マネジメントは1行では言い切れない
対象物の周りをグルグルと回り続ける
日々ダラダラと歯切れの悪いことばかりを書いている。
「結論はこうだ!」「これをやれ!」というにスパッと書きたいとは思うものの、残念ながらそうもいかない。
ある事象を書こうとすると、反対の事象が思い浮かぶ。
メリットを書こうとすると、そのデメリットが思い浮かぶ。
そして対象物の周りをグルグルと回るようなことばかりを書いてしまう。
決して中心には辿り着かない。
でもね、と僕は思う。
それこそがマネジメントなのだ、と。
非論理的で感情的な人間達を動かすためのスキル
昨今はできるだけ短時間に短文でわかりやすく表現されるものが主流となっている。
ツイッターもそうだし、ニュースサイトの見出しもそうだし、YouTubeもそうだ。
その内容は凝縮されていて、刺激的で、瞬間的に「わかった!」という気になる。
でも僕から言わせれば、あくまでも「わかった気」になるだけだ。
本質は単純ではない。
もっとグジャグジャ・ドロドロしたものだ。
人間というのはそんなに簡単に割り切れるものではない。
もっと複雑で、非論理的で、感情的な生き物だ。
それをどうやって動かしていくのか、というのがマネジメントの作法となる。
その時の状況や、メンバーの属性や、コンディションや、外部環境や、その他諸々が複雑に入り混じった状況下で、最善とは言えなくても「まあまあの手」を打ち続けるのがマネージャーの仕事だ。
それを場合分けするのはとても大変だろう(AIなら可能なのかもしれないが)。
でも経験と勘でそういったものに大雑把に対処していくことは可能だ。
それがマネージャーのスキルとなるのだろう。
僕はそんな風に考えている。
負けの不思議の負けなし
色々な分析を行って、作戦を練ったとしても、結果が出ないことは山ほどある。
何もせず、運だけを頼りに上手くいってしまうこともある。
でも野村監督が言うように「負けに不思議の負けはない」のだ。
そこに手を入れるのがマネージャーの腕の見せ所となる。
5年間マネージャーを経験してきて思うのは、そういった「明らかに負ける要因」にすら気づかない人が多すぎるということだ。
そしてたまたまの偶然や運によって、上手くいってしまう。
すると、自分は名将なんじゃないかと勘違いを始める。
断言する。
そんなことはない。
早晩そのチームはダメになる。
「継続する」ことが何よりも大事なのだ。
「安定して勝ち続ける」ことはとても難しい。
でも「最悪の事態にはしない」「低空飛行でも墜落しない」というのはマネージャーの大事な仕事だと思う。
悪くてもそれなりの結果を出す。出し続ける。
これがすごく大事だ。
でもわかっている人はとても少ないように感じる。
どれだけアウトパフォームさせられるかがマネージャーの力だ
これはプロチームスポーツを見ているとよくわかると思う。
サッカーでも野球でも、選手が良ければ、それはとても有利だ。
でもそれだけで毎年優勝ができるかと言ったらそんなことはない。
どんなに無能な監督でもたまたま優勝できることはあるだろう。
でも絶対に連続優勝は不可能だ。
ペナントレースで戦力的には毎年4位に入るだろうと思われているチームを、3位にしたり2位にしたりするところにマネージャーの差異が現れる。
もともと2位になりそうなチームが2位になっても何の意味もない。
それはマネージャーの力ではなく、選手の力だ。
だからこそ戦力分析が大事なのだ。
これはファンドマネージャーにも言える。
結果として「良い成績だったファンドが良い」のではなく、「市場平均と比べてどのくらいアウトパフォームしたのか」が大事なのだ。
このαがマネージャーの力だ。
それを結果だけ見て、「あの人は優秀なファンドマネージャーだ」というのは間違っている。
継続して安定した結果を出すために
そして繰り返すようだけれど、単年だけでは何もわからない。
続けること、少しでも向上させることが大事なのだ。
それは優秀なチームでも、弱小チームでも変わらない。
どんな環境だってマネージャーにできることはある。
僕はそんな風に考えている。
だからこそ色々な遠回りをしながら、こんなフワフワした文章を書いている。
それは曖昧で不確かで歯切れが悪い。
でも確実に役に立つものだ。
もし君のチームが上手くいっていないのだとしたら、そこには何らかの原因が必ずある。
それを除去したとしても必ずしも結果が出る訳ではないけれど、それを除去しない限りは継続して結果が出ることは絶対ない(たまたま勝てることはあるかもしれないが)。
そしてそこにアプローチするのには、確かに経験と実績と自信が必要になる。
揺るがない信念が必要になる。
僕はそこに手を付けようとする勇気のあるマネージャーを応援している。応援したいと思っている。
だからこそこんな駄文を書き続けている。
それではまた。
いい仕事をしましょう。
あとがき
「わからない」→「検索する」→「答えが出る」
こういう一連の動作を僕たちは無意識に行っています。
そしてそれが習慣化している。
それ自体は決して良いとか悪いとかそういうものではないと思うのですが、何というか、考え方の射程というか時間軸が短くなっているように感じています。
「30分でマネジメントが丸わかり!」みたいな本がもしあるとして、それを読むことではマネージャーとして向上することは難しいでしょう。
人間というよくわからない生き物に対して、時間をかけながら苦闘していくことにマネジメントの主題がある、そしてそれは不可知である、そんなことを最近考えています。
これからも僕はこんなよくわからないことを書き続けていくと思います。
呆れずにお付き合いいただけたら幸いです。