経営的な視点を持つ

UnsplashDylan Gillisが撮影した写真

レイヤーを上げる

今日は中級者以上向けの話を。

マネージャーという仕事とはこういうものなのかと、ある程度マネジメント業務に慣れてきたら考えて頂きたいのが、経営的な視点に関することである。

これは(よく言われる話ではあるが)「レイヤー(層)を1つ上げる」ということでもある。

基本的にこのブログはミドルマネジメント層(課長クラス)向けに書いているものであるが、その層を1つ上げ、高い視点から見た時にどのように動いたらいいのか、ということを考えてみるといいですよ、というのが今日の話である。

それは今後のキャリアにおいて有効であるということだけでなく、今のミドルマネジメントとしての仕事にも間違いなく役に立つ視点であるから。

それでは始めていこう。

毎日一緒に働いていれば、そりゃ情も湧く

経営的な視点。

これは色々な観点があるけれど、その中でも今日は「非情」というものに焦点を当てて話をしていこうと思っている。

これはミドルマネジメントが「情」に基づいている、ということに対するカウンター的な意味合いもある。

課長クラスは部下と日々仕事をしている。

基本的な業務の方向感は、部下と一緒のもの(内容に差異はあるとしても)である。

そのような悪戦苦闘を共に繰り返していくと、それなりに部下に情が湧いてくる。

それは人間として当たり前の感情であるし、別に悪いものではない。

でも、時々はその「情」というものから離れて、「非情」になることも大事なのではないか、というのが今日のテーマである。

いつもと同じ話?

そしてここまで書いてきて、結局はいつも書いていることと一緒のことなのかもしれない、と思い始めている。

というのも、非情というのは、部下との距離感にも、ドライな評価にも関係してくるし、戦略にも関係してくるからである。

そういう意味では、また今回もその焼き直しと言えるのかもしれない。

でも、その中でも、今日はその感情面(情緒面)に触れていきたいと思っている。

情に囚われたマネージャーを見て、どう思うだろうか?

部下に対する好き嫌い。

これは「情」の世界の話である。

多くのマネージャーから寄せられる悩みは、この「情」の世界に関するものである、と僕には感じられる。

それは(繰り返すが)別に悪いことではない。

実際問題として、マネージャー業務の殆どの悩みは人間関係に関するもので、どうしてもそこに視点が向いてしまうというのはある種仕方ないことであると言える。

でも、時々は我に返って、そこに経営的な視点を加えてみることをお勧めする。

1つ上の階層にいるあなたが、部下の好き嫌い(情)に囚われて仕事をしているマネージャーを見てどのように思うだろうか?

経営者として、そのようなミドルマネージャーについてどのような判断をするだろうか?

このような問いは非常(シャレみたいになっているが)に重要である。

情に厚いことは、最優先事項になるだろうか?

もちろん、「部下思いである」とか「部下に冷たい」とかそのような判断基準もあるとは思う。

ただ、あなたが経営者であるとするなら、そのようなことは優先順位という観点では、1番重要であるとは言えないのではないか?

それよりも、成果を出してくれるか否か、に関心が向かうと思う。

そして成果を出すためにどのようなマネジメントをしているのか(もしくは成果が出ていないならどこが悪いのか)、というような順番であなたの査定をしていくはずなのだ。

経営判断には情を挟まないことも重要なのでは?

ここでもそのマネージャー(この話であればあなた)に対する好き嫌いが関係ないとまでは言えないと思う。

経営者も人間なので、部下であるミドルマネージャーに対して情が湧くこともあるだろう。

ただ、そうは言っても、会社が潰れるかどうかという瀬戸際では、そんなことは言っていられないはずだ。

成果を上げてくれること、それが第一優先順位である。

そして、それが為されないなら、あなたをそこに置いておく意味はない、と考えるのもまた経営者の仕事なのではないか、と僕は思う。

自分は非情に耐えうる仕事をしているだろうか?

これはマネージャーの適性を判断する、ということに関係してくる。

自分の会社のマネージャーは、その任に堪えうる人材なのか否か。

もしそうでないなら、その職を解くことだって考えなければならない。

これは確かに「非情」と言えるのかもしれない。

でも、経営的な視点というのはそういうものなのである。

大事なのは会社が続いていくことで、そこにどのような人材がいて、資源をどのように割り当てていくかを考えるのが、経営者の仕事であるから。

だから、ミドルマネージャーの日々の仕事に同じ階層で一生懸命取り組むことだけでなく、そのレイヤーを1つ上げてみることを僕はお勧めしているわけである。

的外れな一生懸命さはいらない

その一生懸命さは、経営的な視点から考えても、有用なものなのか。

ただの自己満足なのではないか。

もっとドライに、部下に対する判断を下す局面があってもいいのではないか。

そのような俯瞰的な視点とバランス。

これができるようになると、日々のマネジメントの質も上がってくるはずである。

情は大事。当然!

部下を大事にするのはとても素晴らしい。

でも、それだけではマネジメントという仕事は成立しない。

そのことを肝に銘じて仕事をしていこう。

それではまた。

いい仕事をしましょう。

あとがき

ドライとウェット。

僕はドライなマネジメントが(もう少し)日本には必要なのではないかと考えています。

そしてその対象は自分自身も例外ではない。

自分がドライに判断されたとしても、きちんと成果を出していると言えるか否か。

それは結構大事な要素であると思います。

非情さに負けないよう、成果を出していきましょう。