戦略と一貫性

UnsplashAnastasia Petrovaが撮影した写真

戦略には一貫性が大事。以上。

マネジメントには戦略が大事である。

そして、戦略は一貫性を具備している必要がある。

今日言いたいことはこれだけだ。

そういう意味では、ここから先の話は全て蛇足となる。

それでも構わない方は是非読んで頂きたい(そうでない方は他の有意義なことに時間を使って頂けたら幸いである)。

それでは始めていこう。

エッセンスは維持しながら、やりたいことを混ぜ込む

戦略の一貫性。

それは言葉にすれば簡単なように響く。

でも、中間管理職という立場で仕事をしていると、朝令暮改的な指示がバシバシと飛んできて、一貫性を担保し続けるのは結構難しいことであると気づく。

しかしながら、そのような朝令暮改的な指示に振り回されるようでは、チームの成果が飛躍的に向上するなんてことは起こらないのも事実であって、その狭間でどのように振舞うかに課長としての価値がある、そのように考えている。

そして、比較的僕はそれが得意であるとも自負している。

上からの指示に背くことなく、エッセンスは維持した上で、でも自分のやりたいことをそこに混ぜ込むこと。

この辺の匙加減が絶妙なのが僕の長所なのだ(自分で言うのも何であるが…)。

部下からの信頼と上司からの信頼は時に相反する

というのも、それができないマネージャーが結構いるということに最近気づいたからである。

部下からの信頼上司からの信頼を同時に維持していくこと。

言ってみれば、これが中間管理職のキモであり、これができれば仕事の質を担保することは容易い。

経験上、一貫性のない指示に対して部下は敏感で、その臭いを察知された瞬間にマネージャーへの信頼は低下してしまう。

でも、だからと言って、上司や会社からの指示に背き続ける訳にもいかない。

本来的には、それらが一致していることが望ましいとは僕も思う。

ただ、往々にして、それらは相反する。

さてどうしたらいいのだろうか?

エッセンスを維持する(解釈を変える)

僕がよくやるのは、「戦略のエッセンスを維持する」ということである。

これは「解釈を変える」ということも同時に意味する。

それに対して「そんなのは詭弁である」という反応もわからなくはない。

ただ、内在する思想はそこに確実にあるし、それを表立って表現しなくても部下に伝わるように心掛けていれば、両立は可能であるとも思うのだ。

意思を内在させる

これをもう少し具体的に表現するなら、「自分がやりたいことは何なのか」を言葉にし、それを部下に伝え続けるということが大事、ということになる。

そこには意思が内在している。

なぜそのような戦略を取るのか、それはこういうことを成し遂げたいからだ、という想いがそこにはある。

ただ、向かうルートは異なる場合がある。

そういうイメージである。

これを意思抜きで話すから上手くいかないのだ。

他責の臭い

多くのマネージャーはこれを意思抜きで話してしまう。

何というか、自然現象を説明するかのように、事実として話をしようとする。

また、そこには他責の臭いがする。

「上司(会社)が言うから、そうなってしまった」というような口ぶり。

そのような責任転嫁的口調は部下からの信頼を確実に低下させる。

どのように折衷させるか

もちろん、言っていることはきっと間違っていない。

事実、上司や会社からの命令によって方向転換が行われたのだろう。

でも、そこにはマネージャーの意思を混ぜ込む必要がある。

と言っても、「いや、オレは違うと思うんだけど、会社がそう言っているから仕方がないよね」というような話ではない。

それらをどのように折衷させるか、がマネージャーの腕の見せ所なのだ。

その努力を怠ってはいけない。

僕はそのように思うのだ。

発想の転換

ここにはある種のアクロバティックな考え方の転換が必要である。

そして、ある種のアイディアが求められる。

でも、それができるからこそ、そこにバリューが生じる。

というか、そこにこそやりがいがあるのではないかと僕は思う。

納得可能性を帯びていれば人は納得する

繰り返すが、これは詭弁でないとは言い切れない。

大きな枠組みで言うなら、これは詭弁という範疇に入る話だろう。

でも、人間というのは、それが例え詭弁であったとしても、納得可能性を帯びているなら納得してくれるものだとも僕は考えている。

そして、納得可能性を帯びさせる為には、マネージャーは少なくとも意思を表明する必要がある。

リスクテイクにより戦略は一貫性を担保できる

それはある種のリスクテイクだ。

リスクを負っている者に対しては応分のリスペクトが返される。

それを上手にできる者だけが、戦略の一貫性を担保することができるのである。

そこには当然ながら、マネージャーの意思がなければならない。

如何に意思を失くせるかが勝負?

「中間管理職なんてものは意思を如何になくせるかが勝負である」という言明は、真実を言っているようで、ちょっと違うよな、と僕は思う。

もちろん、それは真理ではある。

でも、真理が必ずしも正しいとは限らない。

というか、それは価値観の問題であり、どのような仕事をしたいかによって評価が分かれる種類の話なのかもしれない。

少なくとも、僕は成果を出すことがマネージャーの一番の役割だと考えているし、戦略を一貫させることが成果を出す為には有効だと思っている。

そして、その為には意思というのは絶対不可欠なものだ。

意思がない奴よりも高い成果を上げればいい、それだけのことである。

それではまた。

いい仕事をしましょう。

あとがき

「戦略の一貫性を担保する為にはリスクを取る必要があり、リスクを取るということは意思を表明することと同義である」

それが僕が言いたかったことです。

でも、多くのマネージャーはこれが出来ていません。

というか、むしろ逆行しているとさえ言えるのかもしれません。

意思を表明し、リスクを取っていきましょう。