部下に軽んじられないために
部下に舐められるのは仕方がない。でも、仕事がし易くなる方法はある。
僕は比較的若くして課長になったので、当時は年上の部下が多く、「舐められているのではないか」と思うことが多かった。
そして、たぶん、実際に、舐められてもいた。
それはある種仕方がないことではある。
経験が浅く、それも仕事での経験だけでなく、人生経験が浅い人物に対して、部下が尊敬の念を持つ可能性は低いだろうから(それは自分に置き換えてみればよくわかることだ)。
でも、その状況を改善する方法はある。
打開、とまでは言えないかもしれないけれど、少なからず仕事がし易くなる方法はある。
今日はそんなことを書いていこうと思う。
年下の上司?(笑)
今日のお題に答える為には、まずは自分が年下の上司を持った時のことを想像してみると良いと思う。
それも例えば「マネージャーとなるのが初めて(初任)」といったような上司を想像してみる。
まあそりゃ舐めますよね。
虚勢を張っている上司?(笑)
更に想像を広げていく。
そのマネージャーが部下に舐められていることを自覚して、舐められないように虚勢を張っているように見えたとする。
余計舐めませんか?
でも、それを自覚していたら?
では逆に、自分の経験の浅さを認め、できることは一生懸命やるけれど、できない部分については上手に部下を頼っているとする。
一目置きませんか?
それが今回の結論である。
できる範囲で最大限の貢献をしようとすればOK
無理をしないこと。
できないことはできないと言うこと。
そして、できる部分で最大限の貢献をしようとすること。
それができれば、そしてそれが部下に伝われば、舐められることはなくなるのだ。
乖離は乖離。そこにどう向き合うか?
年の大小、経験の浅深、は仕方がないことだ。
それは如何ともし難いもので、どうやっても克服することはできない。
もちろん、その差を埋めるべく努力をすることはできる。
それなりの速度で前に進もうとすることはできる。
でも、実際のところ、その差はなかなか埋まらないものでもある。
その差(絶対的な差)に対して、どのようなスタンスで向き合うか。
ここを部下は見ているのである。
不得手。未経験。それで?
これは何も初任マネージャーだけの話ではない。
どんなに経験を重ねたって不得手な仕事はあると思う。
また、キャリアで築いてきた分野とは違う部門のマネージャーを任されることだってあると思う。
もちろん、(繰り返しになるが)その仕事を上手にできるようになるべく(理解すべく)、努力は必要である。
でも、(単時点においては)その乖離は仕方ないことでもある。
そして、そんなことは部下だってわかっている。
さて、というのが今日の話である。
そこでの振る舞いを見られているのだ。
それによって、あなたに従うべきなのか、そうではないのか、を部下は見極めているのである。
変わる可能性を感じられるなら、猶予が与えられる
僕は最近「可変性」ということを考えている。
そしてこれも「可変性」の一種である。
現時点の「できない自分」は仕方ない。
でも、そこに居座ったまま、変わろうとしないのであれば、部下はあなたのことを軽んじる。
ただ、そうではなく、現状の自分をありのままの状態で見つめ、そこから向上しようとあなたがしているのであれば、部下はあなたのことを認めてくれる。
変わる可能性を感じるから。
そして変わる可能性を感じられたら、時間を与えてくれるのである。
「はい、終了―!」と一発で見切りを付けられるのではなく、「もう少し様子を見てみるか…」と猶予を与えられるようになる。
その間にできるだけキャッチアップする。
それでももちろんできないことは残るだろう。
でも、それでいいのである。
あなたが努力していることは、努力しようとしたことは、部下もよくわかっているから。
それでもダメなら、部下に問題がある。きっと。
これは裏側も然りである。
努力しようともせず、現状認識も誤っており、自分はできると息巻いている人間に対して、部下が信頼を置くことはない。
考えてみれば当たり前の話である。
でも、これが自分のこととなるとなかなかできないものなのだ。
だから、部下に軽んじられない為には、自分の立ち位置をしっかりと見つめること、弱点があれば素直に認めること、でも現状に甘んじることなく、そこから向上しようとする姿勢を見せることが重要となる。
それでもあなたのことを部下が舐めてくるとしたら、きっとその部下に問題がある。
あなたはスーパーじゃない
多くの(特に初任の)マネージャーは、自分がスーパーマンであることを過剰にアピールしようとする。
本当にスーパーであればいい。
でも、何年もマネージャー職をやってきた僕から言えるのは、スーパーな人は殆どおらず、あなたもその例外ではない、ということである。
それならその自分としっかりと向き合った方が良い。
1人の味方を見つけよう
マネジメントというのは、そもそもの人間性みたいなものが問われる。
コンテンツも大事だけれど、その人のスタンスというか、向き合い方みたいなものがしっかりしていれば、どうにかなるものである。
もちろん価値観は人それぞれ違う。
全ての部下に「刺さる」ということは起こりえないだろう。
でも、チームの中に1人でもあなたの理解者がいれば、それだけでマネージャーとしてはOKである。
あなたはその仕事を続けていくことができる。
虚勢を張らず、ありのままの自分で戦っていこう。
それではまた。
いい仕事をしましょう。
あとがき
今日の話は僕がずっと藻掻いていた内容のものです。
僕はずっと舐められたくなくて、舐められないように仕事をしてきたように思います。
「でも、舐められるのは仕方ないのでは?」というのが僕なりの結論です。
そして、舐められた上で、「じゃああなたは何ができるのか?」というのが勝負であるように僕は思っています。
もっと言えば、何もできなくても、「何をしようとしているのか?」ということさえ示せれば、マネージャー職はやっていけます。
大事なのは「志向性」です。
何者かになれるよう、努力を続けていきましょう。