誠実であること
誠実=言行一致
マネージャーの素養として大事なものの中に「誠実さ」がある。
というか、マネジメントに関わらずビジネス全般に言えることかもしれないけれど、これがなければ長期的に成果を上げることは不可能だ。
ここで言う誠実さというのはどのようなことを指すのか?
それは「言行一致」のことを指す。
自分の言葉と行動に責任を持ち、それを一致させていく、一致できない場合には正直にそのことを言う、それが僕の考える誠実さだ。
今日はそんなことを書いていく。
本音と建前を上手に使い分けることは本当に重要なのか?
僕がマネージャーをやっていて感じるのは、マネジメントたるもの本音と建前を使い分けなければならない、という考え方がまだまだ根強い、ということだ。
もちろん全て明白にするなんてことは綺麗事にしか過ぎないのだけれど、それでも建前の比率がとても高いように感じている。
表に出す感情と、内に秘めた感情はできるだけ別の方が望ましく、舞台俳優のように上手な演技をできることがマネージャーのスキルの1つである、というような考え方を持っている人が多いような気がしている。
特に中間管理職的な立場であれば、上と下の間に挟まれて、「自分の感情」というものは後回しにされがちだ。
その状況と気持ちはとてもよくわかる。
そしてその上下の感情を上手にコントロールして、適切な方向へ導いていく、それが中間管理職に求められることは重々承知している。
でもさ、と僕は思うわけだ。
これを上手にコントロールするのが口先だけではいけないぞ、いつか必ずボロが出るぞ、と。
それが僕の言う誠実さと繋がってくる。
他者には隠せても、自分には隠せない
マネージャーになるような人物であれば、ある程度相手の感情を操ることはそんなに難しいことではないと思う。
そこに自分の意を混ぜ込んで、自分のやりたいことを実現していく、というのも手慣れたものだと思う。
でもそれが上手にできればできるほど、1つ1つのやり取りというものが「軽く」なっていく。
もちろんそれは「スキルがある」ということの裏返しではある。
でもそのように上手に「こなして」いくと、だんだんと言葉が「浮いて」しまう。
なまじっか言葉によってコントロールができるので、だんだんと行動が伴わなくなってくる。
結局「口だけの奴」になる。
こうなってしまうと、いくら上手に本音と建前を使い分けたとしても、そしてそれをうまく隠し通せたとしても、しっくりこなくなってくる。
それは他者には隠せても、自分には隠せないからだ。
表面だけでマネジメントを行っていることは自分が一番よくわかっているからだ。
マネージャーの不誠実さがチームを崩壊へ導く
そういう意味においては、僕の言う誠実さというのは、他者にだけでなく自分にも向けたものであると言えるのだろう。
短いスパンであれば、その齟齬というものは目立たない。
でも時間が経てば経つほど、その乖離が大きくなり、だんだんと自分の言っていることが自分ですら信じられなくなってくる。
自分を信じられないことほど、マネジメントにおいて怖いことはない。
不確実性のただ中で、最終的に決断をする場面で、信じられるのは自分しかいないからだ。
その決断の1つ1つが鈍ってくる。
チームは停滞する。
マネージャーに倣って、中身のない空言がチームの頭上を飛び交い始め、上っ面だけの議論が展開されるようになる。
形式にばかり拘るようになる。
一見、物凄く頑張っているように見えるけれど、それは表面を如何に綺麗に見せるかにしのぎを削っているからであって、実質的には何もなくなっている。
まさかマネージャーもその原因が自分だとは思わない。
そして打開策も思いつかない。
チームは崩壊する。
コミュニケーション・コストを下げるために
言葉に重りをつけること、についてはこのブログ内でも色々なところで話してきた。
チームが1+1以上の力を発揮するためには、スキル云々よりも、マネージャーの言っていることが信じられるかどうか、が重要になる。
マネージャーの言っていることが信じられないメンバーは、他のメンバーの言っていることも信じられなくなる。
コミュニケーション・コスト、というのが適切な言葉であるかはわからないけれど、要は仕事に集中することができなくなるのだ。
余計な気を回したりすることに、その体力を奪われてしまうのだ。
どんなマネジメント本にもあまり書かれていないことだけれど、チームのコミュニケーション・コストを下げると、チームの生産性は間違いなく上がる。
特に日本企業のように、忖度や裏の読み合い、根回し、みたいなものが跋扈している組織であれば、率直に話ができる、ということがどれだけ貴重なものであるか、がご理解頂けると思う。
そんなに難しいことではないように見える。
でも、これができるマネージャーはとても少ない。
だからこそ、これができるようになれば、相対的に優位に立てる。
圧倒的な成果を出すことができるようになる。
それではまた。
いい仕事をしましょう。
あとがき
誠実であるべきだ、とか、心理的安全性を作ることが大事だ、とか言うと、「何を甘いことを」と言われてしまうのが現実です。
僕が不思議なのは、そういう人に限って大した成果が上がっていないのに(そしてそれを徹底的に考え抜くこともせずに)、表面だけを見てそのように批評してしまう、という傾向があるということです。
そして内向きでもある。
単純にその方が成果が出るからそれを採用しているだけであるのですが、それがなぜかユートピア的発想のように捉えられるのが僕にはよくわかりません。
もちろん仕事は楽しくあるべきだし、面白くあるべきだという価値観が僕にはあります。
ただそれでも成果が出ていなければ何の意味もありません。
これからも成果を出していく為にはどうすればいいのかを僕は考えていくつもりです。
参考になる部分があれば幸いです。