鬼を出す
課長がヒマそうだと、チームは弛緩するのだろうか?
好々爺みたいに仕事をしている。
もちろん自分ではそう思っているだけで実際は大きく違うのだろうけれど、マネージャーになって7年もすると、大体のことは既知のことで、大きく感情が波立つことは少なくなっている。
結果、怒ることは殆どない。
ましてや僕は暇そうに仕事をしているし、雑談ばかりしているし、下らないことばかり言っている。
こんなことを書くと、僕のチームは弛緩しているように感じる人もいるかと思う。
締まりがないチームなのだろうな、と。
それはあながち間違いではないけれど、合っているとも言えない。
それは僕が本当にごく稀に「鬼を出す」からである。
よくわからないと思うけれど、今日はそんなことを書いていこうと思う。
「ザ・営業マン」が営業ができる訳ではない
僕は営業畑出身の営業マネージャーである。
これだけを聞くと、ザ・営業マネージャー、ゴリゴリの営業マンを想像する人もいるかもしれない。
でも、そうではない。
ただ、営業はできたし、今もできると思っている。
多くの人はたくさん喋って、それも流暢に喋って、口が上手い人をできる営業マンだと思っているようだけれど(もちろんそういう人もいるが)、多くのスーパーな営業マンはそうではないと僕は思っている。
大事なことは聞けることで、それよりも大事なことは顧客を動かせること、もっと言えば勝手に顧客が動いてしまうこと、である(この辺の話については以前「動くと動かすと勝手に動く」に書いたのでそちらをご参照頂きたい)。
でも、そのような営業スタイルを持っている僕は、部下からもあまりできる営業マンであるようには思われないようで、時々下に見られるというか、「自分よりもできるはずがないでしょ?」というような言動なり行動なりをしてくる部下がいるのである。
ちょっとでも営業成績が上がると、慢心し出すというか。
井の中の蛙大海を知らず。
こういう兆候が見え始めたら、僕は「鬼」を出すのである。
営業の鬼
僕の内側には鬼がいる。
「営業の鬼」が棲んでいる。
こいつはなかなか激しい考え方を持っていて、上記したような部下がいると、「てめえナメてんじゃねえぞ!」と凄んでくるのだ。
それこそ駆け出しのマネージャーの時には、その「鬼」が出てくる頻度はもう少し多かったように思う。
でも、最近は僕自身も丸くなったせいか、殆ど出てくることはなくなってきている。
ただ、消え去った訳ではないのだ。
それをごく稀に発動させる。
気を開放する
これは部下の育成や、チームの緊張感の維持にとても効果的だ。
と言っても、別に怒るわけではないのだ。
圧倒的な力を開放する、そんなイメージなのである。
ドラゴンボールで言えば気を開放するみたいな感じで、隠していた戦闘力を出す(出力する)、そんな感じで「鬼を出す」のである。
普段は温厚な先生が実は武道の達人であった、みたいな感じ、それも手合わせをしなくてもオーラだけで実力の差がわかってしまう、そういう雰囲気なのだ(自分で言うな)。
「いや、何を大袈裟な」と思われる方もいると思う。
ただ、一定以上の営業経験がある人は、営業マンの力量というのは手合わせしなくても感じ取れるはず、その感覚が分かるはず、とも僕は思うのである。
営業マンは営業マンの能力を嗅ぎ分けることができる。
それが営業というある種「野武士集団」みたいな人たちを手懐ける為には必要なことなのである。
表出ようぜ?
彼(彼女)らは、「なんぼのもんじゃい!」という気持ちを常に持っている。
もちろん普段の仕事においては、上司部下という擬制の元、それを出すことはない。
ただ心の奥底には、「お前はマネージャーって言っているけれど、どうせオレ(私)よりも営業なんてできないんだろ?」という気持ちを持っているのである。
それが何らかのきっかけにより表出することがある。
その時に僕は鬼を出すのだ。
「おう、やってやろうじゃねえか。表出ようぜ?」みたいな感じで話をする。
多くの場合、相手にならない。
というか、ビビッて逃げてしまう。
自分で言うのもなんであるが、僕の鬼は結構なヤツなのである。
その顔がちょっと出ただけで、部下は竦み上がる。
こういうメリハリみたいなものが僕のようなスタイルのチームマネジメントにおいては重要なのだ。
チームにスパイスを
ユルい(だけの)チームは弱い。
一方で、緊張し切っていても力は出ない。
リラックスしながらも、適度な緊張感があるような状態(ゾーンみたいな感じ)が望ましいのである。
心理的安全性、と言葉で言うのは簡単だけれど、実際にそのような状態のチームを作るのはとても難しい。
僕はそこまでには至らないから、リラックスと緊張という二極を考えるなら、リラックスしたチームの方に目盛りを合わせるのが好みである。
でも、あまりにも弛緩しすぎるのもよくない。
そこには緊張感、スパイスのようなものが必要となる(場面がある)。
メンバー構成にもよるけれど、現状のチームにおいては、そのスパイスとなるのは僕なのである。
それを年1回くらい出す。
すると、チームは締まるし、その効果も持続する。
そうやって、また僕はヒマそうに、下らない雑談ばかりしながら、仕事をしていくのだ。
それではまた。
いい仕事をしましょう。
あとがき
弱い犬ほどよく吠える。
営業の世界でもそんなことを思うことがあります。
大した実力もないのに、たまたま(まぐれで)成績が良くなるとすぐに天狗になってしまう人たち。
その兆候が見えてきたら、僕は圧倒的な力でねじ伏せるようにしています。
怒るのでもなく、叱るのでもなく、鬼を出す。
そのようなイメージを持って、チームを引き締めていきましょう。