パスで試合を作る

UnsplashEmilio Garciaが撮影した写真

「課長は忙しい」はデフォルト。でも…

課長は暇そうでいい」というのが僕のモットーである。

でも、こういうことを主張すると、「そんなの理想論、忙しくて無理!」という反論に遭うことがある。

確かに管理職は忙しい。

やらなければならないことはたくさんある。

ただ、そのような反論を受けるたび僕が思うのは、仕事のコントロールができていのだろうな、ということである。

これは言い換えるならば、プレイヤー時代のようなやり方で仕事を続けている、ということにもなる。

サッカーで例えるなら、ドリブルもシュートもディフェンスも自分でやらなければならない、そうじゃないと試合に負けてしまう、と思っているマネージャーはとても多い。

まあ否定はできない。

ただ、一旦ボールを手放してみなよ、とは思う。

考えるのは、その後だって遅くはない。

今日はそんな話である。

ボランチとしてパスを散らす

マネージャーはサッカーで言うボランチのようにパスを散らしゲームを作る。

(以前書いた「偽6番(スペースを作ることで試合を作る)」の例えよりは、このボランチの例えの方が、マネージャー経験が浅い人にはイメージが付きやすいと思うので、今日はこの例えを使っていく)

中盤のポジションである課長には、様々なボールが飛んでくる。

その中には、明らかに親切とは言えない弾道のボールだってある(たくさんある)。

それを上手にトラップし、チームの選手が受け取り易く、かつ効果的なパスを考え、実際にそれぞれに対して蹴り分けていく。

受け取るメンバー達の動きを阻害することのない滑らかなパス。

それがマネジメントという仕事なのだ。

あなたがチームのリズムを狂わせているのかも?

ボールゲームではよくあることであるが、球離れが適切に行われないと、チームのリズムが良くなっていかない。

ドリブルをしなくていい所でドリブルをすること、それも長時間することが、全体のリズムを狂わせていく。

でも、当の本人は、自分がボールを持っていないと(誰かにボールを持たせると)、相手に取られてしまう(結果負けてしまう)と思っている。

だから、ずっとボールを持ったままである。

その中で「忙しい。忙しい」と言っている。

ここで冒頭のアドバイスに戻る。

一旦、パスしてみたら?

予想以上の展開が訪れることはない

このようなマネージャーは、口では色々なことを言いながらも、結局のところ部下を信頼していないのだと思う。

だから、パスを出せない。

仕事を任せられない。

もちろん、気持ちはよくわかる。

自分でボールを持った方が精度の高いプレイができるだろうし、結果的に試合に勝つ確率も上がると、そう思っているのだろう。

ただ同時に、ゲームの展開が予想以上のものにはならない、というのも事実である。

パスを出した先で思いもかけないプレイが出て、そこから試合が良い方向に流れていく、更にその先で素晴らしいゴールが決まる、そんなことは起こり得ないのだ。

「管理」の意味

これは「試合をコントロールする」という意味の履き違えから生じているように僕には思える。

「管理職」という言葉には、「(部下を)管理する人」「(部下の)管理をしなければならない人」という意味が既に込められていると思っていて、その言葉通りに行動してしまう人がとても多い。

ただ、この「管理」の意味合いがちょっと違うのである。

先程のサッカーの例で言うなら、ボールを持つのは自分で、それによって他のあらゆる選手の動きをコントロールしようとすることが「管理」なのではない。

適切にボールを散らしながら(ボールを部下に持たせながら)、試合の流れをコントロールするのが「管理」なのである。

この両者の違いがわからなければ、マネージャーはいつまでもプレイヤー時代の思考のままだし、プレイングマネージャー的な動き方しかできなくなってしまう。

主は部下なのだ(自分ではなく)。

そしてその部下を適切に動かし、ゲームの流れをスムーズにし、試合に勝たせるのがマネージャーの役割なのである。

サインでコントロールすることをマネジメントとは言わない

サッカー同士の例えだとわかりづらいかもしれないので、野球の例えをここに加えてみる。

多くのマネージャーがやりがちなのは、旧来の高校野球の監督のようなものだ。

打席に入った選手(部下)に対し、ここはバントでとか、初球は見送れとか、四球で出塁しろとか、ベンチから事細かにサインを出すことがマネジメントだと思っている。

そして、そのサイン通りにプレイをしない(できない)選手(部下)たちに対して、不甲斐なさを感じている。

だから、実際に自分も選手兼監督として打席に立ってしまう(結果、打ってしまう)。

これではいけない。

その仕事なんてなくったって、チームは円滑に回るぜ?

野球の例えを続けるなら、マネージャーの仕事は戦略(戦術)策定までである。

そして、各選手たちが打てるように情報を与えること(相手の投手は2球目には低めの遅いカーブを内角に投げることが多いなど)である。

そこで出しゃばり過ぎるから、部下が委縮し、良いプレイが出ないのだ。

まずは自分が仕事だと思っていること、忙しいその原因を一旦手放してみることである。

それで本当に仕事が回らなくなれば、また元に戻せばいいだけだ。

一番恐れているのは、その仕事がないと自分の仕事がなくなる(存在価値がなくなる)ことなのでは?

それではまた。

いい仕事をしましょう。

あとがき

本当はベンチで指示だけしていたい。

でも、現代ビジネス環境においては難しいこともある。

だから、せめて自分もプレイするなら(せざるを得ないなら)、パスを中心として試合を作った方がいいですよ、というのが今日の話です。

せっかくマネージャーになったのなら、マネジメントをやった方がいい。

僕が多くのプレイングマネージャーを見て思うのは、このような簡単なことです。

そしてマネジメントをやると、マネージャーは暇になります。

それが日本では何故か悪いことと見做される。

僕はこの慣習を変えたくて、暇そうなマネージャーのまま、忙しそうなマネージャーよりも高い成果を出そうと奮闘しています(暇で奮闘というのは変な言葉ですが…)。

仲間に加わって頂けたら幸いです。