対症療法は効かない

面従腹背の可能性を常に考えておく
表面に見えるものは一部に過ぎない。
これはマネジメントを行う際に必要な心がけであると思う。
もちろん僕のような「へなちょこ課長」くらいのところで隠されるような事実なんてものに大した意味はないのだろうけれど、それでも「生データ」とは違うものが上がってくることが多いし、そこにはある種の恣意性が紛れ込んでいるものだ。
そしてその恣意性にも意識的なものと無意識的なものがある。
それを上手に嗅ぎ分けながら、本質はどこにあるのか、出てきていない情報の中に本当のクリティカルポイントがあるのではないか、と考えながら改革を行っていくことが重要となる。
目の前に出てきた事象をありのままに受け止めないこと。
それは面従腹背の所産であるかもしれないと疑うこと。
そんなことを今日は書いていこうと思う。
モグラを叩いても解決はしない
モグラたたきゲームで首を出したモグラを順番に叩いていくように、チームマネジメントを行っていると、様々な問題が次から次へと起こってくる。
かつての僕自身もそうだったように、この「出てきたモグラを叩くこと」を「治療」だと考えてしまうことは危険である。
自分としては、様々に襲い掛かってくる問題に対して、スピード感を持って取り組んでいるように思うのだが、それはあくまでも「対症療法」に過ぎないのだ。
大事なものは、テーブルの下に隠れている。
穴を覗いて、その正体を探ること、それは大きなリスクを伴うことも事実なのだけれど、これをしなければ、問題というものはなくならない。
もちろん、全てのモグラを一掃することは不可能なので、その中から本当に危険なものは何なのかを探って、そこに焦点を当てて取り除くようにすることが肝要だ。
生の情報を集める
ではどうやってこれを行うのか?
それは「一次情報」を集めることに尽きる。
できるだけ加工されていない状態(生の状態)を把握して、そこから対策を練ることがとても大事だ。
反対に、安易に誰かの意見を参考にして対策を打つのは絶対にやめた方がいい。
特にベテランと言われるような人や、お局と呼ばれる人の意見には注意が必要だ。
そこには必ず何らかのバイアスがかかっている。
それもとても大きなバイアスがかかっている。
それは当たり前の話で、人間というのは誰しも自分の立場が有利になる方向に持っていきたいと思う生き物であるからだ。
話半分に聞いて、他の角度からも情報を集めていく。
それがとても大事だ。
耳に届く情報は加工されたものである
これは職位が上がれば上がるほど難しくなるものだ。
「一次情報」は意識的にせよ無意識的にせよ、上に上がるにつれて耳触りの良いものに加工されていくようになる。
自分のところに届く頃には毒がないか、毒がだいぶ弱められているものになっている。
それを鵜呑みにして対策を打っていくと、必ず失敗する。
的外れな改革ほどリーダーの信頼感を損ねるものはない。
もう少し意地悪な言い方をすると、ベテランやお局の「言いなり」になっていると糾弾されることすらある。
現場に入って一次情報を得る
では、一次情報はどのように入手するか?
それは「現場に入る」ことに尽きる。
一緒になって「泥に塗れる」ことに尽きるのだ。
これは課長くらいであればそんなに難しいことではないけれど、部長や本部長やその上になっていくと、そうも言っていられなくなるのが現実である。
それでも何とか機会を見つけて現場に入っていくことが重要だ。
できるのであれば、同じ状況で同じ仕事を(たとえ短時間であっても)同じように行う。
そこで得た「生の声」ほど判断の材料になるものはない。
もちろん、現場には現場のどうしようもない現実、抜き差しならない困難性があるので、それをそのままの状態で直すことは不可能だし、やめた方がいい。
あくまでもそれは「一次情報」として扱うべきなのだ。
その「一次情報」を持ち寄って、自分なりに分析を重ねて、手をつけるところを定める。
根治すべき箇所を決める。
そうやって物事を少しずつ進めていくのだ。
機を見ることも大事
もう少し本音を言うと、こうやって調べていった結果、「手をつけるべきではない(少なくとも今は)」という判断になることもある。
そこで手をつけることによって、大きくバランスが崩れ、現場が混乱してしまう可能性が高い、そんな時は一旦改革を留保する勇気も大事だ。
もちろん一次情報を収集してしまった手前、「結局何も変わらないじゃないか」という批判の声が出てしまうことも事実だ。
その時の判断はとても難しいのだけれど、多少批判されても、「機を見る」ことを僕は重要視することが多い。
いつかそれを行うタイミングが来る。
それまでじっと戦況を見つめておく。
時機が来たら、一気呵成に改革を進めていく。
中途半端が一番良くないのだ。
八方美人は誰も味方にできないのだ。
この辺のバランス感覚、どこでどこまで進めるべきなのか、そうすべきでないのか、を身に付けていくことで、大きな地雷を踏まないで進んでいくことができる。
そう、まさにマネジメントとは地雷原を歩いて行くことに他ならないのだから。
それではまた。
いい仕事をしましょう。
あとがき
本質を見極めることができない人と、見極められても実行に移せない人とではもちろんフェーズは違います。
でも結果は一緒です。
そして、せっかくの一次情報を集めても、それを上手に活かすことができない人というのは存外多いような気がしています。
「俺すげえ」的な話に捉えられてしまうかもしれませんが、僕はたくさんの人たちが集まる場所におけるクリティカルポイントを探す能力が人より優れているようです。
ただ、(それが故に)実行に移すフェーズでたくさんの失敗をしてきました(頭でっかちになって、なんでこんなことに気付かないのか、できないのかと思い上がってしまうからです)。
そういう苦闘の中で体得したのが、理論も実践も大事、ということです。
何を当たり前のことを、と思われるかもしれませんが、現場に入りながら理論的なことを実践していく能力は一朝一夕で身に付くものではありません。
そこにある現実を直視しながら、そこにいる人達の性格や能力を把握しながら、時に妥協を重ねながら、理想に向かって一歩ずつ進んでいくこと。
それはとても大変なことです。
でもそれができた時、組織は大きく変わっていきます。
現場の泥臭さに身悶えしながら、僕は今日も理想を胸に働いていきます。
この文章が皆さんの力に少しでもなれていたら幸いです。