伸びたくない部下ばかりの環境で成果を出す方法
部下は伸びない(伸びたくないと思っている)のがデフォルト
多くの管理職は部下が伸びないことに悩んでいると思う。
一方、僕は部下は伸びないものと思ってマネジメントをしている。
もっと言うと、多くの部下というのは「伸びたくもない」と思いながら仕事をしているのが現状である。
以前から書いているように、現在の日本のビジネス環境において、前向きに頑張ろうとすることは個々人の自由なので否定はしないけれど、割には合わないと僕は思っている。
そんな中でも「伸びよう」とする部下は、別に誰が上司であれ、勝手に伸びていくので放っておいていい。
我々が対象とすべきは、「伸びたくない部下」である。
では、そのような「伸びたくない部下」ばかりの職場で成果を出す為にはどうしたらいいのだろうか?
今日はそんなことを書いていく。
チームとして何とか戦えるようにする
結論から先に言うと、「チームとして戦えるようにする」ということになる。
でも、これだけだとよく分からないと思うので、もう少し丁寧に説明すると、「それぞれの部下の特徴を活かし、少しでも前向きに取り組める項目だけに特化してもらう。チームにはそれぞれ違うタイプの部下がいるので、それぞれの長所を合わせれば、何となくチームとして戦えるようになる」ということである。
チーム力グラフ
「チーム力グラフ」みたいなものを想像してもらうと分かり易いかもしれない。
各個人の能力グラフ(例えば5角形)はそれぞれ面積が小さく、形も歪であるけれど、それらを合わせて、重ねてみると、チームとしてはまあまあの面積になる、そんな感じである。
もちろん、高いレベルでそのグラフが埋まる訳ではない。
あくまでも、「戦える程度」というのがポイントである。
少なくても、「試合はできる(成立する)くらいのレベル」まで持っていく。
そこから先は「戦術・戦略の世界」である。
死んだ目の選手たち
スポーツチームで例えると、あなたは弱小チームの監督である。
予算が乏しいから補強もできない、大型新人も入ってこない、ベテランばかりだから成長もしない、そんなチームを任されたのがあなたである。
もしかしたらここに口うるさいオーナーの存在が加わるかもしれない。
最低でもAチーム入り、できれば優勝争いに絡んで欲しい、それがオーナーからの要望である。
「この戦力で?」とあなたは思う。
それについてオーナーは何も語らず、ただ微笑むだけである。
グラウンドに戻り、選手達の前であなたは挨拶をする。
選手達は全員目が死んでおり、負け癖満載で、取り敢えず給料を貰えるからという理由で練習に参加している。
当然、成長なんて微塵も考えていない。
そんな状況でどうやって成果を出すのか?
「できることだけやってもらう」ということに尽きる、と僕は考えている。
給料が出る、それが働く理由だ
伸びたくない部下は、仕事に対するモチベーションがそもそもない。
出世なんてしたくないし、やりがいなんて求めていない。
給料が出る、その事実だけで仕事をしている。
そんな人達に対して、「頑張ろうぜ!」なんて言ったって頑張るはずもない。
ウザがられるだけである。
頑張らなくても成果が出る仕組みを
そうは言っても、マネージャーは成果を出さなければならない。
僕はこの事実をとてもシビアかつクールに捉えている。
別に部下が頑張らなくても、前向きでなくても、やりがいなんて感じていなくても、成果を出す仕組みを作ればいいのである。
それが上記したチーム力をチーム全体で考えるということ、もう少し言うと、「尖りを尖りのまま活かす」ということである。
得意科目だけでOK。他は捨てる。
適切な言い方ではないかもしれないけれど、多くのマネージャー達は、僕からすると、「メンバーはそれぞれの科目の点数を上げる→全体の平均点が上がる」というアプローチを取っているような気がする。
でも、僕の場合は、「メンバーはある得意科目の点数だけ上げる→他の科目は他のメンバーに任せる」みたいな感じである。
この「他の科目は捨てる」のがポイントで、平均的な能力の向上にそもそも期待しない、というのが僕の考え方である。
欠点だらけで構わない。
その部分は他の誰かがカバーすればいい。
この「割り切り」が成果を出す為には重要なのだ。
期待しない
これはある種メンバーを「パーツ」として考えるということに繋がるかもしれない。
冷徹にただ部品として扱う、そういう感覚がないと言えなくもない。
もちろん大っぴらにそれを出す訳ではないけれど、その人はそこでできるそれなりのパフォーマンスだけで構わない、くらいの感覚は常に持っているのが僕の考え方である。
期待しない。
不確定なものを持ち込まない。
感情は不要
僕から見える多くのメンバーには、マルチタスクは不可能である。
「あれもやって、これもやって」と指示をすると、能力が激減し、「どれもできない」という事態に遭遇することになる。
当然ながら、成長もない。
だからこちらも期待しない。
「伸びてもらわなくて結構」くらいの感覚、ビジネスライクに仕事をする。
そんな状況でも、変わっていく部下は変わっていくし、その時には全力で応えてあげればいいのだ。
感情など不要。
それではまた。
いい仕事をしましょう。
あとがき
仕事にやりがいを持ち込むのは間違いです。
というか、やりがいというのは自分で見つけるもので、マネージャーが提供するものではありません。
それは伸びようとする意思も同様です。
別に部下が伸びようが伸びまいが僕には関係ありません。
それは彼(彼女)らの人生で、その報いや罰は彼(彼女)らのものだからです。
ドライに仕事をしていきましょう。