敬意を持って接する
怒ってしまいそうになったら
今日の話はアンガーマネジメントにも繋がる話である。
「部下ができない!」「動かない!」という不満をお持ちの方、「おじさん部下が働かない!」という悩みをお持ちの方、にはもしかしたら有効な手段かもしれないので、読んで頂けるとありがたい。
その方法は「敬意を持つ」ということである。
どんな人に対しても、敬意を持って接することで、自分の怒りを鎮めることができるのだ。
もちろんこれは「言うは易く行うは難し」である。
ただ、実際に100%行動できないとしても、頭の片隅に入れておくだけで、自身の精神状態を安定化させることができるはずなので、聞いておいて損はない。
それでは始めていこう。
ザ・独り相撲
まずは僕の経験から。
僕が初任マネージャーとして着任した時、部下の半分以上は年上であった。
そして働かない人達であった。
それに対して血気盛んだった僕は苛立ってばかりいた。
「なんでやる気がないんだ!」「働けよ!」そう思っていた。
若気の至りでは済まされないくらい、恥ずかしい思い出である。
もちろん、経験を踏まえた今、仮に同じ状況になったとして、上手にマネジメントできるかと言われれば、ちょっと自信がない。
客観的に振り返っても、なかなか難易度の高いチームであったとは思う。
ただ、もう少しやりようはあったはずである。
その「やりよう」というのが、今回のテーマである「敬意」である。
働かないのはその人が怠惰だから?
その当時の僕が考えられなかったのは、働くか働かないかは個人の意思、もう少し言うと怠惰かどうかにかかっていて、その人の責任である、と思っていた。
ただ、今思うのは、「そうなってしまった要因は組織にもある」ということである。
そして、「そういう人はどうやったら使えるようになるのか?」ということを考えられるようになったのである。
共感はできなくても、思いを馳せることはできるはず
皆さんもそうであると思うけれど、会社で働いていると理不尽なことに出くわすことはとても多い。
腐ってしまうことだってあると思う。
彼ら(彼女ら)もきっとそうなのだ。
もちろん、その腐り具合には軽重があって、共感できるものとそうでないものがあるのも事実である。
ただ、そうは言っても、「思いを馳せる」ことはできるはずなのだ。
独り相撲をして、勝手に苛立っていたって、チームの成績は良くならない。
自身の精神にも良くないし、その人の為にもならない。
マネージャーは「そういう人」ですらも、使えるようにならなければならないのだ。
仕事場以外のその人を想像する
では、どうやるか?
それが「敬意を持って接する」ということである。
「敬意」の対象は、仕事内容であれば望ましいけれど、「働かない人」に対してそう思うのはなかなか難易度が高い。
なので、それ以外の部分に目を向けてみると良いと思う。
例えば、「介護をしていて大変そうだ」とか「小さな子供がいて忙しそうだ」とか「この分野(趣味など)の知識は凄いな」とか、本当に些細なことで構わない。
要は、「仕事場以外のその人を想像する」ということである。
それができると、自然と敬意が湧いてくる。
「ああ大変なんだな」とか「過去きっとこんなことがあったんだろうな」のようなことが考えられるようになる。
誰だって誰からから必要とされたい
だからと言って、その人が急に仕事ができるようになるわけではない。
でも少しずつ確実に変わっていくのだ。
それはこちらが接する態度が変わるからだと思う。
ぞんざいに扱われることに慣れている彼ら(彼女ら)も、本当は誰かから必要とされたいのだ。
僕は経験を経てそんなことを思う。
もちろんそれは簡単なことではない。
でも、1人の戦力として、力を発揮して欲しいと心から思えるようになれば、それは必ず相手にも伝わるものなのだ。
「少しだけ」改善する
僕は時々「再生工場」だと言われる。
それは「働かない人」達を少しだけ改善することができるからだと自分では思っている。
往々にして、働かない人達は、そこにいるだけでチームの雰囲気を悪くしてしまう。
それは本人達が能動的に動かないからだし、その結果「なぜあの人は許されるのか?」というある種の言い訳されてしまうからである。
それに対して、真正面から「なぜ働かないんですか!」というアプローチは無意味である。
そんなことで前向きに頑張れるなら、そうはなっていないはずだからである。
数々の経験を経て僕が思うのは、その種の働かない人達を、他のメンバーのような状態まで持っていくことは難しいけれど、現状より少しだけ改善することはできる、ということである。
それはテクニカルなものではなく、単純に1人の人間に対する敬意であると僕は思っている。
害悪的な行動をやめさせるだけでも、チームにとっては大きな意味を為す。
そしてそれは「やめさせよう」としてもやめさせられるものではないのだ。
ちょっとした、でも大きな違い
「まあ、あいつがマネージャーならやらないでおくか」と思って貰える関係を作ることが、行動の改善に繋がっていくのである。
ちょっとした違いだ。
でも、それこそがきっと大事なのだ。
それではまた。
いい仕事をしましょう。
あとがき
今日の話は結構難しくて、ある程度年齢を経ないと分からない種類のものなのかなと思っています。
多くの管理職が、一定年齢以上(経験年数)を条件としているのは、成熟と自身への諦めが関係しているのではないかと僕は考えています。
若くしてマネージャーになった僕はここにかなり苦しみました。
歳を重ねることは悪いことばかりではありません。
角を丸めていきましょう。