大丈夫そうに見える人も大丈夫じゃないから大丈夫

UnsplashAfif Ramdhasumaが撮影した写真

みんな悩みを抱えている

マネージャーの経験年数が増えるにつれ、後輩マネージャーから相談されることも増えてきた。

その度に思うのが、結構大丈夫そうに見えている人も案外大丈夫じゃない、ということである。

僕なんかよりも感情の波がなく、穏やかに仕事をしているように見える人が結構本気で悩んでいたりして、酒が進むと結構辛辣なことを言っていたりもしていて、「ちゃんとしているように見えるけれど、内心は色々あるんだなあ」と思うことになる。

なので、今日の話は「みんな悩んでいるから(あなたも心配しないで)大丈夫!」という内容となる。

一見きちんとしている人も、結構(深めに)悩んでいる。

だからあなたが悩むことも自然なことである。

もちろん、悩みがあるという状態が払拭される訳ではないのだけれど、自分だけが悩んでいるのではなく、同志がそれなりにいるのだということがわかれば、多少は気がまぎれるはずだと思ったので、今日はそれを文章にしていく。

何だか言いたいことはすべて言ってしまったような気もするけれど、とりあえず始めていこう。

相談できる先輩がいなかった

自分のことを振り返ると、初任マネージャー時代には相談できる人がいなく、結構精神的に参っていたことを思い出す。

直属の上司はどちらかというと反面教師的な立ち位置であったこともあり、身近で相談できるのは同じ時期にマネージャーになった同期くらいしかいなくて、でも同期と話しても経験値は大して変わらない為何の解決にもならず、「大変だよなあ…」と憂さを晴らして終わり、ということばかりであった。

そう考えると、今の後輩マネージャー達は身近に先輩がいるので、羨ましいなとは思う。

会社が若いマネージャーを増やすことに力を入れていることもあって、僕以外にもたくさんの(会社の中では比較的若い)先輩マネージャーが増えてきたのである。

結果、冒頭にも書いたように、僕にもそれなりに後輩からの相談が来ることになる訳だ(ありがたいことである)。

ただ唸っているだけ

そこで僕がいつも思うのは、結構みんな大変そうだ、ということである。

「マネージャー罰ゲーム論」が巷では騒がれているようだけれど、それはその通りで、十人十色とまで言わないまでも、それぞれの種類かつ深さの悩みがある。

そして、答えがある訳でもない。

永遠に問いが続いていく中で、僕が彼(彼女)らの現場の状況を把握している訳でもない中で、僕ができることは、偉そうに知ったかぶりをしない、ということである。

もちろん多少は経験値があるのでアドバイスできることもあるけれど、大抵のことは経験があるからといってどうにかなる範疇の話ではなくて、うー、とか、あー、とかそういうことを言っている(唸っている)だけである。

自分だけが悩んでいる訳ではないことが伝わるだけでも意味があるはず

でも、(自画自賛ではあるが)それが結構大事だとも思うのである。

少なくとも僕も回答を持ち合わせておらず、同じような悩みを抱えている(でもまだマネージャー業を続けており、それなりに情熱を維持している)ということが伝わるだけでも意味があることだと僕は思っている。

何よりもキツいのは、自分が孤立していると感じたり、自分に能力がないから上手く行かないのではないかと自己嫌悪に陥ったりすることだからである。

メンタルがそのような状態(もっと言えばこれがスパイラル的になる場合もある)になると、上手くいくものも上手くいかなくなってしまう。

だから、何も特別なことではない、皆同じように悩んでいるのだ、ということが伝わるだけでそのお悩み相談には意味があると僕は思うのだ(と、悩みを解決できない自分を慰めている)。

悩みがあることは健全な証拠

そして、付言するなら、「悩みがあることは健全」ということでもある。

多くの(おじさん・おばさん)マネージャーが自分の力を過信し、「我こそが最高のマネージャーである!」という顔で仕事をしているけれど、僕が彼(彼女)らを見て、そうだよな、その通りだよな、と思ったことは一度たりともない。

ああはなるまい、と思うことばかりである。

そう考えると、若いマネージャー達が悩みを抱えながら、悶々と仕事をしている姿というのは、キツいだろうなとは思うけれど、良いことであるとも思うのである。

会社も社会も見て見ぬふりだから

ただ、そうは言っても一定のケアは必要で、会社(や社会)はまだまだそれを十分にできていないようにも感じる。

「管理職罰ゲーム論」はコスパの悪さと、その処遇改善に焦点が置かれていることが多いけれど、僕が思うのは、「もちろんそれも大事だけれど、まずはその大変さを正面から受け止めなければダメなんじゃないか」ということである。

従来のような管理職の特権みたいなものがある訳ではない状況の中で、面倒事ばかりが管理職に寄せられている。

それを会社(や社会)は見て見ぬふりをしている。

僕はそのように感じることがある。

だからと言って、一朝一夕で状況が変わる訳でもない。

そんなことを思いながら、今日も僕は酒を酌み交わすのである。

「大丈夫」と言いながら。

「うー」とか「あー」とか唸りながら。

それではまた。

いい仕事をしましょう。

あとがき

孤独じゃないこと。

自己効力感。

それがあれば、マネージャー業は続けていくことができます。

僕がこのようなブログを書いているのも、それが伝わればいいな、という気持ちがそこにあるからです。

あなたの悩みはあなたの能力不足のせい(だけで)で生じている訳ではない。

そう思えるようになること。

それは結構大事なことであるように僕は思っています(自分がそれで苦しんだので)。

共に悩みながら仕事を続けていきましょう。