成果を指数関数的にしたいなら、ボラティリティを入れ込まなければならない

UnsplashAustin Herviasが撮影した写真

タイトルが全て

長いタイトルである。

そして、言いたいことは全てそこに書いているような気がする。

となると、ここから先は全て蛇足と言えなくもないのかもしれない。

でも、もしかしたらタイトルだけではわからない人もいるかもしれないので、それをもう少し噛み砕き、わかり易く書いていきたいと考えている。

それでは始めていこう。

成果を出すことは難しい

マネジメントにおいて大事なことは成果を出すことである。

それはこのブログ内でもずっと言っていることでもある。

でも、成果を出すことはそんなに簡単なことではない。

だからこそ、多くのマネージャーは安定的な道を通ろうとしてしまう。

結果、成果は凡庸なものに留まる。

それが僕が10年間マネージャーをやってきて(そして周りを見てきて)思うことだ。

安定性と爆発力

もちろん、気持ちはよくわかる。

安定的に高い成果を出せるならそれに越したことはない。

また、ホームランを狙いに行って、凡打ばかりでは目も当てられない(上からもどやされるだろう)。

となると、この安定性と爆発力のバランスを適切に取ることがマネジメントには求められる訳だ。

そして、多くの場合、安定性は既に十分すぎるほど入っているので、そこに爆発力を加えることが必要になる。

リスクとリターン

では、爆発力というのはどのようにしたら入れ込むことができるのだろうか?

「ボラティリティ」というのが僕の回答である。

投資の世界でもよく言われることであるが、リターンを得る為にはリスクを取らなければならない。

多くの人はリスクというのは怖いものだと捉えているけれど、それと上手く付き合うことなくしてリターンは得られないのである。

ボラティリティは上下にある

(これも初歩的な話で恐縮であるが)リスクというのはボラティリティのことであって、危険という意味ではない。

そして、それは下方向だけにあるのではなく、上方向にもある。

それをまず頭に入れることが重要である。

これをマネジメントに応用するなら、チームにボラティリティを入れ込むことが必要になるということになる訳だ。

成果は比例関係ではない

チームにボラティリティを入れ込むというのは、不安定性を許容するということである。

僕が言う「リスクを取れ!」というのは、ここにも関係してくる。

成果を大きく伸ばす為には、安定的な仕事ばかりしていては絶対に不可能である。

多くの人は、成果というものを比例関係で捉えていて、入力を大きくすれば出力もそれに応じて大きくなるはずだと考えているようだけれど、それは僕からすればかなり危うい考え方である。

それは昭和までで終わらせてしまわなければならない。

働ければ働くほど、成果が高まる訳ではない。

というか、少なくともそれは比例関係の線上に留まるだけである。

そうではなく、そこから離れるくらいの成果を上げる為にはどうしたらいいのかを考えることがマネージャーには求められるのだ。

10%ルール

では、具体的にボラティリティを入れ込むというのはどういうことを指すのだろうか?

非常に大雑把に言うなら、「部下に好き勝手にやらせる」というのが僕の回答となる。

イメージとしてはグーグルの「20%ルール」のようなものだ。

20%ルールというのは、勤務時間の20%は自分の担当業務以外の取り組みに充てていいという考え方であるが、これを日本社会に調整するなら10%ルールくらいが適切なのではないかと僕は考えている。

10%というのは、1週間の稼働日数を5日とするなら、0.5日(半日)ということであり、どこかの午前中か午後を担当業務以外に充てさせるというのが僕が実際に部下にやらせていることである。

これは逆に言えば、残りの90%のリソースで少なくとも100%の成果を出さなければならないということでもある。

バーベル戦略

このことは僕にタレブの「バーベル戦略」を思い起こさせる。

バーベル戦略というのは、投資やキャリアにおいて、リスクが対照的な2つの極端に資源を集中させる運用手法のことである(詳しくはAIなどに聞いて頂きたい)。

これはまた「ミドルリスクを避ける」ということにも繋がっている。

多くの人は、安定的な成果から脱する為にミドルリスクを取りに行こうとするのだけれど、それは僕からすれば悪手である。

そうではなく、ハイリスクを取りに行くべきなのだ。

でも、ハイリスクばかり取るとただの博打になってしまい、それが外れた際には悲惨なことになる。

だからこそ、10%くらいのリスクに抑えるべきなのだ。

快の感情を生むような仕事

そして、その10%においては部下に好き勝手やらせることが重要となる。

それは成果を目指すのではなく、部下が面白いとか楽しいとか思うような領域であることが望ましい。

目的や意味ではなく、その行為自体が快の感情をもたらすような仕事。

そこに意識を向けさせる。

むやみやたらにそこでは成果を求めず、「あれ? これって実は仕事になるんじゃね?」と後から気付くようなもの。

それをやらせるのだ。

その為に心理的安全性を確保することが必要になるのである。

心理的安全性と成果の指数関数性

心理的安全性は「仲良しクラブ」を作る為のものではなく、快の感情に駆動されて好き勝手やっても大丈夫なのだということを思わせる為に必要なものだ。

それが組み合わさった時、成果は指数関数的になる。

適切なボラティリティを。

それではまた。

いい仕事をしましょう。

あとがき

ボラティリティをどのように仕事に盛り込み、そしてそれを許容するか。

それこそがマネジメントなのではないかと最近は考えています。

これはよく言われるような「マネジメント=管理」という考え方とは大きく異なります。

残念ながら、管理とボラティリティは相性が悪いです。

というか、むしろ管理しないことが心理的安全性を生み、そこに指数関数的な成果を呼び込むことに繋がります。

適切に放任していきましょう。