アウトソース・アウトソース・アウトソース(マネジメントのファブレス化)

「暇そうでいい」をネガティブに捉える人もいるようだ
生産性の向上には「やらなくていいことをやらないこと」と「単位時間当たりの成果を上げること」が大切である。
そんなことを以前書いた。
でも、これをできるマネージャーは多くない。
それは何故か?
このことについてもう少し考えてみた。
そこにあるのは罪悪感なのでは?
汗水垂らして働くことが素晴らしいという労働観なのでは?
そんなことに思い当たった。
では、そのような概念を変える為にはどうしたらいいのだろうか?
僕は「マネージャーは暇そうでいい」と言い続けてきた。
でも、その「暇そう」という言葉にはネガティブな意味合いも含まれていて、そこに抵抗感を覚える人も多いように思う。
じゃあ、それをアウトソーシングって言い変えてみたら?
大して変わらないような気もするけれど、今日はそんなことを書いてみようと思っている。
それでは始めていこう。
マネジメント=ファブレス
「マネジメント=ファブレス」である。
今日の話を分かりやすく纏めるならこういうことになる。
マネージャーは自ら工場を持つ必要はない。
それが僕が言いたいことである。
これは多くのマネージャーが自分の工場で製品を作ろうとしていることへのカウンターでもある。
「大事なのは企画や設計であり、製造ではない」のだ。
付加価値はどこから生まれるのか?
これは製造を軽視している訳ではない。
もちろん、製造は大事な仕事ではある。
ただ、マネージャーの仕事ではないのだ。
そのイメージを持つこと。
付加価値の源泉がどこにあるのか?
アップルもAMDもエヌビディアもファブレス企業だろう?
僕が思うのはそういうことである。
あなたが手を動かす必要はない
「製造的な仕事」はアウトソースしてしまえばいいのだ。
あなたが手を動かす必要はないのである。
そのような仕事を峻別すること。
そして、付加価値を生む仕事に特化すること。
それがあなたの役目である。
社長が四六時中現場仕事をしているとしたら?
これはもう少し職階を上げて、自分が社長だったらということを想像してみるとよりわかりやすいと思う。
社長が工場で働いていたら、ちょっとその会社に対して不安に思わないだろうか?
いや、むしろ現場主義で素晴らしい会社だと思うだろうか?
もちろん、現場を知ることは重要である。
ただ、それを四六時中ずっとやっているとしたら?
それって社長の仕事じゃないよね、って思うだろう?
現場を知った上で、どのような戦略を立てるのか?
その戦略でそのような成果を出すのか?
それが社長の仕事だろう?
戦略策定があなたの仕事
これはミドルマネジメントにおいても同様である。
もちろん、その「程度」は異なるかもしれない。
それなりの「現場仕事」がミドルマネジメント業務には混じることもあるだろう。
でも、大事なことは「それはあくまでも本来業務ではない」ということを知っておくことである。
あなたの仕事はあくまでも企画や設計なのだ。
戦略策定をすることなのだ。
その戦略を活かすために製造という仕事がある。
それはアウトソースするのだ。
そして、アウトソースすることは悪いことではないのだ。
それはファウンドリーに任せてしまえばいい。
確かに、TSMCみたいなファウンドリーとしての道もあるだろう。
そうやってこの世を渡っていく方法だってあるだろう。
でも、それはマネージャーの仕事ではない。
僕はそのように思う。
外注か自動化を
部下でも同僚でも取引先でも、相手はたくさんある。
自分で手を動かす必要があるのか、そうじゃないのか。
たぶんあなたの仕事の大半はあなたが自ら手を動かす必要なんてないはずだ。
もっと言えば、それだってAIに任せたり、自動化することができないだろうか?
そのように考えていくこと。
突き詰めていくこと。
その果てに残ったものがあなたの仕事である。
美学は素晴らしいけれど…
それは怠けているということなのだろうか?
サボっているということなのだろうか?
だとしたら、アップルもAMDもエヌビディアもサボっているということなのだろう。
そのような価値観は確かに美しいのかもしれない。
自ら企画して、それを設計して、製造して、販売する。
「それこそが仕事だろう?」
それもわかる気もする。
共感すらしなくもない。
でも、そんなこと不可能じゃないか?
だったら、まずは生産性の高いところだけでもやってみれば?
それ以外のことはアウトソーシングしてしまえばいいのでは?
僕が思うのはそういうことである。
責任放棄とは違うよ?
もちろん、アウトソーシングすることは責任を放棄することではない。
あくまでも仕事の責任はアウトソースする側にある。
ただその動線というか、やり方みたいなものは、1つではないのではないかと思うのだ。
みなそこに拘り過ぎ。
というか、頭硬すぎ。
いい仕事をすることが本分なのでは?
マネジメントに在庫はいらない。
多額の資本金だってきっといらない。
必要なのはサプライチェーンの構築だ。
それができれば製品は顧客に届く。
それも付加価値の高い製品が。
それが結果としてお客様の為にもなるし、世界が発展していくことにも繋がるのでは?
美徳に拘るのはその後からでも遅くはないのでは?
適切なアウトソーシングを。
ファブレス化を。
それではまた。
いい仕事をしましょう。
あとがき
マネジメントのファブレス化。
個人的には久しぶりに新しい概念を書くことができたなと思っています(自画自賛)。
「プレイングマネージャーは企画も設計も製造も自分でやっているから大変」
「でも、それって会社で考えた場合、どうなのだろうか?」
それが僕が思ったことです。
世界的な大企業は、アウトソーシングを上手に使っています。
それで莫大な利益を上げています。
僕たちマネージャーの仕事もそうするべきなのでは?
それが僕が考えていることであり、これにより「暇そう」というネガティブな概念を越えられるような気もしています(と言っても、ニュアンス的には「暇そう」の方が僕は好きですが…。「マネジメントのファブレス化」は意識高い系過ぎるし…)。
上手に仕事をアウトソーシングしていきましょう。