きちんと見ているというメッセージを
無理に褒めなくてもいい
部下に好かれたいそこのあなた!
良い情報があります!
それは「あなたのことをきちんと見ていますよ」というメッセージを送ることです!
という、訳の分からないテンションで文章を始めてみたけれど、最近そんなことを思うのである。
といっても、僕の場合は部下に好かれる必要はないと考えているので、もう少し「課長の予備校」的に書くとするなら、部下に嫌われない為には、マネージャーが部下のことをきちんと見て、考えているということを伝えることが重要である、というのが今回の話の骨子である。
褒めるのは苦手でも、見ていることを伝えることはできる。
今日はそんな話だ。
褒めブーム
部下のとのコミュニケーションというと、「褒めなさい!」というのが最近の流行りであるように感じている。
何か長所を見つけて、その部分を褒めなさい。
人格ではなくて、行動を褒めなさい。
などなど。
「褒め」に関する情報は溢れているし、実際に部下側も何となくそれを望んでいるようにも思える。
でも、凄く厳しいことを言うと、本当に褒めたくなるような事象というのはそうそう起こらないし、その中で無理やり褒めようとすると、どうしてもぎこちなくなってしまう、というのが現実なのかなと僕は思っている。
もっと言うと、マネージャー自体が褒めることに慣れていないというか。
本当に褒めたくなるようなことだけ、褒めればいい
僕から見える多くのマネージャー達は、この「誉めブーム」の中で、取り繕った笑顔を浮かべて、部下を褒めまくっている。
が、効果はない。
部下というのは馬鹿じゃないからだ。
見え透いた嘘、仮面の下の素顔、そんなものはお見通しなのである。
だから、褒めるなら「ガチで」というのが、僕なりのアドバイスである。
本当に褒めたくなるような事象が起きたら、自分の感情が動いたら、それを素直に出せばいい。
「誉め」というのは、それくらいの頻度で良い。
それが今日の話の前段である。
見ていることを伝えること
では、後半戦。
そうは言っても、僕の基準で褒めていたら、あまりにも褒める機会が少なくなってしまうので、何らかの代替手段が必要となる。
それが今回のテーマである「きちんと見ているというメッセージを伝える」というものだ。
これは内容については正直何でもいいと考えている。
部下の行動について、「私はきちんとそれを見ているよ」「わかっているよ」ということを伝える。
それで十分なのである。
目に見えない行動について伝える
僕がよくやるのは、目には見えづらい行動について本人に伝える、というものだ。
例えば、職場のプリンターというのは、よく紙切れを起こす。
日中に紙切れが起こると、大した作業ではないけれど、わざわざ補充するのは面倒くさい。
だから、朝一で出社してきたメンバーが人知れず補充してくれていたりする。
でも、多くのメンバーはそれを知らない。
僕はたまたま早く出勤してきた時にそれに気づいた。
そして彼に言う。
「いつもプリンターの紙を補充してくれてありがとう。助かるよ」と。
別の例をもう1つ。
会社で使う倉庫みたいなもの、我々が日常的に業務で使うようなもの(付箋とかペンとかのりとか)が入っている場所があるとする。
そこはそこまで汚れることはないのだけれど、何だかんだ時間が経つと、空箱が残っていたりすることがある。
それを人知れず整理してくれているメンバーがいる。
それを付箋を取りに行った時に、偶然知ったとする。
そこで彼女に言う。
「そうか、整理してくれていたのはあなただったのか。ありがとう」と。
事実+感謝
ここまで読んで下さっている方ならご理解頂けると思うのだけれど、これはただ事実を述べているだけであって、褒めている訳ではない。
どちらかというと、「事実を述べる+感謝」である。
「誉め」と「感謝」は違う。
僕が言っているニュアンスが伝わるだろうか。
割を食っている人間がいる可能性を考慮しておく
チームが円滑に機能している時には、人知れず誰かが割を食っている可能性があることを頭のどこかに入れておいた方がいい、と僕は思っている。
もちろん僕のチームにいる人の大半は「大人たち」なので、それを口に出すことは多くないけれど、何らかの引っかかりがある場合がある。
それをマネージャーが見つけて、メンテナンスをしておく。
メンテナンスというと嫌らしい言い方になるけれど、純粋に「縁の下の力持ち」的な人に感謝を伝えておく。
それで大抵の物事というのは上手くいくのである。
地味な仕事に謝意を示す
僕は感情の表現が上手な方ではないし、どちらかというとサイコパス的な傾向があるのだけれど、それでもそれなりに部下からの信頼を得られているのは、このような点にあるのではないか、と思っている。
「派手な褒め」というのは、当人(褒めの対象者)には良いけれど、それ以外のメンバーからの反感を買う場合がある。
下手をすると、「マネージャーは贔屓をしている」なんて根も葉もないことを言われることだってある。
でも、「地味な仕事に謝意を示す」という方向性なら、そういう事態にはならない。
「あのマネージャーはよくわかっている」という、「地の信頼」に繋げることができる。
褒めるのではなく感謝を。
それではまた。
いい仕事をしましょう。
あとがき
「ギャップ萌え」という言葉があります。
僕は自分が変人であることを自覚しているので、時にまともなことをすると、必要以上に高い評価になりがちです。
そのような「演出」も、マネージャーにとっては、時には必要です。
自分のキャラクターを理解しながら、それとは違う方向性のアプローチをすること。
それによって、仕事がし易くなることがあります。
照れ隠し的な言い方になってしまっていますが、きちんとした仕事をしている人間をきちんと承認すること(祝福すること)はとても大切なことです。
目立たない部分に目を向けていきましょう。