伸びる社員の見分け方

伸びる社員を伸ばせばいい

停滞するチームを向上させるには、構成員であるメンバーの能力を向上させるしかない。

ただ、全てのメンバーの能力が向上するわけでもない。

では、伸びる社員というのはどのような社員であるのであろうか?

「2・6・2の法則」で知られるように、集団というのは、必然的に上位2割・中間6割・下位2割というような構成になるので、「下位2割を伸ばせば手っ取り早いんじゃない?」と思うマネージャーも多いだろうが、ここでの話は少し異なる。

「2・6・2の法則」というのは集団における特徴みたいなもので、下位2割を引き上げたとしても、別の人が下位2割に転落するので、集団としての構成比率は変わらない、ということを示している(働きアリでもそのような構成になるそうだ)。

そして下位2割にトレーニングを施したとしても、元々が下位2割に属する人たちなので、正直そんなに効果はない(上記した下位2割を引き上げる、という概念自体にそもそも無理がある)、と僕は思っている(これは2・6・2の法則というよりは、属人的な問題のような気もする)。

では、どうするのか?

答えは伸びる社員を伸ばせばいい、ということになる。

そして伸びる社員というのは、学習意欲の高い社員のことであるのだ。

そんなことを今日は書いていく。

1日1歩、3日で3歩

不確実性が高い時代において、経験やスキルというのは相対的に陳腐化していく傾向にある。

そんな中で、一定以上の成果を残し続けるには、本人がバージョンアップ(アップデート)していくしかない。

僕はそんな風に考えている。

それは何も「日々変革を成し遂げていく!」みたいな大げさな話ではなくて、OSのアップデート(大型アップデートではなく)をしていくみたいに、ちょっとした補正を続ける、ということである。

サラリーマン人生は長い。

1日単位ではちょっとのズレであっても、1年経てばそこそこのズレになるし、10年経てば大きなズレになる。

これを補正できるかどうか、がその社員の成長性を左右する。

現状維持ではなかなか難しいのだ。

新奇の学習で補正する

ではその補正というのはどのように行うのか?

それは学習によって行う

それも新奇(新規よりも新奇のイメージ)の学習によって行う。

もう少し詳しく書いていく。

好奇心の強さが成長性を左右する

伸びる社員を見ていて思うのは、どの社員も「好奇心が強い」ということだ。

隣で何か効果的な手法をやっているという話を聞くと、「それはどのようにやるのか?」ということを尋ねてくるし、それを自分なりにやってみようとする

もちろんそれを「モノにする」というスキルの高さが関係ないこともないのだけれど、どちらかというと、新しい物事に対する抵抗感の低さ(好奇心の強さ)の方が重要である、と僕は考えている。

好奇心が強い、というのは、新しいことを受け入れるだけの心の柔軟性があるということだし、取り敢えずやってみる、という姿勢は現代において必須とも言っていいくらいのものだ。

この新奇の物事に対して「面白そう」と思えるかどうか(実際にできるかどうかではなく)、がその社員の成長速度を左右するのだ。

嫌な仕事を遠ざけるか近づくか

これはネガティブな物事においてはより顕著に現れる。

サラリーマンとして働いていると、「嫌だけれどやらなければならない仕事」というのは必ずある。

というよりも、むしろその方が多い。

その「嫌な仕事」に対しての取り組み方が重要なのだ。

大抵の社員は、「嫌な仕事」に対して、「嫌だなあ…、できるだけやらないようにしよう」と思い、自分から遠ざけるように動く。

一方、伸びる社員というのは、この「嫌な仕事」に対して、「どうせやらなければならないのだから、せめて面白くやれる方法はないか」と考え、近づいていく。

ここに大きな違いが生まれる。

能動的に異物を受け入れる体勢を作れるか

学習意欲、というのは、何も机に座って試験勉強をしたりすることだけを言うのではない。

新奇の物事に対する前傾姿勢のことを言う。

能動的に異物を受け入れる体勢のことを言う。

僕はよく「咀嚼」という表現をするけれど、こうした「自分なりに置き換える行為」「自分を納得させるスキル」みたいなものを早い段階で身に付けられると、その社員は確実に成長することができる。

でも、残念ながら、これができる社員というのはそんなに多くないのも事実だ。

特に若手にはどんどん少なくなってきている印象である。

それはなぜか?

「答えがある」ことが1つの要因であると僕は考えている(これについてはまたどこかで話す)。

所与の概念をぶっ壊す

「検索すれば、答えが出る」という世界が当然のものである彼らは、世界に対するスタンスもどちらかというと受動的であることが多い。

答えは外から与えられるものだ、と無意識的に思っている。

それを出来だけ早い段階で壊すこと。

少なくとも、「このままの自分で何とかなりそう」ということが固着化する前には壊しておくこと。

それができればその社員の成長はある程度望めるだろう。

大事なのは最初だ。

それが上手くいけば、後は勝手に漕いでいける。

それではまた。

いい仕事をしましょう。


あとがき

賢さ賢しさ小賢しさ

賢い社員は伸びますが、賢しい社員と小賢しい社員は伸びません。

それは世界の広さを自ら規定していることから生じているような気がしています。

検索エンジンは世界ではありませんし、そこで調べたことが現実ではありません。

頭でっかちで既成概念で一杯の若者たちの脳を柔らかくするには、面白いと思わせるような、好奇心を掻き立てるような、仕組みが必要です。

彼らのクソみたいな壁をぶち壊していきましょう。