはあったように思う。
でも、現在はない。
全くと言っていいほど。
これは別に強がっている訳ではない。
本当に、心からそう思うのである。
もちろん、嫌われたいとは思っていない。
ただ、別にどっちでもいいや、というのが本当のところである。
僕は別に部下の親ではないし、家族でもない。
(言い方は悪いが)仕事としてやっているだけである。
そこに変な感情はいらない。
プロフェッショナルとして淡々とその仕事をやればいいのだ。
そして、そのような振る舞いは、部下からすると珍しく映るようである。
結果、僕の周りには部下が集まってくる。
それも別にベタベタとした関係性ではなく、「使えるから使う」「役に立ちそうだから話を聞く」そのような感じである。
僕個人を好きかどうかはあまり関係ない(たぶん好かれてはいないだろう)。
でも、それが大事だとも思うのだ。
プロフェッショナリティを備える
以上のことを踏まえると、部下に寄ってきて欲しいと思うのであれば、部下を対等に扱うことと、プロフェッショナリティを備えることが必要になる、というのが今日の答えとなる。
マネージャーになると自己研鑽をせず、「上がり」のような気分で仕事をしている者が散見されるけれど、それは全くもって良くない態度である。
プレイヤー時代と比べて、数少ない機会で勝負し、そこにバリューを出さなければならないのがマネージャーである。
その為には、日々の鍛錬が欠かせない。
もちろん、その殆どは日の目を見ないのだけれど、そのような繰り返しがあなたの仕事振りにプロフェッショナリティを与えていく。
そして、然るべきタイミングで、それがポロっと漏れ出す。
それを部下達は適切に嗅ぎつける。
「あの人に聞けば何かアイディアが生まれるのではないか」
「この問題はどのようにしたらいいだろうか」
そういうちょっとしたことを聞こうという考えが部下に生まれる。
カジュアルな雑談
それは畏まった「ホウレンソウ」とは大きく異なる。
ただの雑談に近いものである。
でも、そのような気楽さと、そこから生まれるアウトプットによって、部下は相談してみて良かったと思うようになる。
後はそれを繰り返していくだけである。
ブレスト・オンリー
当たり前の話であるが、ここには「教え諭してやろう」みたいな態度は不要である。
あくまでも対等に、ブレインストーミングのような感じで部下と話をすればいいだけである。
マネジメントにプロフェッショナリティを。
それではまた。
いい仕事をしましょう。
あとがき
ある種の触媒。
マネージャーに必要な資質はこれなのではないか、と最近は考えています。
その人と話をすることで何らかの刺激が生じ、新しいアイディアが生まれていく。
もちろん、それは狙ってできるものではないですし、確率的にも高くはないでしょう。
でも、そのようなイメージを付与することができれば、部下は自然と寄ってきます。
相談される人になっていきましょう。