批評ではなく行動を

四の五の言わずやってみろよ

できもしないことを簡単に言う人がいる。

そんな時「じゃあやってみろよ」と僕は思う。

言うは易く行うは難し。

本当にこの言葉の通りなのだけれど、頭の良い人たちは弁が立つので、言われる通りに「そんなものなのかな」と思う人もいるようだ。

そして批評ばかりする人は自己防衛的でもある。

この辺はうまく伝わらないし、たぶん考え方の違い方なのだと思うのだけれど、足元の状況を冷静かつ理知的に把握するというのは、ある種の人にとっては「負けを認める」ように捉えられるようだ。

僕にとってそれは勝ち負けの話ではなく、あくまでも「フラットな状況把握」なのだけれど、上手くいっていない現実を直視することに大きな困難を覚える人はとても多いような気がする。

「上手くいっていない」→「だからどうしようか?」のようには考えず、「上手くいっていない」→「それはオレの責任ではない(他の誰かのやり方が悪い)」というように考えてしまうと物事は何も進んでいかない。

粗探しばかり

こういう人に共通する特徴は自分のことに関しては現状分析がとても下手であるということだ。

裏返せば、他のことについてはとても目端が利く。

だから自分のことは取り敢えず脇に置いておいて、他人の粗を探してばかりいる。

どこかで聞きかじってきたような空論を、さも自分の意見のように扱う(それも前々からずっと熟考してきたもののように)。

空論は綺麗だ

泥に汚れていない。

万事が上手くいくように見える。

重箱の隅をつつくように

でも、現実はそうじゃない。

泥や汚れがこびりついている。

批評家たちは「そこ! 泥がついているじゃないか!」「汚いなあ! 洗えよ!」と言うのだけれど、それは落ちない汚れなのだ(もっと言うと、取るに足らない汚れなのだ)。

それがついたままでやらなければならないのがミドルマネージャーの仕事なのだ。

でも批評家たちはその汚れが気になって仕方がない。

何とかしてその汚れを落とそうと躍起になっている。

苦手科目が気になって仕方がない人達

角度を変えて言うと、批評家たちは苦手科目を勉強して平均点を上げようとしているのに対して、僕は得意科目だけ伸ばそうとしている、というようになるのかもしれない。

かつて秀才だったこの手の人達はそれで成功してきたのだろう。

苦手科目もあくまでも「相対的には苦手科目」程度の苦手度合いで、ちょっと努力すればどうにかなったのだろう。

でも、(繰り返し言うが)現実はそうじゃない。

苦手科目は永遠に苦手科目だ。

どんなに努力しても良くならない。

だから、僕はその苦手科目に目を瞑って、得意科目だけをやろうとしている。

平均点よりも最高得点を伸ばそうとしている

それで成果も出ているのに、この種の人達は「いやいや、最高点とか関係ないし。平均点が重要だし」みたいなことを(自分のことは棚に上げて)言ってくる。

そんなに言うならやってみろよ

ないものねだりをすればキリがない。

僕だって平均点も上げたいし、最高点も上げたい。

でも現在のメンバーの実力と、外部環境と、その他諸々を考えると、こうやって戦うしかないのだ。

それを「いや、その戦い方じゃファンは納得しない。他のチームでは…」みたいなことを言われると、「そんなに言うなら、お前がその素晴らしいやり方で成果を上げてみろよ」とけんか腰になりそうになる(実際にはニコニコしているだけですが…)。

テレビの前のプロ・プレイヤー達のように

理論と実践は違う。

自転車の乗り方でも、サッカーのプレイでも何でもいいのだけれど、周りから見ていると、できそうに見えるものがやってみると案外難しかったりする。

それは視点が違うからだし、自分の体というのは思い通りには動かないからだ。

ましてやそれがチーム単位になれば、その複雑度はより増していく

その日々の仕事やコンディションをやり繰りしながら、ミドルマネージャーは色々なことを成し遂げているのだ。

突き放した言い方をしてしまうと、「やっている人にしかわからない」大変さがあるのだ。

「もっと」やるとバランスが崩れる

僕はいつも「もっともっと」とこういう批評家たちから言われるのだけれど、「もっと」やろうとすると、バランスが崩れるということがわからないように見える。

現状を維持したまま、単純に積み上げれば「もっと」が達成されるわけではないのだ。

どこかを壊さない限り、「もっと」はできない。

そしてその綻びは、下手をすると全体に波及する可能性がある。

ジェンガ・ゲームのように。

新しいパーツをよそから持ってきて、それを積めば、「もっと」高くなるわけではなく、今ある部品を抜いてきて、その塔が崩れないようにしなければいけないのだ。

批評家たちは簡単に、「あ、それを抜けばいいんじゃない」みたいなことを言ってくるけれど、大抵の場合はそのパーツはとても重要な部分で、そのことにすら彼らは気付けないようだ。

まずは実践(実戦)を

こういった的外れな意見を聞くたびに、本当にマネジメント業が嫌になってくる。

「口だけ」の人に偉そうなことばかり言われる日常にうんざりしてくる。

そしてこういう人は攻める時にはあれこれ言い立てるくせに、防戦になると途端にだんまりを決め込む。

大した実力もないのに。

守りは弱いくせに。

大言壮語?

やってから言えよ。

言葉が汚くなった。

それではまた。

いい仕事をしましょう。


あとがき

減点法は簡単だし、絶対に負けません(どんなことでも「完璧」はあり得ないから)。

一方、加点法は難しく、絶対に欠点は残ります。

頭の良い人たちはポジショニングを取るのが上手なので、減点法を取ることで、その立場を強固なものにします。

でも世界を構築することはできません。

いつだって世界を作るのは楽観的な愚か者です。

僕は愚かなポジションのままで、これからも加点法でマネジメントをしていこうと思います。

仲間が増えたら幸いです。