本質的なことを言う
組織の言葉の中に自分の言葉を混ぜ込む
自分の言葉と組織の言葉。
これをどのように取捨選択するかでマネジメントの質は変わる。
僕は組織の言葉の中に自分の言葉を混ぜ込むことを常々提唱している。
それは組織というのはコロコロ方針が変わるからである。
でも、マネージャーと部下の関係というのは変わらない。
ずっと一緒に仕事をしなければならない。
その際に大事なことは本質的なことを言い続けるということだ。
部下はマネージャーが言っていることが本質的なものなのかどうか、ブレていないかでその人物を見極める。
そこでそっぽを向かれてしまうと、高いレベルの成果を出すこと(出し続ける)ことは難しくなる。
今日はそんな話だ。
朝令暮改
勤めている企業の種類によっても違うのだとは思うけれど、僕が務めている会社は方針がコロコロ変わる。
それは別に悪いことばかりではない。
現代のビジネス環境というのは流れも速いし、ある程度朝令暮改的になるのはやむを得ない面もある。
でも、である。
組織のそのような振る舞い通りにマネージャーが行動してしまうと、部下は混乱する。
マネージャーは「組織というのはそういうものだよね」と納得できても、部下は納得できないことが多いからである。
リスクフリー・マネジメント
ここに葛藤というか難しさがある。
組織の言葉を、九官鳥のように繰り返せば、マネージャーのリスクはない。
組織の忠実な犬として、リスクフリーで仕事を続けることができる。
でも、それが高い成果に繋がるかと言えば、そんなこともない。
部下の力が足りなくなるからだ。
あなたの言うことに価値はあるか?
部下はマネージャーの言葉を適切に判断している。
もちろん何度かは騙されてくれるだろう。
でも、あまりにも本質的でないことばかり言い続けると、見切りをつけられる。
「こいつの言うことに聞く価値はない」と切り捨てられる。
そこからの挽回は不可能だ。
自分の言いたいことを言って、組織の希望も叶える
ただ、そうは言っても、自分の言葉だけ言い続けるのも、組織人としてどうかと思う。
青臭さは買う。
僕もそのような傾向があることは否定しない。
でも、理想論だけ言って、組織から冷遇されるようでは、部下も浮かばれない。
大事なのはそのバランスである。
自分の言いたいことを言いながら、組織の意向もある程度叶え、高い成果を出す。
これがマネージャーの目指すべき姿である。
成果・成果・成果。それで身を守ろう。
では、本質的なことを言い続けられるようにする為にはどうしたらいいのだろうか?
これは同語反復的になってしまうのだけれど、成果を出す、ということになる。
それも圧倒的な成果を。
成果を出していれば、組織というのはその個人に対してあまり強く言えなくなる。
仮に何らかの落ち度があるとしても、「でも、まあ、高い成果出してるしな…」と免責されるようになる。
これが逆だと悲惨である。
成果も出さず、言いたいことだけ言っていると、「ただのイタい奴」になってしまうのである。
明らかに不利な局面でも信念を貫けるか?
この辺のニュアンスは難しいのだけれど、本質的なことと本質的っぽいことは異なる。
そしてその本質的なことに対して、どのくらいマネージャーが信念を持っているかどうか、というのは成果に大きな影響を与える。
日々仕事をしていると、様々なことが起きる。
それこそ信念が揺らぐような事態が生じることだってある。
その時でさえ、明らかに自分が不利な局面であれ、本質的なことを貫けるかどうか。
これを部下は見ているのだ。
組織は非情。So What?
組織はいつだって自分勝手だ。
言いたいことばかり言ってきて、責任を取ることはない。
それがデフォルトである。
それに対して、「なんて組織は非情なんだ!」と嘆いていても仕方がない。
組織というのは、「そういうもの」なのだ。
その中で、どのように自分は仕事をするのか。
やりたいことを実現するのか。
その覚悟が問われるのである。
成果(実績)があれば時間を貰える
僕はプレーヤーとしてもマネージャーとしても、ある程度のキャリアを積んできたので、組織から何と言われても、「オレの経歴見て下さいよ」と言うことができる(もちろん実際には言わないですよ…。そんなに嫌な奴じゃないですよ…)ようになった。
これは判断に迷う局面、プレッシャーが大きい場面ではとても大事なものである。
「まあ今までもこれで何とかなってきたし、今回も大丈夫だろう」と思うことができるからである。
でも、これがないと、判断がブレることがある。
「ない」と言っている人だって、追い詰められるとブレてしまうのが現実なのである。
だからひたすらに成果にこだわる。
それがあれば、勝手に向こうが判断してくれる。
時間の猶予も与えてくれる。
この循環がとても大事なのだ。
本質的なことには時間がかかる
本質的なことは、ある程度の時間やり続けないと成果が上がらない仕組みになっている。
ほんのちょっとだけやったとしても、成果には繋がらない。
腹を括って、じっくりやり続けると、それが大輪の花になる。
でも、僕から見える多くの人はこれができない。
そこまで待てない。
だから、最初の方にわかり易い成果を上げて、時間を稼ぐことが重要なのだ。
それがパターン化できれば、後は巡航速度で飛ぶだけである。
それではまた。
いい仕事をしましょう。
あとがき
青臭いことも突き抜けると圧倒的な成果に繋がる。
僕は多くの訳知り顔を潜り抜けながら、こんな風に思っています。
営業マンだった時も、大人たちは偉そうなことを言いながらクソみたいな仕事をしていましたが、僕は自分の信念を貫いて、彼(彼女)らよりも高い成果を上げ続けていました。
それは僕の生き方みたいなものなのかもしれません。
爽快。
痛快。
嘲笑って、高笑って、いい仕事をしていきましょう。