成果って運の要素が大きいのでは?

頓珍漢なマネージャーがたくさん出現する理由

「運」をマネジメントという概念にどのように取り込むか、というのは結構難しい問題である。

ある成果が、効果的なマネジメントによって生じたのか、それともたまたま運が良かったのか、というのは外形的にはわからない。

そして「良い成果」はその元となった行動を強化させる。

上手くいった、という実感があった行動は、再現性を求めて、繰り返されることになる。

それがたまたま「運」によるものだったとしても。

かくして、頓珍漢なマネージャーがたくさん生まれることになる。

今日はそんな話だ。

自分では「運」のおかげだと考えておく

結論から先に言うと、僕は運の要素は否定しないけれど、自分では「たまたま運が良かった」と考えるようにした方が、中長期的にはマネジメントは上手くいく、というように考えている。

マネジメントにできることは、あくまでも「確率」「勝率」を上げることであって、効果的に行ったからといって、必ず勝てるものではない

ある領域から先については、運の要素がついて回る。

それは事実だ。

そして他者はその見極めができない、というのもまた事実である。

多分に「運」の要素であることを、「課長のマネジメント力が凄い!」とか「凄腕マネージャー!」とか簡単に言ってきたりするし、その逆も然りである。

ただ、自分にはわかるはずだ。

その成果に結びついた要因が、運による要素が大きいのか、マネジメントによる要素が大きいのか、というのは、(正確にとは言えないまでも)自分にはわかる。

それをきちんと見極めることがとても大切である。

「運」は上手くいった時のみ言及すべき事柄

自分自身もかつてそうであったけれど、他者からの称賛を鵜呑みにして、「俺すげええええ!」状態になってしまうと、マネジメントの進化はないし、発展性・継続性はない。

他者からの評価は「水物」として受け止めておいて、上手くいったことと、運によって助けられたこと、もしくはマネジメントの成果として運を呼び込めたこと、などなどを細かく分析して糧にしておく。

これが非常に大事であると思う。

これは表現が難しいのだけれど、上手くいった時には運の要素に(自分では)して、上手くいかなかった時には実力のせいに(自分では)する、というスタンスが中長期的にマネジメントで成果を出す際の心構えとしては重要な気がしている。

もしくは、勝ったのはメンバーのおかげ、負けたのは自分のせい、でもいい。

とにかく、「運」というものは、上手くいった時のみ言及すべきものであって、かつそれは自分の手柄ではない、というように考える方が、マネージャーとして長くやっていく為には必要である。

勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし

最悪なのは、上手くいかなかった時に「運が悪かった」と言ってしまうこと(言い訳にしてしまうこと)である。

もちろん、実際に運が悪いこと、それが失敗の要因であることは往々にしてある。

ただ、自分でそれを言うな、ということである。

「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」

その言葉を肝に銘じてマネジメントをしていかなければ成長はないのだ。

運をより広範な概念として捉える

野球の野村監督の名言を思い出した流れで書くと、僕は「監督にできることは(攻撃面においては)ビルドアップの仕組みを構築するだけである」というサッカーのグアルディオラ監督の考え方に共感する。

サッカーがわからない方にはまるで意味不明かもしれないけれど、局面局面がその都度変わっていくサッカーという競技において、「攻撃の型」を事前に用意しておくこと(そしてその局面が実際に訪れる可能性を考量すること)はあまり効率的とは言えない。

それならば、そこまでの筋道を効果的にする「仕組み」を構築して、あとは選手(例えばウインガ―)の才能に任せる、という考え方は、「運」というものをより広範な概念として捉えると、今回の話にも適応できるような気がしている。

マネージャーにできることの限界と可能性

もちろん効果的な仕組みを作ったからといって、毎試合勝てる訳ではない。

選手の調子が悪い場合もあるし、相手チームが上手く対応してくる場合もある。

ただ、「良い仕組み」さえあれば、シーズンを通して考えれば、高い勝率になるのではないか、という考え方は僕にはとてもしっくりくるのだ。

もう少し細かい話をすると、その「良い仕組み」を構築する為には、色々な他の概念があるのだけれど(5レーン、偽サイドバック、ゲーゲンプレスなどなど)、最後の最後(アタッキングサード)の部分は選手のタレントに任せるしかない(もちろんその為に数的優位を作ったりする必要はあるのだけれど)、というのは、マネージャーのできることの限界と可能性の両方を示していると思う。

そしてその全てがオーガナイズされていることが、恒常的に勝つためには必要となるのだ。

やっぱりバランスが大事

これはいつも僕が書いている「バランスを取ること」にも繋がってくる。

木を見て森を見ずではないけれど、ある1部分だけ変えても、全体のバランスが崩れてしまっては何の意味もない。

ただ、往々にしてマネージャーというのは、この1つをドラスティックに変えること(改革)をやりたくなりがちである。

でももしかしたら、それによって「運」を呼び込む可能性を下げてしまうかもしれない、ということは考えておいた方が良いと思う。

運と上手に付き合うこと、仕組みを構築して運を呼び込むこと、そんなことを考えていけば自ずと勝率は上がっていくはずだ。

それではまた。

いい仕事をしましょう。


あとがき

僕は確率論で考えることが好きです。

マネージャーにできることは勝率を上げることであって、勝率を上げる為にはその「仕組み」を作らなければならない、でも良い「仕組み」を作ったからといって必ずしも勝てるとは限らない、というように僕は考えています。

そしてそこには多かれ少なかれ「運」の要素が関係してきます。

上手に「運」と付き合っていきましょう。