お地蔵さんになったら終わり

UnsplashJinomono Mediaが撮影した写真

立ち尽くすお地蔵さん

ライブやフェスで微動だにしない観客のことを「地蔵」と呼んだりすることがある。

個人的にはライブなんて好きに見ればいいと思うので、それについてどうこう言うつもりはない(まあフェスだったら、暗黙の了解で自分の好きなアーティストの番でなければ変わってあげたらいいのになとは思いますが…)。

今回の話は仕事におけるお地蔵さんについてである。

それもマネージャーがお地蔵さんになっているケースの話である。

あなたはお地蔵さんになっていないだろうか?

今日はそんなことを話していく。

「悪い話に関与しない。聞こえていないフリをする」=お地蔵さん

マネージャーがお地蔵さんになっている状態というのは、「悪い話に関与しない」「聞こえているはずなのだけれど、聞いていないフリをする」ことを指す。

部下同士がちょっと離れた席で、何か悪い問題について話している状況というのは、チームで仕事をしているとよくある現象であると思う。

もちろんその「悪い問題」にも程度があって、本当に悪い話からそうでもない話まで幅があるので、全てに首を突っ込む必要はない。

ただ、話の流れが明らかに悪そうであれば、被害の拡大を防ぐためにもこちら(マネージャー)の方から声を掛けるというのがセオリーであると思う。

首を突っ込まなくても流れは追っておいた方がいい

僕自身は比較的放っておくタイプのマネージャーなので、このような話が出ている時にはある程度泳がせておくのだけれど、そうは言っても話の展開については追うようにしている。

そうしないと、初動が遅れてしまうから。

しかしながら、世の中には耳を閉ざして聞こえていないフリをするマネージャーが存在する。

それも結構な確率で。

逃げている事実だけは認めたらいかが?

これは単純に「迷惑ごとに巻き込まれたくないから」だと思う。

でも、彼(彼女)らはそうは言わない。

「いや聞こえなかったんです」と自衛をする。

「忙しくてそれどころじゃなかったんです」と保険を掛ける。

いやいや。

面倒なことをするのがマネージャーの仕事ではないのだろうか?

というか、逃げていること自体は責めないから、せめて逃げているという事実だけは認めたらどうだろうか?

単純にダサい

クソダサいぜ?

危険信号に身が固くなるのは仕方ない

これは初任マネージャーは特に気をつけた方がいい話である。

誰だってトラブルには身が固くなる。

生物学的な反応として、危機的な状況になると違うホルモンが出て、「警戒モード」になってしまうのは避けられないことである。

人間も動物なので、「危険があったら逃げる」とプログラミングされているのは仕方のないことでもある。

それがデフォルトの反応なのだ。

でも、そこで何とか踏みとどまって欲しい。

強張った表情で構わないから、「どうしたの?」と聞いてみる。

それで、もう合格点である。

そこにいることだけで十分

これは「言うは易く行うは難し」である。

特に経験値がない内は、「どんな酷いことになってしまうのだろう?」ということが頭によぎるだろう。

冷汗が流れ、思考も纏まらないかもしれない。

でも別にいいのである。

そこに踏みとどまること取り敢えず関与するだけでもう十分なのだ。

もちろん解決に乗り出せるならそんなに素晴らしいことはない。

ただそこまでできなくても、逃げずにそこに立っていることができれば、マネージャーとしての素養はあると言えるのである。

パソコンとにらめっこ

これはそのまま固まっている状態とは大きく異なる。

地蔵型マネージャーはそもそも話を聞こうともしない。

席に座ったまま、パソコン画面とにらめっこしながら、何事もなかったような表情を作る。

部下達は大慌てでドタバタしているのに、そんなことは目にも入らないし、聞こえもしない。

まるで何か別の世界にいるかのように、ただじっとしているのである。

部下は見てますよ?

彼(彼女)らは無意識にそれをやっている風に装っているけれど、明らかに意識的にミュートしているのだ。

面倒事に巻き込まれたら上司の査定に響く、なんて下らないことを考えているのだ。

確かに短期的にはそうかもしれない。

でも、部下は確実にあなたのその行動を見ている。

そしてあなたの言うことを明らかに聞かなくなるのだ。

居着きから脱する

地蔵化は意識的にやらないと防ぐことができない。

その方法とは、「動く」ということである。

取り敢えず「立ち上がる」

取り敢えず「手を上げる」

まあ何でもいい。

とにかく、「居着いている」状態から脱するのだ。

一旦動いたら、後は勝手にどうにかなる。

部下がパニック状態でまくし立ててきたり、泣きそうな顔で下を向いたまま黙っていたり、とにかく事態が進行していく。

その渦中で固まってもいいのだ。

取り敢えず固まるなら、「中で固まる」ことが大事なのだ。

我関せず、という顔でなく、部下と一緒になってヤバいなあという顔をすることが大事なのである。

解決できなくてもいい

部下だって、あなたをスーパーマンだとは思っていない。

全てのことを解決できるなんて期待していない。

ただ、同じ場所にいて欲しいとは思っている。

同じ方向を向いて、問題に向き合って欲しい、とは思っている。

それをするだけだ。

同じ地蔵でも、外にいる地蔵中にいる地蔵では大きく違う。

そして問題が解決した後、手を合わされる意味も大きく異なる。

あなたがされているのは黙祷感謝か?

それではまた。

いい仕事をしましょう。


あとがき

マネージャーを長くやっていると、トラブルにもパターンがあることがわかってきて、「ああ、今回はこう来ましたか…」と思えるようになります。

ただ、それにはある程度のパターンを経験する必要があります。

その時に大事なのが今回の話です。

解決しようと意気込むのではなく、取り敢えず一緒に悩むことが大事です。

強張った表情でも構わないので、まずは関わっていきましょう。