周囲の状況を把握する

チームの状況を周辺視野で見ておく

課長は暇そうでいい(同名のブログ内記事参照)」と常々僕は思っているのだけれど、それでも周囲で起こることは把握していた方がいい。

把握と言っても、アンテナを張って一挙手一投足を見逃さないという感じではなく、何となくチームでどんなことが起こっているのかを認識しておく、くらいの話だ。

凝視するのではなく、焦点をぼやかすような感じで。

傾聴するのではなく、テキトーにラジオを流しておくような感じで。

ぼんやりと状況を把握しておく。

ああ、あの辺で何か問題が持ち上がっているな、とか、ここで相談が行われているな、とか、そんなことを周辺視野で見ておく。

ただ何もしない。

むやみに首を突っ込んだりせずに、状況を見守っておく。

僕は重度のHSPだと思われるので、こういうことがいちいち気になって口を挟みたくなってしまうのだけれど、ぐっと堪えてそのままにしておく。

その目的は、部下が解決方法を見つける、自発的に行動する、ようにすることだ。

たぶん周囲には暇そうにしているだけだと思われているのだろうが、僕自身にはこのような深淵な思考や思いがそこにはあるのだ。

いや、本当に。

「先回り」は部下の自発性を確実に失わせる

「マネジメント」という言葉がたぶん悪いのだと思うけれど、ちょっとの問題が生じた時、それを制御しなければならない、と動き出すマネージャーはとても多い。

できるだけ問題が小さなうちに対処しておくボヤは消し止めておく、というような心性は理解できる。

でも、それを突き詰めていくと、部下のすべての行動を指示していく、というマイクロマネジメントに堕してしまう。

ここのバランスがとても難しい。

たぶんマイクロマネージャーには自覚はないと思うし、良かれと思ってしていると思うのだけれど、このような「先回り」は確実に部下の自発性を削いでいく。

もう少し辛辣な言い方をすると、問題が生じてそれが自分の責任になるのが嫌なので、そうなる前に処置をしておきたい、というのがこの行動の根幹にはあるのだと思う。

部下を泳がしておく

僕は小さな問題であれば、正直どうでもいい、と考えている。

失敗もどんどんすればいいし、その責任は僕にあるというある種の腹の括り方で仕事をしている。

小さなマイナスが多少あったって、その分を後で取り返せばいいんでしょ、という割り切りの中でやり繰りをしている、と言い換えてもいい。

ただこのような「開き直り」をするためには、周囲の状況を把握しておくことが何よりも重要だ。

僕はよく「泳がしておく」という言い方をするが、部下が問題に対してどのように考えて、行動するか、というのを見えていない振りをしながら見ている。

そこには通常ではない危機モードの部下の振る舞いが立ち現れる。

嫌な言い方をすれば、人間性が出てくる

それを無関心を装いながら、視界の外れで見ている。

1人で解決しようとする者もいるし、周囲の助けを借りながら対処していく者もいるし、ただ茫然としている者もいる。

同じ人物であっても事象によって異なる反応が出たりする。

一定のリミットラインを超えるまでは、それを放置しておくのだ。

ただ何となく、その事象の危険度は把握しておく。

この匙加減がとても重要だ。

上手く言えないけれど、最後は自分の力でねじ伏せてしまえる事象なのか、そうでないのか、を見極めておく、という感じで僕は捉えている。

人間の弱さをジャッジする

部下それぞれの性格によって、相談に来るタイミングは異なる。

僕は「あっ、そんなことが起こっていたの?」というような下手な演技をしながら、さも初めから何も知らないかのような表情でその報告を受ける(実際には大体の内容がわかっている)

これは自分でも狡いなと思うのだけれど、ここで部下が正直に言ってくるか、そうでないか、でその事象への対処方法を変えることが多い。

この場面には人間の弱さが出る。

ミスはミスで構わない。

でもそれを他人のせいにしようとしたり、自分を良く見せようとしたりするのであれば、許さない。

それを見極める為には普段から周囲をよく見ておくことが重要だ。

部下が事実を事実として報告してくるというシンプルな状況を作る

営業マンの性なのかもしれないけれど、僕はその人が何を考えているのか、本当はどうしたいのか、ということが普通の人よりはよくわかると思う。

そして割とズバッと本質を突いたことを言う(ようだ)。

だから、部下の方も僕という人間がわかってくると、「隠しても無駄だな」と思うようになるし、正直に報告してくるようになる。

その報告内容と、事前に把握している情報とを照らし合わせて、その事象に対する対処方法を一緒に考える。

これで大抵の問題は解決できる。

重要なのは、部下が事実を事実として報告してくる、というシンプルな状況だ。

そこに解釈や装飾はいらない。

でも人間は弱いから、それを隠そうとする。

事実ではないけれど、自分になるべく非が及ばないような形に変えながら報告しようとしてしまう。

本当に大事なことはそこに含まれているのかもしれないのに。

僕は部下を信頼しているけれど、時に弱さに負けてしまう生き物であることもわかっている。

それがどの程度の嘘なのか、自己防衛なのか、を把握するためには普段の振る舞いを見ておくこと、人間関係を把握しておくことが大事だ。

何もわかっていないような振りをしながら、大抵のことはわかっている状況でいることが肝要だ。

そしてそれを牽制的に部下に見せる。

緊張感を維持する。

実力差をまざまざと見せつける。

それではまた。

いい仕事をしましょう。


あとがき

僕には完璧主義的な傾向があるのですが、同時に物凄く飽きっぽい(そして他人にあまり関心がない)という面倒くさい性質を持っているので、マイクロマネジメントは不可能です。

やれと言われたらたぶん誰よりも上手にできると思うのですが(それこそマシンのように)、僕自身が確実に仕事が嫌になってしまうので、基本的には部下に丸投げしています。

究極的にはマネージャーはいなくていいし、責任だけ取ればいいんでしょ? という何とも大雑把な感じで、僕はマネジメント業務を行っています。

だからといって、本当に何もしていない、のとは違う、というのがミソだと自分では思っています。

要所要所は押さえて、出るべきところは出る、その匙加減が非常に大事です。

その為には周りでどんなことが起こっていて、これからどんな感じで展開していくのかを把握(予測)しておくことが大事です。

口出ししたくなる心性を抑えながら、仕事をしていきましょう。