障害を取り除く
管理職から支援職へ
仕事をしていると、様々な障害にぶち当たる。
そして、それは往々にしてどうにもならないことが多い。
では、それを取り除くことができたら?
というか、それを取り除くのがマネージャーの仕事なのでは?
最近はそんなことを考えている。
マネージャーの仕事というのは、結局のところ「部下の仕事が捗るような環境を構築すること」で、その一環として障害を取り除くということは非常に大事なことである、と僕は考えている。
これは以前書いた「管理職から支援職へ」という考え方にも似ている。
当時はどちらかというとおっかなびっくりというか、自信はあったけれど確信はない中で書いていたけれど、そこから時間が経ち、現在は「やっぱりそうだよな…」と確信を深めた中で書いていけるような気がしている。
それでは始めていこう。
部下の力ではどうしようもないことを改善する
「課長は暇そうでいい」
それが僕が考えるマネージャーの基本スタンスである。
でも、そのようなマネージャーであっても、時々は仕事が来る。
その中で重要なものの1つに「障害を取り除く」というものがある。
部下が仕事をしている中で、障害になっている事象を、改善すべく動くこと。
それも、部下だけの力ではどうしようもない事象を改善しようとすること。
それがマネージャーの仕事である。
偉い人にどのように進言するか?
では、障害となっている事象というのは、どのようなことを指すのだろうか?
組織的課題、それが僕が考える事象である。
例えば、あるセクションのある人物によって、部下の仕事が妨げられているとする。
それもその人物は、組織内で重要なポジションを占めているとする。
部下からは直接モノを申しづらいような、「偉い人」であるとする。
さて、あなたならどうしますか?
部下を丸め込もうとしがち
もちろん、この「妨げられ具合」がどのようなものなのかは事前にきちんと部下に聴取すべきではある。
ただ、それを踏まえても、やっぱりちょっとおかしいよな(部下の言っていることが正しいな)、と思われる場合、あなたはどのように行動するだろうか?
僕から見える多くのマネージャーは、ここで大抵黙ったままだ。
というか、その「偉い人」をどうにかしようとするのではなく、何とかして部下を丸め込もうとしていることが大半である(本人にその自覚はないだろうけれど)。
直言してしまうという馬鹿者
確かに、組織上、上の立場の人にモノを申すのはなかなか難しい。
それもある種「批判的な内容」を含むものであれば、それはかなりリスキーな話ではある(もちろん、それがなぜリスキーなのか、というかリスキーだと感じられてしまうこと自体が問題ではあるが…)。
もちろん、僕も組織の犬である。
偉そうに話を展開しているけれど、大抵の場合はおとなしくしている。
また、正直に言えば、上記のように部下を丸め込もうとすることだってある。
ただ、それにも限度がある。
あまりにもその度合いが酷い時、もう我慢がならない時には、僕は直言するようにしている。
もちろん、直言といっても、非常にマイルドな言い方はする。
これ以上丸い言葉なんてないよな、というくらい、角を落としに落とした言葉で話をするように心掛ける。
それはもちろん怖いからだ。
不快に思われたり、嫌われたり、僻地に飛ばされたりするリスクがあるからだ。
だから、多くの人は言わない。
でも、僕のような馬鹿者は、直接話をしてしまうのである。
会社にとって良くないことは言った方がいい
これは別にヒーローを気取りたい訳ではない。
また部下から感謝されたい訳でもない。
純粋に会社にとって良くないと思うからである。
何かが障害になっていて、それが成果の向上を妨げているとするなら、それはできるだけ取り除いた方がいい。
もちろん、その「取り除き具合」にはグラデーションがある。
手当たり次第、何でもかんでも「障害だ!」「排除しろ!」というのは大人の作法ではない。
ただ、如何ともしがたいというものはあるはずだ。
その時に、リスクを負えますか?
それが僕が今回言いたいことである。
偉いとか偉くないとかどうでもよくね?
僕はマネジメントという仕事をする中で、フェアネスというものを重要視している。
そこには、偉いとか偉くないとか、声がデカいとか小さいとか、そのようなことは関係ない。
仕事というのはある種対等な関係性の中で行われるべきもので、職階は違えど、向いている方向性は同じであるべきだし、そこに貴賤はないと僕は思っている。
マネージャーだから偉い訳ではない。
それはその上の人達だって同様である。
あくまで「役割」に過ぎないものである。
割は食いますが…
ただ、いかんせん、日本企業においては、この役割よりも、職階というか、権力というか、人的なパワーが重要視される傾向があるように思う。
そして、残念ながら、その職階に見合った実力が備わっていないことも散見される。
そのような環境の中で、成果を上げることは非常に難しい。
でも、部下が必死になって努力をしている中で、その上司であるマネージャーがリスクを負わなくてもいいのかという疑問を僕は持っている。
格好つけたい訳ではないけれど、そこで日和ってしまうのは、何だかフェアではないと思ってしまうのだ。
それによって割を食うことはたくさんあったけれど、そしてこれからも割を食っていくのだろうけれど、僕はこのスタイルで仕事をしていこうと思っている。
それではまた。
いい仕事をしましょう。
あとがき
ディスカッション。
外国の人とやや込み入った話をする際、彼(彼女)らは一様に「in my opinion」という言い方をするのですが、僕はこのようなスタンスがとても良いなと思っています。
というのも、日本においては、自分の意見が自動的に相手への批判と捉えられてしまう傾向がとても強いように感じるからです。
もちろん、ネイティブ同士では、このような表現においても「嫌味っぽいなあ…」などと思うのかもしれませんが、少なくとも僕が彼(彼女)らと話をしていて、圧迫感を感じることはなく、一つの意見というか示唆として率直に受け止められるので、話し合いがポジティブなものになると感じています。
ここには、「採用するのはあなただ」という相手を大人扱いした態度が潜在的にあるように感じます。
相手を一人の確立した自我を持った大人として扱うことによって、同じ地平で批判し合うというレイヤーから、どうやったら良くなるかを考えるレイヤーに上がって会話できていることが、とても羨ましいなといつも思います。
障害を取り除く事は大変ですが、このような物言いができるようになれば、日本企業(社会)ももう少しよくなるのかもしれません。
上手に意見を述べていきましょう。