たまには感情を出したっていいだろう?

UnsplashMateus Campos Felipeが撮影した写真

感情を抑えるのが基本ではあるけれど…

善人面するのに疲れる時がある。

マネージャーになって、感情を出すと後々非常に面倒くさいことになる、ということを体感してから、僕は基本的に感情を抑えて仕事をするようになった。

それは僕の中の人間性が改善されたとか、穏やかになったとか、そういうことではなく、単純に後処理が大変だから、できるだけフラットな状態で仕事をしているだけである。

でも、それでも、時々どうしても我慢できなくなることがある。

いやいや、そういう時だって、できるだけ抑えているのだ。

でも、それでも、更に、という時がある。

そんな時は感情を出しても良いのではないか?

今日はそんなことを書いていく。

怒鳴ってみたい

コンプライアンスだとか、ポリティカルコレクトネスだとか、○○ハラスメントだとか、とにかく自分が発する言葉に気をつけながら普段から仕事をしている。

当たり障りのない言葉だとこちら側が思っていても、受け取る側がそうじゃないと感じたらすぐにしょっ引かれてしまうので、そのような受け止め方をされないような言葉を厳選して話をしている。

一方、メンバーたちは言いたい放題である。

大した仕事もしていないくせに、文句ばかりは一丁前で(こんなことを職場で言ったら一発でアウトだ)、それもその時の感情に左右された言葉ばかりで、本当に嫌になる。

いい加減にしろよ、と怒鳴りたくなる。

でも、しない。

怒ったら負け

更に、上司からも様々な叱責が飛んでくる。

アレはどうなっているのかとか、アイツのあの勤務態度はどうなんだとか、この数字はあり得ないとか、まあこちらはこちらで好き勝手なことばかり言ってくる。

中間管理職はその間に立たされて、それでもできるだけ感情的にならないように、平常心で振舞わなければならない(本当に皆さまお疲れ様です)。

怒ったら負け、それもよくわかる。

それでもさ、と僕は思う。

てめえらいい加減にしろよ、と。

弱い犬ほどよく吠える

仕事をしていると、「弱い犬ほどよく吠える」ということを実感する時がある。

自分で言うのもおこがましいが、僕はたぶん他人よりも圧倒的に仕事ができるので、誰かかが何か下らないことを言ってきた時に、数字でねじ伏せるというとても性格の悪い仕返しをすることを幾度となく繰り返してきた。

というか、そうでもしないと実力差がわからないくらいの人が多すぎるのである。

野生と理性の間で

それは上司でも、部下でも関係ない。

僕は立場や肩書に従うのではなく、仕事ができる人にだけ従うという山賊みたいな感性を持っているので、口だけのヤツに対してはとても辛辣だし、流石に口には出さないまでもあからさまに軽蔑してしまうのだ。

マネージャーになってからはだいぶ丸くなったとは思っているけれど、それでも時々そのような荒々しい野生みたいなものが顔をのぞかせる時があって、いつも「いかんいかん」と抑えているのである。

街中の弱いチンピラに絡まれたプロボクサーの気持ちはもしかしたらそういう感じなのかもしれない。

「それ以上来るなら、やってやんぞ」「表出るか?」みたいな気持ち。

でも、ニコニコしていなければいけない自分。

その狭間の中で僕は仕事をしている。

「わからせる」必要性

マネージャーは感情を出さないのが鉄則である。

というか、昭和のマネージャーたちのように、年がら年中感情的になるのは愚の骨頂とも言える。

自分が怒りたいから怒るというのは愚策である。

それはただの不全感の発露に過ぎない。

でも、だからと言って、ヘラヘラし続けるのもまたどうかと思うのだ。

時には「わからせてやる」必要がある。

圧倒的な力の差を見せつけることが求められる場面がある。

僕はそんな風に思うのだ。

ボスが誰が理解させる

何年かに一度、僕はそれを意図的にやることがある。

意図的、というのがポイントだ。

演技も含めて、感情を出す。

それでチームに規律がもたらされる。

ただ、安易に使ってはいけない。

諸刃の剣で、その分のカウンターもここには生じるからだ。

でも、それでも、そちらの方がチームの為になると合理的に判断できるのであれば、その刀を抜いた方がいい。

調子に乗ったメンバーや、勘違いしているメンバーを、時にぶっ飛ばす(比喩的な意味で)。

そうやって上下関係をはっきりさせることが必要になる場合があるのだ。

怒りのマネジメントは禁じ手

僕は滅多なことでは怒らない。

だからこそ、僕が怒る時というのは、本当に効く。

でも、その効果に頼ってはいけない。

それは麻薬みたいなものだからだ。

「怒りのマネジメント」「恐怖政治」というのは、人が簡単に従うし、数字も上がるし、短期的にはとても効果的なやり方であることは事実だ。

でも、マネージャーはできるだけそのやり方を避けた方がいい。

というか、初任者の時は絶対に禁じ手にしておいた方がいい。

一旦これを覚えてしまうと、もうそれを抜くことはできなくなるからだ。

ヤク抜きみたいに大変な困難を伴う。

だから、感情は出さないのがベース。

大前提である。

取扱注意。火気厳禁。

それでも、というのが今日の話である。

時には感情を出したっていい。

それによって、あなたに対する信頼度が一気に上がることがある。

ボスが誰かわからせることでしか、得られないものがある。

取扱注意。

天地無用。

それではまた。

いい仕事をしましょう。


あとがき

「ユル過ぎて自分が成長できる気がしなくて会社を辞めました」

「叱られない自分と、叱られている他社の同期。成長に差があって、愕然としました」

若手社員に関するそんな記事を読んだことがあります。

彼(彼女)らの意見を額面通りに受け取る必要はないとは思いますが、それでも適切に叱ったり、怒ったりすることは必要だと僕は思っています。

ボスが誰か、時には見せつけていきましょう。