お荷物軍団の活躍のさせ方

期待されていない部下に期待する
(自分で言うのも何であるが)僕はあまり評価が高くない部下を再生させることに定評があるマネージャーと言われることがある。
そして、「どうやったらそれができるのか?」と問われることもある。
その際に僕が答えるのは、「使えない部下であれ、マンパワーであることに変わりはないのだから、使えるだけ使えばいいんじゃない?」ということである。
表現が難しいのだけれど、「使えない」とレッテルを貼られた部下は、多くの場合「放置」されているように僕には映る。
「手をかけて貰えていない」というか、厳しい言葉で言えば「無視されている」というか。
そのような「期待のなさ」がそこにはある。
そこに「期待する」というのが僕のアプローチ方法である。
そして、それは案外大きな成果をもたらすことがある。
今日はそんな話だ。
それでは始めていこう。
全体リソースの最適化とその負の側面
全体リソースの最適化。
それを考えた時に、「できる人に良い資源をたくさん充てる」というのは戦略構築上とても大事なことである。
でも、それを先鋭化させ過ぎると、「そこから漏れた人」が生まれることになる。
そして、一旦そのような「できない人」とレッテルを貼られた人は、リソースもないので、そこから這い上がることができない状態に据え置かれる。
このようなある種の階層構造の固定化。
これが全体リソースの最適化の負の側面であると僕は考えている。
パレートの法則は正しいと思うが…
もちろん、この種の考え方自体は賛成である。
パレートの法則でも言われるように、全体の成果の8割は2割の人間によってもたらされるものであるから。
でも、成果の残りの2割についてももう少し考えていく必要があるし、チーム全体のモチベーションというか、雰囲気作りというか、そういったことも併せて検討していくことが大事なのである。
そういう意味においても、「お荷物集団」をどのように活用するかというのは、マネジメントにおいてそれなりに重要な位置を占めることになる訳だ。
多くの人はここに取り組んでいない
しかしながら、多くのマネージャーはここにあまり意識的に取り組んでいないように僕には思われる。
確かに理由はわかる。
そこに手を入れたとて、得られるものはそこまで大きくはないから。
ただだからと言って、放置しておく訳にもいかないのではないか?
どうしようもないこともない
「いやいや、そうは言っても、できない人はできないのだから、どうしようもないのでは?」
もちろん、そのような言い分もよくわかる。
でも、そういう人たちを再生させてきた経験を持つ僕から言わせれば、「どうしようもないこともない」のである。
以下、その方法論を書いていく。
期待し、打席に立つ機会を与える
僕がよくやるのは、「期待する」ということである。
そして、その期待していることを示す為に「その場を設ける」ことを行う。
たくさんの「お荷物軍団」と呼ばれる人たちと接してきた僕が思うのは、この種の人たちは「打席に立つ機会すら奪われている」ということである。
もちろん、そのように「打席に立つ機会が奪われた」のには、それなりに妥当な理由があるとは僕も思う(例えば過去営業成績が振るわなかったとか、人間的に少し問題があるとか)。
ただ、それをそのままの状態にしておいても全体の成果は伸びない訳で、この人たちに少しでも機会を与え、成果を上げてもらうことは重要なことなのではないかとも思う。
新しいリソースを見つけるのがマネージャーの仕事では?
「でも、良いリソースは出来る人に渡しているし、そういう人に与えるリソースなんてないんですよ」
そのようなご意見もよくわかる。
でも、僕はそれに対してこうも思ってしまう。
「それを見つけるのがマネージャーの仕事なのでは?」と。
新しい場所はある
僕は「新しい場所」を見つけるのが得意なのだと、こういう話が出る度に思う。
皆、現在見つかっている場所のリソースのことしか考えていない。
でも、その周囲にも「場所」はある。
それを見つけ、そこにある資源を「お荷物軍団」にあてがうことがチーム全体の成果の底上げに繋がるのである。
新規ビジネスの開拓という前向きな話
これは言ってみれば「新規ビジネスの開拓」ということである。
そして、それは「前向きな話」である。
そのような「期待の掛け方」と「場所の提示」ができれば、「お荷物軍団」たちも意気に感じてくれる。
それが彼(彼女)らを活躍させる術である。
難しくないけれど、どうしてか皆やらない
これはそんなに難しいことではない。
でも、多くの人は面倒くさがってこれをやろうとしない。
僕にはそれがよくわからない。
固定化には問題も大きい
チームの中で「できる人」と「できない人」が分断されると、またそれが固定化されると、チームの雰囲気は確実に悪くなるし、緊張感もなくなってしまう。
ただ、ここに「入れ替え戦」の要素があると、そのようなデメリットを失くすことができる。
ある種の実力主義(とフェアネス)の導入。
それがチームマネジメントにはとても大事である。
エースだけでチームを運営し、成果が上がっているという状態は、言ってみれば誰がマネージャーであっても変わらないのと同義であり、マネジメントの腕を示す指標にはならないと僕は考えている。
「それ以外」のメンバーをどうやって使うかがマネージャーの腕の見せ所なのだ。
それではまた。
いい仕事をしましょう。
あとがき
「期待をする」というのは部下育成において非常に大事なことだと思っています。
これは「敬意を示す」ことと同義です。
多くのお荷物軍団達は敬意を払われた経験がありません。
だからこそ、少しでもそれが伝わると、彼(彼女)らは意気に感じ、その能力を発揮してくれます。
適切な敬意を持って接していきましょう。
