抽象化と具象化の両建て
どちらか、もしくはどちらも出来ない人ばかり
物事の要点を掴めば仕事は簡単になる。
そんなこと言うまでもないことである。
でも、マネージャーになってから、人というのは案外要点を掴むことができないものなのだなということに気付いた。
というか、自分がそこに強みがあることに気付かされたというか。
それくらいこのことは僕にとってショッキングなことであった。
一方、要点を掴むことができても、それを具現化できない人もたくさんいる。
物事の本質はわかっても、それをどのように実現するかの道筋が思いつかない人。
それはそれで大きな問題である。
今日のテーマはこの抽象化と具象化の両建てについてである。
抽象化と具象化の両建てができれば、ビジネスパーソンとして無双できる。
それでは始めていこう。
抽象化された理想世界
マネジメントには抽象化と具象化の両建てが必要である。
日々の仕事を抽象化し、そこに含まれているエッセンスを抽出する。
そこにはモデルのような抽象化されたイメージが求められる。
そこで理想的な世界を構築する。
でも、それはあくまでも理想的な世界である。
現実ではない。
だからこそ、それを具象化する為の方策を考える必要が出てくる。
最大公約数を実現する為のルート構築
エッセンスをそのまま抽出すれば現実に適用できる訳ではない。
そこには働く人がいるから。
そして、その思惑は思いのほかバラバラだから。
その最大公約数みたいなものを見つけ、それを実現する為のルートを作ること。
これが僕が考える抽象化と具象化の両建てである。
どちらも片手落ちだし、自覚もない
ただ、この両方をできる人は殆どいない。
どちらもできない人はとりあえず置いておいても、どちらかしかできない人が大半だ。
それでもビジネスパーソンとしては重宝されるだろう。
でも、僕からすればどちらも片手落ちである。
抽象化だけでは成果に繋がらないし、具象化だけでは成果に限界が生じる。
この両者を往還することが、成果を実現しながらも拡張していくことに繋がっていく。
しかしながら、これがピンとくる人は本当に少ない。
大抵の人は自分はどちらもできると思っているからである。
輪郭がぼやけた抽象化
会社という組織の中で、上の方に上っていくと、抽象化に長けた人にたくさん出会うことになる。
確かに彼(彼女)らは物事の要点を掴むことには長けているように映る。
でも、本当のことを言うと、彼(彼女)らは具象化のイメージまでを持てていないので、抽象度を上げることは出来ても、解像度を上げることはできないのだよなと僕は思ってしまう。
それはまるで画素数の少ないデジタルカメラみたいなものだ。
抽象度を上げると、輪郭がぼやけてしまう。
もちろん、そこで言っていることにエッセンスが含まれていない訳ではない。
でも、イマイチそこには具体性が足りないのだ。
だから、戦略にキレがなくなる。
しかしながら、戦略にキレがないなんてことは思いも寄らない。
ここに抽象化が得意な人の弱点がある。
限界値が規定された具象化
一方、現場に近づいていくと、具象化が得意な人に出会うことになる。
彼(彼女)らは現場の人達の感性を理解し、どのように人を動かしたらよいかに長けていることが多い。
でも、その視点はあくまでも現場レベルであり、抽象度が低いので属人的なものになりがちである。
また、そこには拡張性がない。
「マンパワーの最大化(限界)こそが成果の最大化(限界)である」というような考え方がそこには潜んでいるように僕には思える。
そして、往々にして前例踏襲的であるし、変化に対して過剰に抵抗を示す傾向があるとも思っている。
ここに具象化が得意な人の弱点がある。
では、その両方を行う為にはどうしたらいいのだろうか?
具象から抽象へ。そしてまた具象へ。
僕からすれば、これはそんなに難しいことはない。
まずは現場レベルで成果の最大化を図るべく、具体的な施策を展開する。
でも、早晩その最大値に達することが起きる。
そうしたら、その現状を抽象化していく。
どこに要点があるのかを捉え、その抽象度を上げていく。
それによって成果の可能性を拡張する。
それを今度は具象化していく。
以前とは違う状態に
これは抽象化する前の状態とは異なったものである。
その「異なり具合」に対して、現場のメンバーの反発を生まない程度の施策を考え、実際に彼(彼女)らに体感してもらう。
それが成果に繋がると、彼(彼女)らは喜んでその施策を行うようになる。
そしていつしかそれがまた最大値に達する。
以下(無限に)繰り返し、である。
苦手な方を任せてみる
これはどちらが優れているということではない。
その時の状況によって、抽象化と具象化のどちらが必要なのかが異なるのである。
でも、大抵の人は自分が得意な方しかできない。
そうすると、そこでチームの成長はストップしてしまう。
それを打破する為には、自分がどちらの方が苦手なのかをきちんと理解し、その苦手な方を誰かに任せることから始めてみると良いと僕は思う。
もちろん、どちらもできるに越したことはない。
ただ、そういう人は本当にいない。
だとしたら、不得意な方を別の誰かにやって貰えばいいのだ。
そうすれば結果的に抽象化と具象化の両建てが実現できるだろう。
それではまた。
いい仕事をしましょう。
あとがき
ミドルマネージャーレベルではそうでもないですが、そこから上に上がると抽象化は得意でも、具象化はてんでダメという人によく出会います。
でも、その人はその自覚がない。
言っていることは机上の空論めいたものなのに、本人は大真面目。
しかしながら、それなりに偉いポジションにいるから誰も何も言えない。
そういう場面をたくさん見てきました。
そんな僕が思うのは、「どちらも大事」という当たり前のことです。
両方を行ったり来たりすることで、チームは成長していきます。
どちらもできるように訓練していきましょう。

