能力が低い部下との付き合い方
悲しい現実
皆さんの部下は優秀だろうか?
今日はそんな書き出しから文章を始めてみる。
こんなことを書くと方々から批判されそうだけれど、僕の部下は(残念ながら)優秀ではない。
今までも、現在も(たぶんこれからも)。
もちろん何をもって「優秀」と判断するかというのには難しい側面があるのも事実だけれど、僕なりの客観性を持って判断するなら、どう甘く見積もっても優秀とは言えないのが現実である。
そして部下が優秀でないということは、マネジメントにおいてそれなりの困難を伴うものである。
そんな優秀とはとても言えない部下とどのように付き合いながら成果を上げればよいのか?
そもそもそんな方法があるのか?
やや辛辣な表現ではあるけれど、今日はそんなことを書いていこうと思う。
「自律」していることが優秀の条件
冒頭から「優秀」という言葉の定義をしていなかったので、ここで定義をしておこう。
僕が考える「優秀」という水準には、「自律」という評価項目が含まれている。
要は「自分で考えて動ける」人は優秀である、という基準である。
と考えると、たいていの人は優秀でないということがご理解頂けると思う。
非常に厳しいことを言うなら、多くの人は自分で考えることができない(ように見える)。
それも、自分で考えていないことすらわかっていない人が大半である(ように見える)。
そうなると、部下という母集団の多くは「普通以下」に含まれるということになる。
「自己完結」できないことが能力が低い証拠
では、今回のテーマである「能力が低い」というのはどのようなことを指すのだろうか?
僕の定義では、「自分で自分の仕事を完結できない」というものである。
もう少し正確に言うなら、「自分の仕事を完結させる為に、誰かの力を借りる割合が50%を超えてしまう(自分でできる範囲が50%以下である)」ということになる。
さて、どうだろうか?
厳しすぎる水準に聞こえるかもしれない。
もちろん厳密にどこからどこまでが自分の仕事であるかというのを定めるのは難しいので、ざっくりとした感覚論として聞いて頂けるとありがたい。
このような水準を定めると、僕の部下の殆どは「能力が低い」ということになる。
現状のチームで言うなら、「優秀は0」「普通が3割」「能力が低いが7割」こんな感じである。
さて、あなたのチームはどうだろうか?
このチームで戦っていけるだろうか?
相対的にできる仕事に特化させる
僕はマネージャーになってから、部下というものに対する期待水準が物凄く下がったと自覚している。
別に彼(彼女)らをディスりたくてこのような表現をしているのではない。
自分がマネジメントという仕事をするにあたって、デフォルト(基準値)をどこに定めるのかということを考えた時に、「多くの部下というのはこの程度であるのが普通」と考える方が有用であった、それだけのことである。
優秀でない部下の優秀でなさ加減をいつまでも嘆いていても何も始まらない。
その「優秀でない部下」を基準としてチームを構築する、と考えた方が建設的である。
そして僕が考えたのは、その中でも相対的にできる仕事に特化させる、というものだ。
「空白地帯」は捨てることも必要
以前にも書いたことがあるけれど、その人の能力の絶対基準ではなく、相対基準で考えることが重要なのである。
何か(無理やりにでも)長所を上げさせるなら、どこの部分になるか?
それをやってもらうようにする。
もちろん、全てその分野に特化するというのは現実的には不可能であるので、その分野の仕事の比重を増やしてもらう、そんな感じである。
一律に仕事を分担するのではなく、それぞれがやや尖った仕事の偏りとなるようにする。
結果として、メンバー構成によっては、本来やるべき仕事が網羅できない事態が生じる可能性がある(というか、大抵はこうなる)。
その場合には、その分野を「捨てる」ことも検討する。
どうせ勝てないなら一緒
もちろん自分の上司との折衝、組織との交渉も必要にはなるだろう。
そして許可されない場合も多いだろう。
ただ、現実的なことを言うなら、たとえ許可されなかったとしても偏りを持たせた方がいいと僕は思っている。
もちろん大っぴらにやるのはNGであるが、わからない程度にバランスを調整することで、仕事を特化させていく。
どうせ結果が出なければ同じなのだ。
それなら少しでも勝てる可能性のあることをやった方がいい。
僕はそう考えている。
絶対基準ではなく相対基準で
日本企業においては、ゼネラリストが求められることが多い。
ジョブ型雇用だ何だといっても、まだまだ汎用的な仕事ができる人材が重宝されているのが現状である。
それはメンバーでも同様である。
ただ、能力が低い部下に色々な仕事を任せてしまうと、1つ1つスタックしてしまうことになるので、ある程度分業化を図った方がいいと僕は思っている。
絶対基準ではスペシャリストとは到底言えなくても、チーム内では「あの分野はあの人が強いよね」と思われるくらいの傾斜は付けた方がうまくいく。
そうやって歪ながらも、チームを運営していくしかないのだ。
それではまた。
いい仕事をしましょう。
あとがき
マネージャーの日々のストレスは部下から生じることが多い。
「なぜこんなこともできないのか?」
たくさんのマネージャーから聞く愚痴です。
でも、それがたぶんデフォルトなのです。
もちろんそれがデフォルトであることの是非について僕も思うところはありますが、そこに拘泥していても何も変わりません。
それを正面から受けて止めて、マネージャーとして何をするのか?
ジャイアントキリングほど気持ちいいものはありません。
歴史に残る戦いは、大抵弱者の兵法です。
逆境を楽しんでいきましょう。