威圧感は流行らない

自発的に報告してもらうために
マネージャーとして意識していることの1つに「威圧感を与えない」ことがある。
というのも、威圧感があると部下から適切な報告が上がってこなくなる恐れがあるからである。
これはもしかしたらマネージャーのタイプによるのかもしれない。
僕は基本的に放任主義というか、自由に部下に働いて欲しいと思っているので、リスク管理という面においては、部下から自発的に報告が上がってくることがある種生命線になる訳で、それが断たれるとやりたいマネジメントができなくなってしまうのである。
だから、出来るだけそのような雰囲気が出ないように心掛けている。
ただ、時代の変化と共にこの「威圧感」のレベルもだいぶ下がっているのも事実である。
自分が「これくらいは大丈夫だろう」と思っていても、部下側からするとそれがプレッシャーになっていたりするのが現代という時代である。
かといって、あまりにも自由になり過ぎてしまって、規律がなくなってしまうのもまた違う。
今日はそのバランスを如何に取るかというような話である。
それでは始めていこう。
目に見えないパワハラ
パワハラと威圧感の親和性。
パワハラが直接的な言葉や行動という表に出るものであるのに対し、威圧感はそれが直接的には表に出ない。
でも、みなその雰囲気自体に気圧されてしまっている。
そういう意味では、威圧感というのは「目に見えないパワハラ」に近い性質を持つものだと僕は考えている。
地下に潜ったパワハラ系マネージャー
パワハラに対する社会的な取り締まりが厳しくなってから、パワハラ系のマネージャー達は地下に潜り、このような威圧感によって部下をコントロールするようなやり方を取るようになったと感じている。
無言の圧力。
言わなくてもわかるだろ、というプレッシャー。
僕自身も上司からそれを感じることは度々ある。
そして、それは時代錯誤だよな、と思っている。
パワーによって部下をコントロールするのは時代遅れ
これはマネジメントに対する価値観というか、方向性の違いなのかもしれないけれど、上司のパワーによって部下をコントロールしていくという考え方は、僕にはとても古臭い感じがするし、そこで発現される成果の度合いもそこまで優れたものにならないように思っている。
でも、未だにそのような形こそがマネジメントだと思っている人はたくさんいる。
それはギリギリ僕たち世代くらいであれば通用するかもしれないけれど、もっと若い社員が増えている現代の職場環境においては、それは厳しいと思うし、これから更に厳しくなっていくように思う。
少なくとも、僕が普段から接している若手社員の大半は、そのような威圧感型マネジメントを取る上司に対して、確実に距離を置いている。
威圧感型マネジメントの問題点
Z世代を含めた若手社員に僕が感心するのは、このような人たちに対するセンサーの感度の高さと、そこに警戒心を抱いていることを悟られないようにするあの立ち回りの素晴らしさである。
彼(彼女)らは、実に上手にそのようなマネージャー達と適切な距離を保ちながら仕事を続けている。
そつなく、つつがなく、それを遂行していく。
結果として、威圧感型マネージャー達は、自分が距離を置かれていて、適切な報告が上がってこないことに気付かないまま、仕事を続けていく。
そして、どこかのタイミングで問題が起きるか、問題が起きずとも、成果の度合いがじわじわと下がっていくようになる。
これが威圧感型マネジメントの大きな問題点だ。
「何でもOK!」もまた違う
かといって、「何でもOK!」というか、部下たちに迎合していくマネジメントもまた違うと僕は考えている。
それによって、チームや組織の規律がなくなってしまうからである。
では、どのようにこのバランスを保ったらいいのだろうか?
結局は1on1
毎度の結論で恐縮であるが、結局のところ大事なのは相互理解であり、その為に行うべきことは対話である。
定期的に部下と1対1で対話をする。
その中でコミュニケーション齟齬を是正していく。
それに尽きると思う。
上司への報告も1つのリスクだ
定期的に部下と話をしていると、前向きな話も後ろ向きな話も、自発的に部下から相談されるようになる。
それこそがマネジメントにおいてとても重要なことであると僕は思う。
大きな成果を生み出す為には、部下の自発性を最大限まで引き出すことが欠かせない。
そして、自発性を引き出すというのは、部下にリスクを取らせることを許容することが不可欠である。
そのリスクテイクの1つに、「上司に率直にモノを言う」ということも含まれていると僕は思う。
大きな果実を逃している
威圧感を与えるマネージャーにはこれができない。
率直な意見具申が為されない。
それはマネジメントを進めていく上で、大きな障害である。
でも、彼(彼女)らはそれに気付かない。
大きな果実がそこにあるのに、それを逃したまま旧来型のマネジメントを未だにやっている。
自分の感性が現代にも通用すると勘違いを続けている。
友達上司ではなく
ただし、「部下から自発的な相談が為される」ということは「友達上司になる」ということとは大きく異なる。
そこには一定の敬意があり、信頼がある。
それが出来た時、マネジメントはもう1段高いレベルに到達できる。
まあ威圧感型マネージャーには一生わからないだろうけれど。
それではまた。
いい仕事をしましょう。
あとがき
威圧感を与えると気配を消されます。
そして、大事な物事が報告されなくなってしまいます。
それなのに(更に悪いことに)、報告されないことに気づくことができません。
このループから抜け出すためには、威圧感を与えないことが重要です。
報告しづらいことでも、勇気を持って相談されるような関係性を築いていきましょう。