半可通に愛想笑いを
たくさんのニセモノたち
仕事柄、「通ぶっている人」に良く出会う。
それを僕は「ニセモノ」と呼んでいる。
そしてそれを簡単に見分けることができる。
でも、多くの人にとっては、ニセモノとホンモノを見分けるのは難しいようである。
営業という仕事には(他の仕事もたぶんそうだろう)運と実力の両方が必要であって、短期的には運の要素が、長期的には実力の要素が強くなっていく。
ただ、それを客観的に捉えられる人は少ないし、たまたま運によって成果を出しただけなのに、「その道を究めました!」みたいな顔をしている人を見ると、僕は何とも言えない気持ちになるのである。
このようなたくさんの「半可通」達にどのように対処していけばいいのか?
今日はそんな話をしていく。
畑違いの分野のマネジメントをする場合にはどうすべきなのか?
マネジメント業務において、マネージャーがその道のプロである場合とそうでない場合がある。
僕の場合は、自分が現在担当している業務の経験が長く、部下達も僕のことをそのように認識している(と思っている)ので、「こいつ仕事分かんねえな」という感じでの対応をされることはない。
そういう意味では僕はその道のプロであると言える(あくまでも主観的な評価にはなるが)。
でも、人によっては、畑違いの分野のマネージャーをやらなければならない場合もあるだろう。
そういった時に、どのように部下と接することが望ましいのか?
たぶん一番やってはいけないのが、今回のテーマでもある「半可通」対応である。
どこかで聞きかじったような話、本に書いてあったような知識、たまたま上手くいった経験、そんなものを土台として、「いや、それはこうすればいいんだよ」と通ぶって話をすることは絶対に避けるべきである。
もちろん、この話は業務分野によってその軽重は異なることではあると思う。
でも、大抵の仕事においては経験年数(経験量)というのはとても大事であるし、一定以上の仕事量をこなさないと、細かい部分まではわからないものであると思う。
イージーモードとハードモード
「いや、じゃあ、マネージャーはその分野の経験者でなければマネージャーになってはいけないのか?」
「そうではないけれど、その方が簡単ではあると思う」というのが僕の答えである。
それはゲームにおける「イージーモードとハードモードくらいの違い」であり、初心者でもやってできないことはないけれど、注意しなければやられてしまいますよ、というイメージである。
マネジメント業務における大半のスキルは汎用的であり、具体的な業務分野のスキルとは異なるものではある。
でも、一歩踏み込んだ指導をしようとしたり、何かマネージャーがアクションを起こした時に、部下がどのような思考回路を持ち、どのようなハレーションが起きるのかを想定したりする場合には、ある程度具体的な業務分野のスキルは必要になると僕は思っている。
要は、考える範囲が広くなってしまう感じである。
自分の畑の仕事であれば感覚的に終わらせられるものも、そうでなければ色々な想定をしておかなければならなくなる。
それがイージーモードとハードモードの違いだ。
でも自分がハードモードを選択したのに、イージーモードであると勘違いして、見当違いなことを言ったり、やってしまったりすると、この時の反応は激烈なものになる。
ましてや、それが付け焼刃の生半可な知識で武装されていたりすると、その反発はさらに大きなものになる。
高いプライドを持つ「職人たち」との仕事の仕方
これはもしかしたらどの分野でも同じなのかもしれないけれど、僕は営業担当者と話をしているといつも「職人」と接しているように感じる。
彼ら(彼女ら)はそれぞれの仕事のやり方があり、今まで結果を出してきたという自負があり、マネージャーであったとしても、その話をすんなりと受け入れてくれるということはまずない。
じっくりと時間をかけて、マネージャーの話が納得的なものであるか、採用するほどの価値があるものなのかどうか、を吟味していく。
一旦それが受け入れられれば、彼ら(彼女ら)との関係性は強固なものとなるけれど、そうでない場合は、永遠とその距離は埋まらない。
愛想笑いでかわされるだけだ。
営業マンは営業スキル(対人スキル)が高い人が多いので、マネージャーに対しても嫌な気持ちにさせることは殆どない。
でも、心の中では軽蔑していたりするし、生半可な話が彼らに採用されることはまずない。
徹底的に面従腹背される。
それにニセモノたちは気付けないのだ。
1つ1つ証明していくことの大切さ
僕は新しいチームに着任する時、新しい部族と接するくらいの緊張感を持ってそこに入っていく。
僕には敵意はないこと、獲物を捕るだけのスキルは持っていること、人を率いるだけの人間味もあること、それらを共に生活をしながら、1つ1つ証明していく。
初めは興味がなさそうな人達も、段々と僕の話を聞いたり、一緒に仕事をしたりしていく中で、段々とリーダーとして認めてくれるようになる。
いつも言う話であるが、席にいるからリーダーになる訳ではなく、皆に認められるからリーダーとなるのだ。
それを勘違いしてはいけない。
余談にはなるけれど、もしあなたの上司が「半可通」型であっても、愛想笑いでやり過ごせばいいと僕は思っている。
度が過ぎてくれば別であるが、テキトーに対応しておけばいい。
部下からの信認の方が大事である。
それではまた。
いい仕事をしましょう。
あとがき
ヤンキー漫画ではないですが、着任当初に「ナンボのもんじゃい!」みたいな感じでメンチきってくる人達と僕は何度も仕事をしてきています。
僕自身は強面ではないですが、腕っぷしは強いつもりですし、実際に手合わせをする中で、徐々に認めてもらっていく、そんな感じでマネジメントをしています。
それは野生の動物同士の戦いみたいなもので、実力がモノを言う世界です。
口だけでは通用しない、厳しい世界です。
でも一方で、実力があれば認めてもらえるし、仲間として歓待されるとてもシンプルな世界でもあります。
僕はそういう頑固な職人たちが好きでたまりません。
腕を磨いていきましょう。