成功体験に固執しない

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戦術や戦略は時代と共に変わっていく

マネジメントには、調整アップデートが必要である。

(これは戦術にチームを合わせるか、チームに戦術を合わせるか、という議論にも繋がってくるのだけれど、僕はチームに戦術を合わせるというマネジメントスタイルを取っているので、そのことを念頭に以下読んで頂けるとありがたい)

過去の栄光、過去の成功体験は取り敢えず脇に置いておいて、現在のチームに合ったやり方に調整し、アップデートする必要がある。

もちろん、「勝利の方程式」みたいなものは持っていて良いと思う。

でも、それがすぐに適用できるかどうかというのはまた別の問題である。

マネジメント業をずっとやっていて思うのは、サッカーの監督と同じで、戦術や戦略というのは時代と共に変わっていくもので、芯として貫かなければならない部分と、変えていかなければいけない部分がある、ということである。

あまりにも「オレ流」に固執してしまうと、それはそれで問題となるし、成果が上がらなくなってしまうのだ。

今日はそういう話をしていく。

再現性を追求する為に

誰しも成功体験を再現したいと思う。

再現性を追求したいと思う。

それは僕だって同じである。

「過去上手くいったことを、現在にも当てはめれば、きっと同じように上手くいくはずだ」

そのように考えてしまうのはむしろ自然なことでもある。

でも、そこには調整とアップデートが必要になることは覚えておいた方がいい。

というのは、そこにいるメンバーは過去のメンバーとは異なるし、世代も新しく変わっていっているからである。

「やり方が悪いからダメなのだ」という落とし穴

よくあるのが、「過去の成功体験が再現できないのは、現在のメンバーのやり方が中途半端である、だからお前らはオレの言う通りやればいいのだ」という(僕からすれば)勘違いである。

このタイプは特にベテランのマネージャーに多い。

言わんとしていることはわからないことはない。

というか、部分的には合っている。

でも、それを貫き通してしまうと、マネージャーがメンバーからどんどんと乖離していくのだ。

「調整」と「妥協」は違う

僕はどんな物事においても「オレは正しい、お前らは間違っている(ジャイアニズム)」というスタンスを取ると、物事は円滑に進んでいかないと考えている。

事実として完全にそうであったとしても、そのような意識を持っているだけでNGである。

「オレはこう思う。でもお前らの言う通りこの部分はおかしいかもしれない。だから修正する。だからお前らもちょっと歩み寄って欲しい」

これが「調整」」ある。

でもある種の人にとってはそれは「妥協」と映るようだ。

僕はそれは間違いだと思う。

「成果」と「オレ流」のどちらが大事?

マネジメントというのは人を相手にする仕事で、人というのはどんどんと変化していく。

それこそ1日の中ですら、どんどんと揺れ動いていく生き物である。

大事なのはそのような流動性のある人という生き物を機嫌良く働かせて、成果を上げることであって、「オレ流」を守ることではない。

僕の最優先項目は「成果」である。

ここがどうも理解されない。

年齢と乖離

言葉の言い方なのかもしれないし、妥協と呼びたければ呼べばいいという話なのかもしれない。

ただ、もしそれを妥協であると思うのであれば、きっと成果は上がらないし、成果を上げ続けることは不可能だろう。

自分が偉くなればなるほど、現場の感覚とのイメージは離れていく。

そこにはきっと「年齢」というものも関係している。

往々にして、メンバーの年齢構成はあまり変わらないので、マネージャーとメンバーの年齢差はどんどんと開いていくことが多い。

そこで調整なりアップデートを行わないと、「ああ、おじさんがまたなんか古臭いこと言っているわ…」という受け止め方をされがちである(たとえマネージャーの言っていることが完全に的を射ていてもそう受け止められてしまう)。

対話を続ければ、微妙なズレは修正できる

僕はこの調整とアップデートを1on1でやっている。

ありがたいことに、僕が間違ったやり方や、ズレたやり方をしていると、「いや、マネージャー、あれはちょっとおかしいと思いますよ」ということをメンバーから指摘してもらえるので、そこで考えを改めることができるのである。

もちろんその話を受けて、変更するか、そのまま走るか、は僕が判断する。

ただ、そう思っている人がいるのだな、ということは真正面から受け止めるべきだし、それに対して、調整やアップデートで改善できるものなのかどうか、というのは検討すべきであると思う。

それは「流される」というものとは別物だと僕は思っている(けれど、そうでないと考えるマネージャーは多い)。

芯がなければ、それは流されると同義になってしまうけれど、それを受けて、「いや、こういう意図でやっていたのだけれど、やっぱりおかしい?」と問うことは流されるということとは違うのである。

それが「対話」である。

対話以外にマネージャーの仕事ってあるのか?

改めるべきところは改めればいい。

貫き通すところは貫き通せばいい。

そのバランス感覚だけを失わなければ大丈夫である。

忙しすぎてメンバーと話す時間などない、というマネージャーは多い。

仮にもしそうなら、あなたの仕事のやり方を見直した方がいい。

その方が成果は上がる。

その話はまたどこかで。

それではまた。

いい仕事をしましょう。


あとがき

「こんなに話を聞いてもらったマネージャーはいない」

僕は時々そういうことをメンバーから言われます。

それは別に僕が聞き分けの良い善人であるということではなく、単純に成果を追求したらそうなったということなのですが、多くの人にはよくわからないようです。

「プレーするのはメンバーであり、その精度を上げる為にはどうしたらいいのか?」

「コンディションや機嫌が良い方が仕事の精度は上がるよね?」

「その為には普段からマネージャーがメンバーと話をして、その状態を理解しておいた方がいいよね?」

僕の思考回路はこれだけです。

マネージャーがメンバーに言葉を届かせることができなければ、チーム力は向上しません。

そしてそれは簡単なことではありません。

日々の地道な対話を続けていきましょう。