マネージャーをきちんと評価できるマネージャーは(あまり)いない
手っ取り早く成果を上げている人を昇進させるべきなのか?
マネージャーの優劣はどのような点からわかるのか?
これは結構難しい問題だと思う。
僕は度々「成果」ということに言及してきたけれど、一口に成果と言っても、その時間軸によって評価の考え方は大きく変わる。
営業の世界においては、短期的な成果だけを追求するのであれば、それはそんなに難しいことではない。
言葉は悪いが、「焼き畑」営業をすれば、それはかなり高い確率で実現できる。
もちろん、人によって「焼き畑」の定義は異なるし、無意識にやっているマネージャーはとても多いので、議論が分かれてしまうことは承知している。
でも概念的にはこれは間違っていないと思っている(共感してもらえるかどうかは別として)。
そういう意味において(もし僕が言っていることが合っているとするなら)は、マネージャーが手っ取り早く成果を上げたいということであれば、「焼き畑」営業をすれば良いということになる。
そして、そういうマネージャーを昇格させていくべきだ、ということになる。
でも、本当にそうなのだろうか?
短期的にはパッとしない人を昇進させるべきなのか?
比較対象としてもう1人のマネージャーを登場させてみる。
こちらのマネージャーは長期的な成果を目指して(CRMを意識して)、業務に励んでいるとする。
しかしながら、往々にして長期的な成果というのは、短期的に見るとパッとしないものとなる(特に最初期段階では)。
顧客との関係性も良好だし、部下からも慕われているけれど、成果はあまり上がっていない。
上がりそうな雰囲気(萌芽)はあるけれど、実際にどうなるかはわからない。
もしあなたがこの2人のマネージャーの上司であるとして、どちらかを昇格させなければならないとするなら、どちらを選ぶだろうか?
組織としてどのように考えているか(局面も含め)によって変わるものだけれど…
もちろんここには2人の上司である自分自身の評価がどのようになされるかも大いに関係してくる(自分の更に上司が自分をどのように評価するのかも関係してくる)。
組織的に短期的な成果を何としても上げなければならない局面であれば、間違いなく前者のマネージャーを昇格させるべきだし、そうでないのであれば、なかなか悩ましい問いだと思う。
ましてや、後者のマネージャーが初任マネージャーだったりして、今までに成果を上げたという実績がなければ、その悩みはより深いものになる。
もう少し付け加えるなら、これはあくまでも「成果」を軸にした評価にしか過ぎなくて、他の面を加味すると、更にこの話は複雑化していく。
たぶん解はない。
現実的には、その上司の価値観(組織の価値観も含まれる)を基に昇格者が決まるのだろう。
同じような成果度合いであったとしても、Aという上司であれば前者が選ばれ、Bという上司であれば後者が選ばれる、そんなことが起こるのだろう。
もっと端的に言うと、「好き嫌い」によって決まるのだろう。
焼き畑営業を上回るような成果を長期的に上げた人はそんなに多くないのでは?
これはもちろんマネージャーの評価に限ったことではないけれど、ことマネージャーにおいては評価方法が固まっていないのではないか、というのが今回の話の主旨となる。
その原因は長期的に成果を上げることができた(それも焼き畑営業の成果を上回るような)マネージャーが(あまり)いないということなのだと僕は思っている。
当たり前の話だけれど、どの企業にも決算というものがある。
会社によっては半期であったり、四半期であったりするけれど、ある決められた期間というものがあって、その期間内に成果を上げることが求められる。
そして前述したように、その営業方法が焼き畑であるかそうでないかというのは、主観的な話に過ぎない場合が多い。
それなら、なぜ焼き畑営業をやらない?
そのような帰結になるのだろう。
理想を追う=中二病?
後者のマネージャーのやり方というのは、中二病とは言わないまでも、自分の理想をただ押し付けているだけに過ぎなくて、その美学に酔っているだけ、そんな風に見えなくもないのだ(実際にまだ成果も出ていないし)。
そして、本人もそのような外圧に耐えられるだけの自信も経験もないので、だんだんと誘惑に負けて短期的な成果に走りがちになってしまう。
結果として、長期的な成果を継続して出し続けているマネージャーというのはごく少数になる。
自分にそのような経験がないマネージャーたちが昇進して、今度は部下となったマネージャーたちを評価していく。
同じ話だ。
なぜ、焼き畑営業をやらない?
きっとそういう問いが繰り返されるのだろう。
楽しく仕事をしながら成果を出す人を増やしたい
僕はそのような最初期段階を何とか潜り抜けることができた。
自分なりの試行錯誤を経て、様々な外圧を排して、長期的な成果を上げることができている。
ある程度の実績が過去にあるので、それに対してとやかく言われることはだいぶ減ってきた(まだあることはあるが…)。
そして幸か不幸か、昇進というものに対しても興味がなくなってしまっている。
だからそういう営業をしている者達を評価していきたいと思っている。
そこにはもちろん最終的に高い利益が生じるので、結果として会社の為になるということはあるけれど、もう少し個人的なところで言うと、単純にその方が仕事が楽しくなると考えているからだ。
ただでさえつまらない仕事をこれ以上つまらなくしてどうするのか?
それが僕の基本的な考え方だ。
限られた環境の中で、少しでも仕事が面白く思えるような形を目指していく。
理想だけでなく、結果も出しながら。
そしてそういう人たちを増やしていく。
その為に必要なノウハウ(と呼べるほどではないかもしれないけれど)をこのブログに書いていく。
それではまた。
いい仕事をしましょう。
あとがき
「成果を出す為には、苦労しなければならない」
「楽して得られたものには、価値がない」
こういう観念がまだまだ強いように僕は感じています。
特に管理職においては、「きちんと部下を追い詰めることができる人」を「管理ができる人」というように考えるようで、僕には違和感しかありません。
個人的には仕事は楽して(そして楽しく)やりたい。
そんな僕が最近考えているのは、「サブスクリプション・モデルを何とかマネジメントに持ち込めないか」ということです。
まだまだ考えはあやふやですが、「自動的に成果が出るような仕組みを作れないか」ということをぼんやりと考えています。
「管理しない管理者」である僕は、管理者としてきっと不適格なのでしょう。
でも僕は管理をせずに、淡々を成果を出していこうと思っています(どうせ評価はされないでしょうけれど…)。
参考になれば幸いです。