他人は違いなんてわからないんだから、あまり気にすんなよ

UnsplashKelly Sikkemaが撮影した写真

大したマネージャーなんていない

後輩マネージャーからマネジメントに関する相談を受けた。

曰く「上司からマネジメントのやり方について叱責され、自信がなくなった」とのことである。

なるほど。

確かにマネジメントの評価というのは困難を極める。

ましてや、あまり経験がない状態であるなら、自信が揺らぐのも致し方ない話である。

でも、裏返して考えるなら、「他人だって(どうせ)マネジメントの巧拙について評価できないのだから、あまり気にしなくていい」とも言える。

経験上、大抵このようなことを言ってくる上司自体、大したマネジメントなんてやったこともなく、セミナーだか本だか、どこかで聞きかじったことを偉そうに言っているだけに過ぎないのだ。

大体が、自分の部下が自身の言動によって、このように揺らいでしまっているではないか?(それをまさか危機感を与えて、奮起を促す素晴らしいマネジメントであるなんて自画自賛してないよね?)

どうせ日本国内にきちんとしたマネジメントができる人なんて殆どいない(そこにはもちろん僕も含まれている)。

だから、あまり気に病む必要はない、というのが今日の話の趣旨となる。

それでは始めていこう。

マネジメントとマネジメントらしきもの

「日本にはマネジメントの文化が存在しない」

めちゃくちゃ大風呂敷を広げたけれど、このような物言いは全くの的外れとも言えないのではないかと僕は考えている。

確かに「マネジメントらしきもの」は存在する。

でも、それはマネジメントではない。

そのように思うのである。

マネジメント=部下の能力が拡張されること

では、このマネジメントらしきものとマネジメントとの違いとは何なのだろうか?

僕はそこに「部下の能力が拡張するか否か」という違いがあると考えている。

日本においては「マネジメント=管理」であって、それも行動管理であって、部下の行動を監視し、怠けないように仕向けることが最重要課題と捉えられているように感じる。

一方、僕の考え方からすれば、部下を管理せずともその能力がブーストされるのであれば、「マネジメントをしている」ということになる。

放任だって、マネジメントになり得るのだ。

マイクロマネジメント=マネジメント?

大事なことは、「オレはマネジメントをやってるぜ!」というポーズやアピールではなく、実際に部下の能力が増進されているか否かである。

それを理解せず、「行動管理しているからマネジメントをしている」「行動管理していないからマネジメントができていない」と考える人が多すぎるのである。

冒頭に出てきた彼もそのようなマネジメント手法が自分のチームには合っていると感じ、それを実践してきた訳であるが、その上司である人はそれを理解できず、型に嵌った(ステレオタイプな)マネジメント(らしきもの)が素晴らしいと考えているようである。

そして、残念なことに、このような上司が自由なマネジメントをしているマネージャーに低評価を付け、その結果、管理職市場から退出させられ、世の中にはステレオタイプな行動管理しかしない「自称マネージャー」達が跋扈することになる。

マイクロマネジメントこそがマネジメントである、という考えを持った人しかマネージャー業を続けられなくなる。

それってやっぱりおかしくないだろうか?

あなたは孤独じゃない

日本に必要なのは、マネージャーがマネジメントできているか否かを判定する(できる)人を増やすことである。

だからこそ、僕はこんなブログを書いている訳だ。

そして、そこには折角いいマネジメントをしていても、近くに理解者がおらず、孤独に震えている人がいるなら、それを支援したい、仲間がいることを知ってもらいたい、という気持ちも含まれている。

そういう意味では、今回の話はそういう人たちに向けたエールとも言える。

あんまり気にすんなよ

僕はマネージャーになってから、自分のマネジメントについて長い間自信が持てなかった。

今だって、もちろんそこに懐疑はある。

自信満々で、「オレのマネジメントこそが真のマネジメントだ!」と言えるほどのものはない。

ただ、そうであっても、以前に比べれば「まあこんなものだよな」とは思えるようになってきたのも事実である。

そして、そんな僕が思うのは、「マネージャーと呼ばれる人はたくさんいるけれど、その多くはマイクロマネージャーかプレイングマネージャーで、マネジメントについて深く考えたこともないし、実践経験も大してない」ということである。

言わば、我流のマネジメントをしているだけである。

そのような危機感から僕はこのブログを立ち上げた訳だけれど、9年経った今だって状況はあまり変わっていない。

偉そうな人が偉そうに能書きを垂れているだけである。

だから、もしあなたが自分のマネジメントに自信を失って、仕事に対する不安を抱えているとするなら、「そんなもの気にせず、自分が思う良いと思うやり方を続けたらいいよ」ということを僕は言いたいと思う。

もちろん、それが凝り固まってはいけないとは思うけれど、他人の思いつきのような発言にいちいち拘泥する必要はない、と僕は思うのである。

そんな人たちがそれぞれの場所で生き抜いて、いつかどこかでささやかな祝杯を上げられたらいいなというのが僕の願いである。

それではまた。

いい仕事をしましょう。

あとがき

きちんとしたマネジメントをしている人へのエールを。

それが今回のテーマです。

部下に伸び伸びと仕事をさせることは、マネジメントをしていないこととイコールではありません。

でも、そのように捉える人が多すぎる。

結果、活気のない職場が量産され続けています。

大事なのは成果です。

黙って上司の言うことを聞くだけで成果が上がるなら、僕だってマイクロマネジメントを行うでしょう。

でも、そうじゃないから、僕はマイクロマネジメントを否定している訳です。

高い成果を目指していきましょう。