労っていれば大丈夫

UnsplashCytonn Photographyが撮影した写真

デスクワークと1on1と労い

「課長は暇そうでいい」

それが僕のマネジメントに対する考え方である。

もちろん、実際に毎日が暇であるという訳ではない。

でも、世間一般のマネージャーに比べると、僕はだいぶ暇そうに働いていると思う。

それを自分なりに分析してみた。

すると、僕の1日における仕事というのは、「デスクワーク」と「1on1」と「労い」の3つに大別できるということが分かった。

「デスクワーク」というのは言葉の通りで、机でパタパタとキーボードを打つような仕事(所謂自分の仕事)である。

「1on1」は部下との面談(いつも書いていることなので省略)。

そして、3つ目の「労い」というのが今日のテーマである。

それでは始めていこう。

これだけでOK!

労い。

これは部下に対する声掛けのことである。

それも言葉の通り、「苦労や努力をいたわること、感謝すること」を指す。

非常に大雑把なことを言ってしまえば、これだけやっていれば部下との関係が破綻することはない。

そう言い切ってしまってもいいくらい、これは大切なことである。

部下への対抗心

歳を重ねてから(おじさんになってから)、僕は部下に対する対抗心というものが全くと言っていいほどなくなってしまった。

若かりし頃の僕は、部下に負けてなるものか、オレの方が凄いぞ、というような気持ちが多少なりともあり、それがマネジメントという仕事にも出てしまっていたように思う。

「舐められたら負け」

そんなヤンキー漫画のような仕事振りであったように思う。

おじさんになったことのメリット

翻って現在。

僕はおじいちゃん(長老もしくは村の長)のような気持ちで仕事をしている。

部下が営業から帰ってくると、「いやいや、大変だったね」「お疲れ様」そのような言葉が自然と出てくるのだ。

そして、それは演技であるとか、狙ってやっているとかそういう次元ではなく、心からそう思うのである。

これはおじさんになったことによる大きなメリットであると僕は考えている。

若い頃の僕では到底考えられなかったようなことが、今の僕にはとても容易くできるのだ。

営業は大変だ

というのも、本当に営業という仕事は大変だと思うからである。

お客様との面談は本当に気を遣う。

話の内容もそうだし、ミスもしてはいけないし。

また取引先が遠方であることだってある。

そんな諸々を経て、会社に戻ってくる彼(彼女)たち。

ましてや、この真冬である。

そりゃ心から「お疲れさま」と言いたくもなるだろう。

帰社を待ち、労う

僕は好々爺のように、彼(彼女)らを出迎え、労いの言葉をかける。

それ以外別に何をする訳でもない。

彼(彼女)らの帰社を待ち、労いの言葉をかける。

彼(彼女)らは、「いやー大変でしたよ」などと言い、その仕事の内容について僕に話をする。

僕もそれに応答する。

何ターンかそれを繰り返す。

その間に彼(彼女)らは仕事を片付けていく。

それが一段落着いたら(着いたことを見届けたら)、帰る。

それだけである。

でも、それこそが結構大事なことなのではないかと僕は考えている。

早く帰る方が正しい。けれど…

もちろん、ここには色々な考え方があるだろう。

残業に厳しいご時世でもあるし、そんなことをせずに仕事が終わったら帰るべき、そのように考える方もいるだろう(実際にそうやって帰ってしまうマネージャーも多い)。

そして、僕自身もそのような言説の方が正しいとも思う。

ただ、仕事ってそういうものだけではないんだよな、とも思っている。

ましてや、マネジメントという仕事はそういうもの(だけ)ではないんだよな、と思っているのだ。

労いのライブ感

冒頭に書いたように、僕は暇そうに働いている。

それでも部下から批判されない(上司からは時折されるが…)のは、僕が部下に対してきちんと向き合っていること、彼(彼女)らの仕事に対して感謝していることがきちんと伝わっているからだと僕は考えている。

がむしゃらに仕事をする(デスクワークをする)ことだけが部下に認められる術ではない。

表面的ではなく、その軽重も含めて、きちんと理解することが大事なのである。

そして、1on1と労いが異なるのは、後者には速報性があるというか、リアルタイムである(ライブ感がある)ことが大きいと僕は考えている。

それはちょっと時間を置いた1on1においては生まれづらい感情である。

もちろん、1on1の際に「あの時は良かったね」ということも悪くはないけれど、その時そのタイミングでしか伝わらないものがあるし、それを埋めるのが労いであると僕は考えている。

褒めるとは違う

そして、「労い」は「褒める」とは違う。

別に褒める訳ではないのだ。

遠方まで営業に出掛けて、遅くに帰ってくるのは、営業という仕事の範疇であり、別に褒められるべきものではない(当たり前の日常であるから)。

「遅くまで頑張って偉いね」ではないのだ。

ここに「お疲れさま」という言葉の奥深さがある。

別に上から言う訳ではないのだ。

対等か、もしくはちょい上くらいから言葉を掛けるというのがとてもいい感じに収まるのである。

それが(それも)「ベースの信頼感」に繋がっていく。

それがあれば、マネジメントという仕事はそこまで難しくない。

ちょっとした労いを。

それではまた。

いい仕事をしましょう。

あとがき

「褒めてればいいんだろ?」

そのような勘違いをしているマネージャーはとても多いです。

でも、大事なのは褒めではなく労いです。

そして、労いには部下の仕事に対する理解と関心が必要です。

仕事の中身をきちんと理解し、部下を労っていきましょう。