付かず離れず

UnsplashRebecca Matthewsが撮影した写真

「報われなさ」の多様なバリエーション

どうもマネージャーは求めすぎである。

そんなことを思う時がある。

僕は仕事柄同僚や後輩のマネージャーから相談を受けることがある。

その相談を分類するなら「報われなさ」ということになるのだと思う。

そしてその報われなさの対象の多くは、部下に向けられたものである。

要は「こちらの期待に部下が応えてくれない」という悩みの亜種(バリエーション)がたくさんある、そんな感じを受けるのだ。

「いやいや、部下というのはそういうものだよね」というのが僕からの回答である。

部下との距離感は付かず離れずでいい。

というか、それ以外ないのだ。

今日はそんなことを書いていく。

悩みの多くは自信のなさから生じている

言葉が適切かどうかわからないけれど、多くのマネージャーのこの種の悩みというのは自信のなさから生じているような気がする。

本人達は決して認めないだろうけれど、自分に自信がないから、部下に相手にされるかどうかが気になるのだと思う。

もちろん大まかな趣旨は僕もよくわかる。

これだけこちらがやってあげているのに、アイツらは何にもわかっていない。

その気持ちには心から共感する。

「でも、部下ってそういうものなのではないか?」というように僕の場合は続いていく。

メンヘラ上司は時代錯誤だ

振り返って、少なくとも自分が部下の時に、僕は上司に対して強い感情を抱いたことは殆どない

仕事上の付き合い、テキトーに付き合っていただけである。

「いやいや、私は公私共に深く付き合っていた」「それこそがマネジメントなのだ!」

そういう人もいらっしゃるかもしれない。

でも、僕はこれに異議を唱えたい。

というか、時代には合っていないよ、とは申し上げたい。

メンヘラ上司は面倒くさいのである。

過剰承認欲求

言葉が乱れたけれど、この種の上司の行動は、僕にはメンヘラ的に見える。

愛情に飢え、1人でいることに耐えられず、とにかく誰かと繋がっていたい。

周囲の気を引きたくて行動するけれど、相手にされないと必要以上に拗ねてしまう。

過剰承認欲求。

僕にはそんな風に見えるのだ。

感情は双方向である必要がある

感情の矢印みたいなものを考えた時に、双方が同じくらいの熱量を持っているなら、問題にはならないのだと思う。

でも、これが片方に寄ってしまうと、メンヘラ的になったり、ストーカー的になったりする。

恋愛みたいなものである。

というか、人間関係全般に言えることなのかもしれない。

濃厚な関係性を求めすぎでは?

いつも書いていることだけれど、職場というのは学校ではない。

上司と部下というのは、親子ではない。

でも、そのような教師と生徒、親と子のようなモデルを持ちながら、マネージャーと部下ごっこをしている人はとても多いように感じる。

師と弟子でもいい。

何というか、濃厚な関係性を求めすぎているように感じるのだ。

感情の宛先

こちらがどんなに思い入れを持って部下を指導したとして、それに応えてくれるかどうかは部下の問題である。

あなたの感情の矢印は相手に届いていないかもしない。

もっと言うと、迷惑になっている場合さえある。

それを頭のどこかに入れておいた方がいい。

ここから先は部下の領域

「そうは言っても、部下が成長しないと困るでしょ?」

まあ、その意見はわかる。

でも、あなたがどれだけ熱量を込めようと、一生懸命頑張ろうと、部下が成長するかどうかは部下の問題なのである。

もちろんサジェスチョンというか、何らかの手がかりを与えることはできる。

それをしつこく繰り返していくことはとても重要でもある。

でも、その先は部下の領域なのである。

ここをきちんと捉えておいた方がいい。

オファーはあるか?

僕はドライな課長だと自認している。

でも、部下からはドライだとはあまり言われない。

それは僕からすればとても不思議な感覚である。

というか、その経験を繰り返す中で、僕は徐々に部下を信頼するようになったのである。

僕は部下を1人の大人として扱う。

成長して欲しいとは思うけれど、成長するかどうかは部下の問題であり、その選択も部下に委ねられている。

もちろんオファーがあれば全力で向き合う。

それ以外は放っておいていいのだ。

自信を纏う

ありがたいことに、僕は現在の部下のみならず、かつての部下からもお誘いを頂くことが多い。

そういう意味では、上記したように、こちらからの強い感情の矢印は必要ないのだと僕は思う。

届く人には届くし、そうじゃない人には届かない。

それでいいのではないだろうか。

というか、部下から慕われたいと思うなら、自分にそれなりの実力をつける方が有効であるとすら思う。

自信を纏えるくらいの、経験と力。

それがあれば、部下は勝手に慕ってくれる。

こちらから歩み寄る必要はない。

部下は見てる

その努力を怠って、「なんで理解してくれないんだ!」と言うのは、やっぱり精神的に未熟なのだと僕は思う。

思いのほか部下というのはよく見ているものであるし、仮に見ていなくても構わない、理解されなくても構わないくらいのスタンスで仕事をしていけばいいのである。

付かず離れず。

その方が仕事は上手くいくはずだ。

それではまた。

いい仕事をしましょう。


あとがき

職場だけではなく、メンヘラ的な人が増えているような気がしています。

というか、SNSの普及に伴って、それが露見されるようになっただけなのでしょう。

僕にとっては露悪的だと思われるものでも、多くの人には「いいね!」となったりしているので、つくづく僕は時代と合っていないなあと感じます。

でも、だからこそ、こんな僕に賛同してくれる人もいるのかもしれません。

SNSでは自信をつけることはできません。

孤独な夜を潜り抜けていきましょう。