わかってないと思われてはいけない
どこから説明を始めたらよいかが共有されていることが大事
「理解には層(レイヤー)があって、言わなくてもわかると思って貰える層が多ければ多いほど、マネジメントは上手くいきやすい」
そんなことを考えている。
これは共通認識とも言える。
「1番底の部分は言わなくても通じる」「その上もOK」「そのまた上も…」というような感覚。
これによって、どこから説明を始めたらよいか、ということが決まる。
結果として、無駄なコミュニケーションが減る。
でも、それが上司部下間で共有されていないと、どこから話を始めたらよいかがわからなくなる。
更に悪いことに、ここで知ったかぶりなんてものをした日には、部下は更に混乱することになる。
「わかってない」をなくすこと。
それが今回のテーマである。
それでは始めていこう。
認識を共有する
部下との認識の共有。
それはマネジメントを進める上で重要なことである。
それは相互理解とも言える。
この上司はどこまでわかっていて、どこからがわからないのかを知ってもらうこと。
それによって、コミュニケーションの段階が変わってくる。
使う言葉や、説明の濃度などが定まっていく。
率直な自己開示を
ここには自己開示が必要である。
それも率直な自己開示が必要である。
でも、多くのマネージャーが躓くのが、わかっていないと思われたくないがあまり、知っている風を装ってしまうことである。
盛った自分を見せたくなる気持ちはよくわかる。
でも、それはNGだ。
まずはわかっていないことを開示する
「いやいや、それだと今日のテーマと食い違いますよね? わかってないと思われてはいけないというのが今日のテーマなんじゃなかったでしたっけ?」
そういう声が聞こえてくる。
確かにそうだ。
わかってないと思われてはいけない。
でも、それは共通認識を共有(変な言葉だ)した上で、わかってないと思われてはいけないのである。
上記の話は、共通認識の構築段階の話である。
そこでは、わかっていないことを開示することは悪いことではないし、むしろ積極的に開示すべきである。
ここをまずご理解頂きたい。
認識が共有されないと、正確な報告が為されなくなる
この一連の作業によって、「理解の層」が定まる。
このマネージャーはどこまで知っていて、どこからがわからないのか、という土台が出来上がり、その後のコミュニケーションは「そこからの話」として展開されるようになる。
これが重要なことなのだ。
でも、この土台部分があやふやなままだと、非効率なコミュニケーションが続いてしまう。
部下側からすると、何をどこまでわかっているのかがわからないので、報告が過剰になったり、極端に少なくなったりしてしまう。
これを受けてマネージャー側は、「出来ない部下」とレッテルを貼ってしまったりもする。
また、それが続くと、「こいつに話をしても理解されないから、テキトーに報告しておこう」というような動機が部下側に生まれ、かつそれがチーム内の他のメンバーにも共有されるようになってしまう。
もちろん、そのような態度は表には出てこない。
ただ、実際にチームを運営する上では物凄いディスアドバンテージとなる。
でも、当のマネージャーは気づいていない。
それをどうやって避けたらよいか?
「わからない」なら、「わかれ」ばいい
すぐ思いつく回答は、「わかる」ということである。
わかってないと思われないようにする為には、わかればいい。
でも、それは言うは易く行うは難しであって、そんなにすぐにわかることはできない。
では、どうしたらいいか?
「わからないことを開示し続ける」と同時に、「わかることを増やしていく」、これしかない。
定点を定点としない
これは「~ing」状態を維持すること、と言い換えることができる。
要は進行形状態を維持することが大事なのである。
それは僕がいつも言う「志向性」ということに繋がってくる。
「わかってない」と部下が断じ、そこからディスコミュニケーションが生まれ、その状態が改善されることはない、という「定点」的な状態。
それを避けるためには、その定点を定点としない、ということが重要である。
「わかっていない」という静的な判断を、動的に変えていくこと。
ピリオドを打たせないこと。
それがわかってないと思われない為には重要である。
動的な態度
「わかってない」というのは、一種の拒絶である。
そこに断絶が生じる。
それを防ぐ為には、時間軸を提示するしかない。
確かに今はわかっていないかもしれないけれど、わかるように努力をしているということが部下に伝わっていること。
そして、わかっていないことを自覚し、それを恥ずべきものとして自認していることが部下に伝わっていること。
そのような動的な態度。
それが「わかってないと思われない」ということの意味である。
結果として、わかっていなくても問題なくなる
それは実際にわかっているかどうかの重要度を減じることにも繋がる。
もちろん、わかっているに越したことはない。
でも、実際問題として、マネージャーにだってわからないことはたくさんある。
ただ、それを静的な点にしてしまい、そこから動こうとしないのは、全くもって違う。
わかっていない層を減らし、わかる層を増やしていく、そのような過程を実際に部下にも共有していくこと。
それがわかってないと思われないことである。
それではまた。
いい仕事をしましょう。
あとがき
大事なのは志向性。
学びをやめた瞬間に、部下はマネージャーを簡単に見限ってきます。
絶え間ない値踏みの中で、マネージャーが全てに応えることは不可能です。
でも、それに応えようという意思が見られれば、部下がコミュニケーションを断絶することはなくなります。
「コイツわかってねえなあ…」と思われないように、わからなさを開示していきましょう。