仕事を任せりゃ部下は伸びる

部下に仕事を任せるなんて簡単だ

仕事を任せられないマネージャーは多い。

そういう人に限って、部下が伸びないと文句を言っている。

そりゃそうだろう、というのが僕の感想である。

でも、彼（彼女）らは自分が仕事を任せられていないとは思っていない。

ここにマネジメントの課題があるような気がしている。

部下に仕事を任せることは（僕からすれば）難しいことではない。

しかしながら、多くの人がそこに困難性を感じている（というか困難性すら感じていない？）。

もしかしたら、そのギャップ（間）に日本のマネジメントを変える可能性が潜んでいるのかもしれない。

今日はそんな話だ。

それでは始めていこう。

仕事をさせよう

「部下を伸ばすにはどうしたらいいか？」

時折、そういうことを聞かれることがある。

僕の答えはこうだ。

「仕事をさせなさい」

当たり前だけれどできないこと

仕事をしなければ、成長はしない。

こんなことは文字に起こすと当たり前のことである。

でも、多くのマネージャー達はそれを実践できない。

部下に（特に新しい）仕事をさせることができない。

そこに部下が育たない理由があると僕は思う。

リスクを負う覚悟がないだけだろう？

では、なぜ多くのマネージャー達は部下に仕事を任せることができないのか？

それはそこで生じるリスクを負う覚悟がないからである。

当然ながら、自分で仕事をすれば、リスクコントロールは容易だ。

でも、それを他人に任せると、リスク管理は複雑かつ高度になる。

そして、万が一の時には責任を負わなければならない。

それが多くのマネージャー達は嫌なのだ。

滑稽かな、滑稽かな

だから、手元に仕事を置いておきたがる。

そのくせ「忙しい。忙しい」」などと嘆いている。

僕からすればこの光景は滑稽に映る。

でも、そんなことなど思いも寄らないようだ。

任せる＝丸投げではない

「いや、そんなこと言っても、部下に仕事を任せたらとんでもないことになりますよ」

彼（彼女）らは訳知り顔でそんなことを言ってくる。

確かに言わんとしていることはわかる。

ノーハンドで、部下に仕事を丸投げすれば、きっとそうなるだろう。

でも、部下に仕事を任せるということは、部下に仕事を丸投げするということではない。

任せるという言葉の意味とは？

これも文字に起こすと当たり前のことであると思うと思う。

しかしながら、その違いを理解し、実践している人は殆どいないのが実情である。

ここには言葉の理解が必要になる。

さて、「任せる」とはどういうことを指すのか？

成果責任はマネージャーにある

ここには「相手のしたいようにさせる」ということだけではなく、「成果の責任は共に負う」という意味が含まれていると僕は考えている。

でも、多くのマネージャー達はそれを「相手に全てを託す」と捉えているように感じている。

前者には成果責任（の大半）がマネージャーにあり、後者は部下にある、そんなイメージだと言えばわかり易いだろうか？

要は、その仕事の成果責任はマネージャーにあるので、その仕事が成功する為にはどのような任せ方をすればいいのかまでを考えることが必要になる訳である。

それをせずに、ポイっと投げるように「任せて」いたのでは、成果など上がるはずがない。

相手の部下の特徴や、繁閑の状況、今後のキャリアにおけるその仕事の位置づけなどを考慮しながら、仕事を割り振っていくのである。

サボっているだけでは？

また、それをその部下が腹落ちして、前向きに仕事をするように仕向けなければならない。

ここにも一定の労力がかかる。

そういう意味においては、仕事を任せるのは思いのほか大変なことであるのだ。

だから、多くの人は自分でそれをやってしまう。

そして、その理由を「部下の成果実現の可能性が低いせい」にしてしまう。

ただサボっているだけだろう？

辛辣な言い方にはなるが、僕はそのように思ってしまうのだ。

任せるというのは奥深い行為だ

また、このように仕事を任せていくことは、その部下が自分自身でどの仕事が向いているかを理解していくことに役立つ。

マネージャーと部下との対話、仕事に対するフィードバックが繰り返されることで、その部下の適性が浮き彫りになり、自分自身でもそれがわかるようになっていく。

その日々の積み重ねが、今後のキャリアを考える上でも有用になっていく。

これはプラスの面だけではない。

「何かが足りない」という自覚も生まれていくし、その為には何をしなければならないかを自分で考えるようになる。

そのくらい「任せる」という行為は奥深いものなのだ。

それを多くのマネージャーはわかっていない。

それが僕はとても残念である。

スキルのなさを叫んでどうするんだ？

仕事を任せるという行為は、多くにおいてマネジメント側の問題である。

そして、上記したように、そこにはそれなりの高いスキルが求められる。

それを理解せず、また意識せず、「部下に仕事なんて任せられない」「部下が伸びない」と不満を言うのは、自分のスキルがないことを叫んでいるに過ぎないと僕は思うのだけれど、それは言い過ぎだろうか？

試行錯誤しよう

いや、もちろん、言わんとしていることはわかるのだ。

でも、それをどうにかする為に試行錯誤するのも、またマネジメントの奥深さなのではないか？

僕はそのように思うのである。

それではまた。

いい仕事をしましょう。

あとがき

「マネジメントとは仕事を任せることである」

というのは言い過ぎでしょうか？

そんなこともないのではないか、と僕は考えています。

仕事を任せられないのであれば、その人はマネージャーではありません（プレーヤーです）。

どんどん仕事を任せていきましょう。