細かいストレスを取り除く

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大きなものと小さなもの

マネージャーの仕事は、メンバーが働きやすい環境を構築することに尽きると僕は思っている。

それさえできれば、後は彼ら(彼女ら)に任せておけばいい。

自動的に成果が上がるようになる。

ただ、「働きやすい環境」と一言でいっても、そこには様々なものが内包されている。

大別すると、「大きなもの」「小さなもの」である。

「大きなもの」は、組織の変革など、自分のチーム単位ではどうしようもないものも含まれるので、変更が難しい場合も多い。

一方、「小さなもの」は、ある程度自分(マネージャー)の裁量でどうにかできてしまうものが殆どである。

往々にして、大きなものを変えて、大きな成果を出したくなるのが人間の性ではあるけれど、それに伴う返り血も大きいのも事実であるから、今日は小さなものに焦点を当てて話をしていく。

それでは始めていこう。

流れを阻害するものを取り除く

最近思うのは、仕事には細かいストレスがたくさんある、ということである。

つっかかり、と言い換えてもいい。

要は、そこで良い流れが一旦止まってしまうものがあって、それがあるとチーム全体が「ノって」いかないのである。

この細かいストレスを取り除いて、流れをスムーズにすることが結構大事なのではないか、と思うのである。

やらなくてもいいのにやっている仕事をやめる

ここで言う細かいストレスというのは、本当に些細なものである。

不要な報告物とか、会議資料とか、会議そのものとか。

皆様も心当たりがあると思うけれど、この種の「やらなくてもいいのに、やっている仕事」ほど、疲れるものはない。

これを取り除くのである。

もちろん、組織運営上、そうは言っても取り除けないものもあると思う。

なので、そこまで肩ひじを張る必要はない。

チームの中でできるくらいの小さなもので構わないのだ。

それを洗い出して、やめる。

これが実は結構効くのである。

意識しないと流れてしまう

これをやるポイントとして大事なのは、そのような細かいストレスというのは意識すると案外出てこないものなので、その事象が発生するたびに都度メンバーから出させる(自分でも出す)、ということである。

無意識に、習慣的に、やってしまっているものを疑う。

本当に必要なものだけを残すようにする。

これだけでだいぶチームの雰囲気は変わると思う。

口で言うのは簡単

これはマネージャーのスタンスの表明でもある。

「本質的なものに注力しよう」と、言葉で言うのは簡単である。

でもミドルマネージャーという仕事上、不要なものを自分の上司から頼まれることも多い中で、そのスタンスを貫けるかどうかは実際問題結構難しい。

そして、そのような不要な仕事をやっていることで、「仕事をやっている」と思わせられると考えている人も組織の中には多いものである(もちろんそれが不要であるとは本人は思っていない訳だが…)。

それをやめてみる。

仕事をすっきりさせる。

そうすればメンバーのストレス値は大幅に下がるはずである。

断捨離しましょ?

イメージ的には、汚い部屋を片付けるみたいな感じである。

歴代のゴミ(仕事)が部屋には溜まっている。

住んでいる本人はもう慣れてしまって、「そんなものかな」と思っている。

「いつか使うかもしれない」と言って、部屋の片隅に放置したままのものがたくさんある。

それを選別する。

断捨離的に、ミニマリスト的に。

どんどんゴミ袋の中に入れてしまう。

それがマネージャーの仕事だと思うのだ。

仕事をなくす人は殆どいない

仕事を「作る」人は多いけれど、「なくす」人は殆どいない。

これは組織上仕方のないことなのかもしれない。

組織というのは慣性の法則みたいに、きっと「そういうもの」なのだろう。

でもそうやって作られた仕事は、誰の手も入らないまま、残ったままになっていることが多いのである。

そして、あまりにもしょうもないものであったりするので、マネージャーもそんな仕事が残っていることに気付かないことも多いのだ。

それに気づいた時に、都度なくすようにする。

できるだけやらなくていいものをやらないようにする(それでも残るものはあるけれど)。

そうやってチームの生産性を上げていく。

新しいことをやろうとする人は多いけれど…

繰り返しになるけれど、この種の生産性の上げ方をやっている人はびっくりするくらい少ない。

みんな新しいことをやろうとする。

素晴らしい仕組みを作ろうとする。

それは決して悪いことではない。

でもその前にできることはあるはずである。

そしてその方が手っ取り早いと僕は思っている。

活力を奪うものを無くすだけでチームは生き生きし始める

新しいことは成功するかどうか不確かである。

でも古くて明らかに無駄なものをやめることは確実に生産性を上げることに繋がる。

確かに地味ではある。

目を引くような派手な功績にはなりづらいだろう。

でもそのような日々のささくれを取り除くことができれば、メンバーのストレスは減り、生き生きと働いてくれるようになる。

活力や生命力を奪っていたものを無くすこと、特に誰もが「言っても無駄だよね」と諦めているような事柄を「エイヤッ」とやめてしまうことは、マネージャーに対する信認をも高めてくれる。

そういう細かなことがチームを前向きに変えてくれるのだ。

それではまた。

いい仕事をしましょう。


あとがき

多くの先人たちが当時新しくやり始めたことの残骸がチームに習慣として残っていて、それがストレスに繋がっている、ということはよくあることだと思います。

それを取り除くだけでもチームは活性化します。

ただそれを実行しているマネージャーはびっくりするほど少ない。

なので、細かいストレスを取り除くということを意識してチームを眺めてみて下さい。

びっくりするくらいスッキリします。

騙されたと思ってやってみて頂けたら幸いです。