敢えて空気を読まないマネジメント
年齢=「空気を読む」歴
「空気を読む」ことは日本社会で上手くやっていく為に不可欠な行為だ。
幼少の頃から集団内において空気を読むことを叩きこまれて育った僕たちは、この技術の優劣によって人を判断していく。
「あいつは空気が読めない」というのはあくまでも悪口であって、その場を乱す不届き者はできるだけいない方が望ましい、という価値観が主流となっている。
できるだけ同質な集団の方が望ましく、阿吽の呼吸、ツーカー、といったことが尊ばれる。
そしてそれに馴染まないものを排除していく。
異質なものを排除することで、同質集団内の結束を高めようとする。
ディストピア小説のような現実
これはマネジメントにおいても同様である。
できるだけマネージャーと同じような考え方、同じような行動様式を持つ方が好ましいと考えるマネージャーが大多数だ。
右向け右、と言った時に一糸乱れぬように右を向くこと、そして一直線に行進していくことが良かれとされている。
そこで疑問を持ったり、異議を唱えたりすることは、絶対にあってはならない。
できるだけ思考停止した状態で、歩兵として突進していく者を「優秀」と称賛する。
体育会系価値観というか、上意下達型意思決定というか、とにかく年長者(上位者)の言うことは絶対なので、そこに忠実に従うことが良き部下ということになる。
こういう部下達が時を経てマネージャーになり、また同じような部下を評価していく。
同じような思考様式の人間達が拡大再生産されていく。
いつしか組織全体が同じような思考形態を帯びるようになる。
「ごっこ」として意見を合わせていたものすら去ってしまい、「本気」でそれを尊いと思うものばかりの集団が「完成」する。
まるでディストピア小説のような話だけれど、誇張しているわけではなく、本当のことだ。
僕にとってこれはコメディの一種であるはずなのに、みんなシリアスなものだと捉えてる。
真剣にそれを「すばらしい新世界」だと思っている(どちらかというと「1984年」か)。
同質な人達を同一方向に向かわせるのはマネジメントではない
こういう状況において「異端」であることはとても難しい。
人と違うことをするのはとても難しい。
ダイバーシティだとか、多様性だとか、そんなお題目ではなくて、「実践」として違う価値観の人達を纏めていくことがこれからの時代には必要だと僕は考えている。
そういうことができるマネージャーが必要だと僕は考えている。
僕から見るとこれができるマネージャーは本当に少ない。
自称マネージャーの人達は、同質な人達を同一方向に向けることをマネジメントだと思っているようだけれど、そんなもの誰だってできるのだ。
背景も性別も価値観も人種もすべてバラバラな人達を、それぞれの良さを生かしながらチームとして成り立たせるのがマネジメントだと僕は思っている。
でもそれを実践していると、「放任だ」「怠慢だ」「管理疎漏だ」となじってくるものが後を絶たない。
きっと僕のやっていることは、アウトローなのだろう。
そして僕は「空気を読めない」どうしようもない奴なのだろう。
なぜ組織の考えていることと違うことをやるのか、それを良しとするのか、ということが本当に彼らにはわからないようだ。
「ごっこ」ではなく、「ガチ」にそう思っているようだ。
僕には不思議でならないけれど、これが現実だ。
マネジメントにおいてもブルーオーシャン戦略は有効だ
僕はそんな環境でマネジメントを行っている。
敢えて空気を読まずに結果を出し続けている。
マイケル・ポーターを持ち出すまでもなく、差別化戦略はマネジメントにおいても有効である。
ニッチな領域において、ゲリラ戦を展開していくだけで、自然と結果が出ていく。
僕の場合はそれを狙っているわけではなく、自分が普通だと思っていることが、組織内においては普通でないから、勝手に浮いてしまっているだけだけれど、結果としてそれは有効に機能している。
というか、現代という時代において、マネジメントをマネジメントとして機能させるためには、これ以外方法がないからこれをやっているに過ぎないのだ。
多様性を礼賛している訳でもなく、そうであるべきだという「べき論」でもなく、実際にそういう異なるキャリアの人達しかいないから、結果を出すための手法としてこのやり方を取っているだけだ。
ある種仕方なくやっているのに、「空気を読まない」と僕は糾弾され続けている。
調和を乱す奴だと嘲笑され続けている。
だからオススメはしない。
でも手っ取り早く結果を出したいなら、人と違うことをやった方が簡単だ。
だから僕は敢えて空気を読まないマネジメントを続けている。
未だにフォロワーは少ない。
いつまでもアウトサイダーのままだ。
でも裏を返せばまだまだブルーオーシャンであるということだ。
ありがたいことにしばらくは優位性を保つことができそうだ。
それではまた。
いい仕事をしましょう。
あとがき
能力がずば抜けているのであれば別ですが、そうでないのであれば、同質集団から抜け出すためには、人とは違う戦略を取ることが重要です。
平たい言葉で言えば、「目立つ」ことが大事です。
僕の場合は元々の気質がおかしいので自然とそうなってしまうのですが、そうでない人であっても、その意識を少し持つだけで大きな成果をあげることができます。
同調圧力が強い日本社会においてこれは確かに難しいことではあるのですが、半歩だけずらす(少しだけ空気を無視する)のであれば、そんなに叩かれることもありません。
これだけで(僕は)だいぶ生きやすくなります。
誰かが面白いと思うことだけでなく、自分が面白いこともやる。
これがマネジメントの醍醐味だと思います。
ヒロイズムに溺れることなく、地道に変なことをしていきましょう。