定期的に面談を行う
メンバー全員との1対1の面談
チームマネジメントにおいて定期的な面談はとても有効だ。必須と言ってもいい。
職場におけるコミュニケーションの方法は色々あるけれど、ここでは少し改まった面談というものに焦点を当てて話をする。
まずは具体例から。
僕は毎週金曜日の夕方にメンバー全員と1対1の面談を行っている。
面談といっても、1人当たり5分~10分くらいの軽いものだ(話が盛り上がったり、込み入った話になると45分くらいになる場合もあるが)。
この面談の主題は営業に関することなのだけれど、それ以外にも日々の仕事の悩みだとか、キャリアの話だとか、その他諸々の話をすることが多い。
褒めたり叱ったりする場合もある。
正直に言うと体力的にも精神的にもなかなかキツい仕事だ。
週末の夕方には他にもやらなければならないことがたくさんある。
話しずらい部下がいることも事実だ。
でも僕はどんなに忙しくてもこの面談を欠かさずに行うようにしている。
それは前のチームでの反省に基づいているからだ。
面談の目的はコミュニケーションではなくコーチングだ
前のチームでは、僕は1対1の面談の機会がなかった。
なかったというのは、僕の上司が定期的に面談を行っていたので、さらに重ねて僕がやるのもどうなのかな、と思っていたからだ。
部下に時間を取らせるのも悪いし、まあ上司がやっているし、それで良いだろうと考えていた。
結論から言うと、これは失敗だった。
上司からするともちろん現場の意見を吸い上げたり、生の声を聞いたりしたかったのだろうけれど、残念ながらこの上司は営業の経験が殆どなかった。
その為、その場でのコミュニケーションは双方向というよりは一方通行のものであったようだ。
平たい言葉でいうのであれば、上司の自己満足に過ぎなかったわけだ。
このブログにも書いていることだけれど、仕事を地面に下ろすこと、ブレイクダウンして「明日からどうやればいいのか」を言語化することは経験のない人にとってはなかなかできることではない。
それがマネジメントの要諦であったりもする。
でもその上司は「コミュニケーションを取ること」それ自体で満足してしまっていた。
コミュニケーションを取ることは大事ではあるけれど、それだけでは十分ではない。
そこにコーチングの要素を入れないと、ただの時間の無駄になってしまう。
結果として部下達は日々の仕事のモヤモヤを解決できないまま仕事に取り組むことになった。
そして直属の上司である僕はそれを把握していない。
どういう会話が行われたのか、というフィードバックも上司からなかったし、なんというかちぐはぐなチーム運営になっていた。
それが僕の大きな反省点だ。
定期的な面談ができればマネージャーの仕事の半分は終わる
本当はあの時に無理やりでも僕が面談をする時間を作ってしまえばよかったのだ。
上司に掛け合ったこともあったけれど、「それはオレがやるからいいよ」と言われてしまって引き下がってしまった。
経験値が足りないこともあったし、それをやって部下から反発されることも怖かった。
そんなどうしようもない言い訳を抱えて、後悔しながら僕はこれを書いている。
そしてあなたにはそうならないで欲しいと願ってこれを書いている。
定期的な面談はチームマネジメントには必須だ。
自信を持って言える。
というか、これがきちんとできればマネージャーの仕事の半分は終わる。
ハーフタイム中のサッカーの監督のように
ではどのように行うか?
僕は営業経験が長いので、1対1の面談は得意な方だと思う。
というか、始まる前はいつも「嫌だなあ」と思っているのだけれど、始まってしまえば乗り切れてしまえる(これは営業も一緒である)。
その場の雰囲気や流れを掴むのが不得手ではないので、苦手なタイプの部下であってもそこそこの面談を行うことができる。
双方のコンディションによって多少の効果度合いの上下はあるけれど、まあ及第点を出すことはできる。
というか、これができなければマネージャーとしては結構苦しいだろうなと思う。
ある程度リラックスした環境の中で、モチベートしたり、発奮させたり、叱ったり、その時の部下の状況に合わせて言葉の種類を変えたりする。
イメージとしては、ハーフタイム中のサッカーの監督に近いと思う。
前半の選手の出来に合わせて、テンションや言葉や身振り手振りを変える。
そして、また後半向けて選手を送り出す。
これを毎週続けていく。
それが一番のコーチングだと僕は思っている。
面談はマネージャーのトレーニングに一番効果的だ
営業の最前線に立つ機会が減った僕は、この面談に自分の営業スキルを最大限使っている。
ここに全精力を注いでいる。
存外職場における部下との会話時間というものは少ないものだ(1日の1人当たりの累計会話時間を考えてみて欲しい)
ましてや多数の部下を抱えているマネージャーであれば尚更だ。
そういう意味でもこの面談は非常に重要だ。
繰り返すようだが、それはコミュニケーションの為のコミュニケーションではいけない。
それだけで満足してはいけない。
それはトレーニングでありコーチングでありキャリア面談でもあるものだ。
その中で自分のマネジメント力も鍛えていく。
凝縮した時間の中で、どの言葉を選ぶのか、どのテンションを選ぶのか、どのトーンを選ぶのか、これをある種戦略的に使い分ける。
そしてそれによる様々な効果を見極める。
失敗もたくさんするだろう。
でもこれがマネージャーのトレーニングには一番効果的だ。
時には演技も必要だし、シリアスな演出も必要だ。
感情を出して、率直に向き合うことも大事だ。
上手くいったかどうかはいつもわからない。
今だって五里霧中だ。
でもそれを繰り返してくことでしかチームは変えられない。
筋トレのように毎週毎週面談を重ねていく。
チームは少しずつ進化していく。
それを信じよう。
それではまた。
いい仕事をしましょう。
あとがき
コーチングについては本場アメリカの本がたくさん出ています。
ただそれを日本の現場に置き換える際には少し調整がいると僕は考えています。
もちろん優秀なメンバーばかりのチームであればそのままで構わないのでしょうが、僕のような普通の人達が集まるようなチームでは、それはやや「味が濃い」ような気がしています。
表現が難しいのですが、もう少し「ダシの味を効かせる」というか「カドを取る」というかそういった作業が必要です。
僕のイメージでは、それはカウンセリングに近いような感覚です。
対面で「教える」のではなく、横に座って「一緒に問題を解く」という感じかもしれません。
マネージャーのキャラクターによってもやり方は変わると思いますが、少なくとも定期的な面談はマネージャーにとって必須科目です。
試行錯誤をしながら、自分に合ったやり方を身に付けていきましょう。