ダメ出しだけでは人は育たない

UnsplashDmitry Vechorkoが撮影した写真

部下の仕事に口を出したくなるけれど…

「マネージャーが優秀だと部下が育たない」

そんなことを思う。

と言っても、ここで言うマネージャーの優秀さというのは、プレイヤーとして力量のことであり、実際のマネージャーとしての優秀さではないことをお含みおき頂きたい。

そうなのだ。

自身の実務能力が高かったり、職務遂行能力が高かったりすると、部下の仕事の精度に対して口を挟みたくなるのが人間というものである。

そして、それは往々にして善意で行われる

ただ、そのようなダメ出しは部下の成長を阻害する可能性がある。

特に日本のように他者の顔色を伺うことが当たり前の社会の中では、上位者はあまり口を出さない方がいいと僕は考えている。

それでは始めていこう。

距離を縮めようとして裏目に出るマネージャーたち

コミュニケーションスタイル。

「上司は部下とコミュニケーションを積極的に取るべきだ」というような論調が普遍的にあるようで、あまりコミュニケーションが得意でない人も、部下と話をしなければならないと駆り立てられているように感じることがある。

でも、元々コミュニケーションがあまり得意でないので、部下と話をする際にあまり上手に出来ず、結果的に皮肉めいた言い方になってしまうマネージャーがそれなりに多くいるようだ。

本人は冗談のつもりでも、部下からすれば嫌味を言われているような感覚に陥るような話し方。

ある種のダメ出しとして映ってしまうコミュニケーション。

それでは部下は育たない。

部下にやり過ごされてない?

部下育成の基本のキとして、褒めと指摘をサンドイッチのように挟みなさいというスキルがある。

まず褒める(もしくはポジティブなことを言う)。

そして、真ん中に指摘(もしくはネガティブなこと)を入れる。

最後はまた褒めて(同上)話を終える。

これが部下と話をするのが苦手な人がまず取り組むべきやり方である(ベタではあるが…)。

でも、日本人は(特におじさんは?)人を褒める(ポジティブなことを言う)のが苦手な人が多い。

結果として、褒めの部分が(照れ隠しの意味もあり)やや皮肉っぽくなってしまう。

そうすると、部下からすれば、あまり褒められた気がせず、指摘だけが印象として残る。

それが続けば、そもそもその人と話をしたくなくなってしまう(どうせダメ出しされるだけだし)。

でも、上司だから邪険にはできない。

となると、「表面的なコミュニケーションだけして、出来るだけ短時間でやり過ごすのが最適」というのが部下側の最適解となる。

思い当たる人はいないだろうか?

いや、本当にこのようなタイプのマネージャーは多いのである。

そして、そういう人に限って自覚がないことが殆どなのだ。

下手なら黙っていた方がマシ

僕はたくさんのマネージャーを見てきて、部下が寄ってくる人と遠ざかっていく人の違いはこの辺にあると考えている。

当たり前の話であるが、誰だって嫌味ばかり言われるような上司の近くにはいたくない。

話をすることで何らかのメリットが得られなければ、その人と話をする価値はない。

そう考えるのはある種自然なことである。

だから、仮にコミュニケーションを取るのが苦手であるなら、黙っている方がマシであると僕は考えている。

信頼を失うのは一瞬。取り戻すのは一生。

上述したように、「部下とは積極的にコミュニケーションを取るべし!」というのが昨今の流れではあるけれど、そこまでやる必要はないのではないかと僕は思っている。

というのも、下手に話をして減点を食らうくらいなら、黙っていて減点にならない方がいいと思うからである。

部下とのコミュニケーションにおいて大事なことは、得点を取ることではなく、失点を防ぐことである。

これは「信頼を失うのは一瞬。取り戻すのは一生」と言い換えてもよいかもしれない。

下手を打って信頼を失うくらいなら、黙っていた方が賢明であるのだ。

「褒め」ではなく「認め」を

ただ、これだとあまりにも消極的過ぎると考える人もいると思う。

部下を育てるべく、きちんとコミュニケーションを取るべきだと考えるのはある種当然でもある。

そんな人に僕からのアドバイスを。

それは「褒め」という意識を捨て、「認める」という意識を持つことである。

過程を共に作っていくのがマネジメント

「褒め」というのはどうしても上下関係に基づいたコミュニケーションになりがちである。

これが逆サイドに触れるから「ダメ出し」に繋がる。

でも、そうではなく、「認める」という意識を持つと、この関係が緩和される。

どんなに稚拙な仕事のやり方であっても、それがどのような考え方に基づいて行われたものなのか、それをもう少し深掘りして聞いていくと、部下なりの工夫や考えがそこに潜んでいるものである。

それをまずは認める。

その上で、「こういう方法もあったのではないか?」であるとか「例えばこのようにしてみたらどうだろうか?」ということを話し合っていく。

大事なことは「結論」ではなく、「過程」にある。

「過程を共に作っていく」のがマネジメントなのだ。

それができれば、部下は育っていくのである。

それではまた。

いい仕事をしましょう。

あとがき

「部下が仕事ができない」

「何度言っても仕事ができるようにならない」

そんな悩みを持つ方は是非「過程を共に作っていく」という意識を持ってみてください。

大事なことは「教える」とか「諭す」とか「指導する」とかではなく、話をしながら進んでいくその過程そのものにあります。

時間はかかりますが、その労力なくして、部下の成長もありません。

じっくり取り組んでいきましょう。