課長にも嫌われる権利はある
好き嫌いを出さない方が効率的にマネジメントを行える、が…。
僕は好き嫌いの多い人間である。
もう少し正確に言うと、好きな人よりも嫌いな人が圧倒的に多い人間である。
そんな僕であっても、マネージャーをやるにあたっては、できるだけその要素を出さないように心掛けている。
できるだけ公平に、好き嫌いを出さないように、仕事に取り組んでいる。
それは単純に、マネージャーというのは仕事であって、その仕事のパフォーマンスを上げる為には、好き嫌いを出さない方が効果的だと僕が思っているからだ。
元々の僕が善人になったわけではない。
僕は昔の僕のまま。
好き嫌いの多い僕のままだ。
ただプロフェッショナルとして仕事をするにあたっては、ある種のペルソナみたいなものは必要になるし、いつまでも子供みたいに「嫌いっ!」と言っていられないのが現実なので、そのように振舞っているに過ぎない。
ただ、そんな僕にだって限度はある。
こちらにも嫌われる権利はある。
今日はそんな話をしてみる。
毒にも薬にもならぬ言葉
僕はマネジメントにおいて「ポジションを取る」ことを結構重要な要素であると考えている。
全ての物事に対してフラットでいる、ということは、確かに敵を作らないことには有用であるけれど、同時に味方が生まれない、ということでもある。
当たり障りのない言葉、というのは、極論を言えば、言う必要のない言葉でもある。
間を埋めるだけの言葉、というか。
その言葉に意味を込めようとする時、意思を込めようとする時、そこには敵と味方が生じる。
片方にポジションを取ると、どうしたってそれに対して反対の意見が出てくる。
これは避けられないことだ。
マネージャーにだって嫌われる権利がある
多くのメンバーは、マネージャーに対して「嫌いである」という意見を表明することができる、そのような権利を当然に持っている、そしてそれは効果的である、と思っているようだけれど、それはマネージャーにおいても同様なのではないか、もっと言うと、「こちらだって嫌われることを前提としている」ことがある、というのが今回の論考となる。
こちらにだってメンバーに嫌われる権利があって、それを敢えて言っている場合だってあるのだ。
上手く伝わっているだろうか?
もう少し詳しく書いてみる。
クズマネージャーは論外だが、モンスター社員も論外だ
360度評価などにおいてもそうだけれど、マネージャーに対して「嫌い」だと表明することが、「マネージャーにダメージを与えるはずだ」と思っているメンバーは一定数存在する。
「これを言えば困るだろう」とか「困らせてやろう」と考えるメンバーが存在する。
それに対して僕が思うのは、「まあ確かに困らないこともないけれど、お前が思っているよりは全然困らないし、むしろお前のような奴に好かれたくもないけどな」ということをもっと表明してもいいのではないか、ということだ。
パワハラが社会問題化した以降の世界において、会社側は過剰に労働者側(メンバー側)に肩入れする傾向があるように僕は感じている。
それによって、「モンスター社員」みたいな、「取り敢えず文句言ったもん勝ち」みたいな社員が生まれている、と僕は思っている。
もちろん、その批判が納得的であればマネージャー側も反省すべきであると思うし、実際にハラスメントを行っているクズマネージャーが一定数存在するので、全てを否定するつもりは毛頭ない。
ただ、そのような社員を甘やかすことによる弊害について、あまりにも考慮されていないような気がしている。
不適合社員に甘すぎるのでは?
サークル活動やボランティア活動のように、無償かつ自由意思で集まって活動しているのであれば、その意見というのは確かに尊重すべき話なのかもしれないのだけれど、僕たちはプロとして金を貰って働いているわけだ。
そして大抵の社員というのは、日々の職務内容や、自分の現状のキャリアに対して不満や不条理を感じながら、それでも一生懸命仕事に取り組もうとしているわけだ。
それなのに、このような一部の幼児性満載の社員の言うことを聞いて生産性を下げてしまうことに対して僕は我慢がならない。
僕が不思議なのは、解雇はともかくとして、このような「不適合」な社員に対しても減給権を行使することができない、ということだ。
もちろん、時が経つにつれて、その問題社員に対する情報というのは共有されていって、その人は窓際に追いやられていくのだけれど、「それまでの時間」というのはマネージャーにとっても、他のメンバーにとっても、不愉快な時間が流れるわけだ。
毅然とした態度を
バランスの問題であることは承知している。
だからこそ、課長にも嫌われる権利はあるということは主張しておきたい、と思っている。
節度を越えた振る舞いに対しては、課長は毅然と振舞うべきだし、それを会社側も守るべきであると僕は思っている。
確かにその判定が難しいことはあるだろう。
でも、メンバーに話を聞けばそんなことはすぐにわかるものだ。
マネージャーがあらゆることに対して卑屈になり、媚びへつらう必要は全くない。
360度評価に怯え、言いたいことも言えないような状況に追い込まれるべきではない。
時には嫌いだと表明したっていいし、嫌われることを前提としてモノを言ったっていい。
少なくともそういうことを表明できるマネージャーの味方でありたい、と僕は思う。
それではまた。
いい仕事をしましょう。
あとがき
「嫌われる勇気」と「嫌われる権利」は異なります。
僕は元々嫌われることに対する免疫があるので、勇気は不要です。
どんどん嫌ってくれて構わない。
むしろ「嫌われさせてくれよ」ということです。
上手く伝わっているか微妙ですが、好きでもない人から僕は好かれたいと思いませんし、マネージャーと言えど、そういう人から距離を取らせてほしい、纏わりついて来ないで欲しい、というのが今回の主旨です。
マネージャーだって人間です。
嫌いな人はこちらも嫌いなのです。
適度に距離を取って仕事をしていきましょう。