キツいことを冗談ぽく言う

UnsplashOurWhisky Foundationが撮影した写真

雰囲気と規律を保つために

管理職は時々嫌なことを言わなければならない。

僕は比較的部下には自由に働いてもらっている方だと思っているけれど、それでも時々は注意したり、叱ったりする場面が訪れる。

その際に、以前であれば割とシリアスなトーン一辺倒であったのだけれど、最近はそれを冗談ぽく言えるスキルが身についてきたので、その二刀流を使い分けている。

本当にダメなことはシリアスなトーンで。

ダメだけれど、見解が分かれる余地があって反発を招きそうなことは冗談ぽいトーンで。

それを使い分けながら、チームの雰囲気と規律を保っている。

今日はそんな話である。

コンプライアンス全盛の時代の中で

以前にも書いたかもしれないけれど、僕のチームの約半分は僕よりも年上の部下で構成されている。

その人たちに注意する時には、ある程度経験を重ねた今となっても、それなりに気を遣うものである。

言い方がキツ過ぎないか、生意気に聞こえないか、敬語と丁寧語のバランスなど、僕なりに配慮をしながら指示・指導を行っている。

そんな中で最近身に付けたのが、キツいことを冗談ぽく言うことで、その雰囲気を和らげるというスキルである。

そして冗談ぽく言うことで、「課長にこんなこと言われちゃったー」とその人も周囲の人間に冗談ぽく言うことができるという流れができる。

結果、僕の意図がそれなりの強度を保って、チームに浸透することになる。

弛緩させず、でも、凍り付かせず

もちろん、これは僕のキャラクターが前提であることは否定できない。

僕はサイコパスかつ冷酷なAIみたいなマネージャーであるので、思っていることをそのままの強度で口にしてしまうと、周囲が凍り付いてしまうリスクがある。

かといって、そのままの状態で放置しておくと、チームが弛緩してしまう恐れもある。

それなりに締めるというか、チームの雰囲気をある水準以上に保つ必要がある場面がある。

でも、ガチガチにシリアスになる必要まではない、というか。

そのくらいの時に、最近僕はこの冗談ぽく言うスキルを使っている。

めっ!

イメージとしては、「こらっ!」ではなく、「めっ!」みたいな感じである。

小さな子供に話すように、でもそこに絶対的な距離感を生じさせないように、話をする。

そういう意味では、信頼関係が前提の話ではある。

そこに愛情というか、温かみというか、そういうものがなければこのスキルは使いこなせないのだ。

でも、そこまでの愛情は不要

こういう話をすると、「愛をもって叱る」みたいな話と受け取られそうなのだけれど、今回言いたいのはそういうこととはちょっと違う。

別に愛情がメインの話ではないのだ。

そしてそういうことを言うと、相撲部屋における「可愛がり」みたいなイメージで捉える人もいるかもしれないけれど、今回の話はそうではない(それはいじめにも繋がりかねないし)。

繰り返すが、僕はサイコパス(AI)なので、感情はない。

当然ながら、部下にそこまでの愛情もない。

あくまでも、ニュアンスというか、イメージというか、自分が伝えたいことを伝えたい強度で言う為にはどうしたらいいのか、という功利的な考えに基づくものである。

保険会社やキャバクラみたいに(実際は違うかもしれないけれど…)

そういう意味では、(ちょっと違うかもしれないけれど)女性ばかりの職場における男性マネージャーの立ち振る舞いみたいなものを想像して頂けると良いと思う。

想像するに、女性ばかりの職場における男性マネージャー(例えば保険会社やキャバクラのようなイメージ)は、論理性だけでなく可愛げのようなものがないとやっていけないはずだ。

かといって、だらしなく弛緩してしまうような雰囲気もNGだろう。

ある程度の緊張感を保ちながら、でも嫌われない程度の距離感で、日々部下と接しなければならない。

そういう時に今日のテーマのようなある種のユーモアみたいなものは重要だと思うのだ。

マイナーチェンジを

これはきっと逆の場合(男性ばかりの職場における女性マネージャー)でも同様だろう。

僕から見える多くのマネージャーは、あまり自分のキャラクターを変えず、「そのままの状態」で部下に接していることが多いように思う(僕もこの傾向がある)。

でも、異性(や年上)の部下に接する場合には、ちょっとそれを変化させるというか、そこに馴染むような(架橋するような)バージョンチェンジが必要であるように思うのだ。

それが僕の場合は、冗談ぽく言うということになるのだろう。

ポリシーよりも目的を叶えることを優先させる

叱るという行為には、ある種の断絶というか拒絶のようなものが必要となると僕は思っている。

そうでないと、それは慣れ合いに転じてしまうから。

でもだからといって、その断絶の距離感を間違えてしまうと、「アイツは何もわかっていない」という受け止め方をされてしまう。

いつも言うように、大事なのは「行動を変化させることそれ自体」にあって、そこに至るルートはどのようなものだって構わないはずなのだけれど、多くのマネージャーはそれを忘れているように僕には見えるのだ。

多少の妥協をしても、自分のポリシーにそぐわなくても、目的を叶える方に意識を向けてみると、マネジメントというのはもう少し幅が広くなるように思っている。

そしてマネジメントに幅が出てくると、部下の創意工夫を触発することができるようになるのだ。

それではまた。

いい仕事をしましょう。

あとがき

なぜキツいことを言うのか?

それはチームを自分が望ましい方向に変化させたいからです。

そこには過剰なポリシーは不要です。

大事なことは「行動変容をどうやって促すか」です。

あらゆる手を使っていきましょう。