ダメな人ほど「プレイングマネージャー」という言葉を使いたがる

マネージャー失格宣言であることに気付いていない?

ある会議でのこと。

参加者の殆どが「私はプレイングマネージャーとして頑張っています!」という枕詞と共に(自慢)話が始まったので、僕は内心「やれやれ…無駄な会議に来てしまった…」と思うことになった。

自分から「私はプレイングマネージャーです!」と言う人にろくな奴はいない。

それも誇らしく言っているのであれば、治療の施しようがない。

もちろん、常日頃から「成果が大事」と言っている僕からすれば、「成果を上げる為にはマネージャーがプレイすることも必要である」という考え方を全面的に否定するつもりはない。

ただ、それは後順位の話である。

まずはマネジメントに特化することを考えなければならない(というか、マネジメントに特化すれば自ずと成果は出るのであるが…)。

「プレイングマネージャー」という言葉には、「私はプレーヤーとしてもマネージャーとしても優秀である」というニュアンスが込められているようにこの手の人は思うのかもしれないけれど、僕からすれば「私はプレーヤーのままです(マネジメントは不得手です)」と宣言しているようにしか感じられないのだ。

今日はそんな話をしていく。

一時的な穴と恒常的な穴

マネージャーの仕事はマネージすることである。

これが大前提だ。

ただ、往々にして、チームには波があって、特に着任当初には数字が上がらないことが多くて、その穴を埋めなければならないと思うことが起きるものだ。

よくある反応が、「この穴は私が埋めなければならない」というものだ。

マネージャー自身もそうだし、その上司(上級マネージャー)もそう思っていたりする。

ここでちょっと立ち止まって欲しい。

完全に間違っているとは言えないが、再考の余地はある。

その穴は短期的(一時的)なものなのか、恒常的なものなのか?

もし恒常的であるのであれば、それをマネージャーが埋め続けるのか?

こういった考え方が非常に大事である。

プレイングマネージャー論は精神主義の一種である

日本企業においては、とにかく「頑張っている」ことが誉めそやされる。

「プレイングマネージャー」論もこの亜種の1つで、精神主義的な意味合いを帯びているので、みんな盛んにそれを主張しようとする。

ただ、「頑張り」だけでは、成果は上がらない。

それも恒常的には成果は上がらない。

これをきちんと理解しておくべきである。

持続可能性についてはきちんと考量を

恒常的に成果を上げる為には、「仕組み」を作らなければならない。

もちろん全戦全勝はできないけれど、少なくとも勝率を上げる為の構造は作らなければならない。

漏れているバケツの底をマネージャーが塞ごうとするのは何も間違ったことではない。

でもその穴の大きさや漏れ出る水の量はきちんと測定した方がいいし、その持続可能性についても検討すべきである、ということを言いたいだけだ。

努力と根性で何とかするという昭和スポ根漫画みたいな世界

日本企業がよく言う「企業努力」というものが、ほぼ「サービス残業」と同義である、ということがバレてから随分と時間が経つ。

「プレイングマネージャー論」もこのカテゴリーの話である、と僕は思っている。

何かが不足している時に、それを埋め合わせるのは努力と根性であるメンバーはもちろん、そのマネージャーもそうすべきである、みたいなスポ根精神が未だにこの国には蔓延している。

それも前述したように、おかしいとすら思わない(むしろ自賛していたりする)。

だから僕らの生産性はいつまでも上がらないのだ。

だからブラック企業というものが後を絶たないのだ。

後進国的な労働環境と労働観

僕の頭の中には、最近「マネジメント不全」という言葉がずっとある。

それはきっと、この後進国的な労働環境と労働観に嫌気がさしていることと、その現状を打破しようともしていなくて、むしろ甘受しているみたいな顔をしているマネージャー達がたくさんいることが関係しているのだと思う。

このような「働き方」が当たり前である、という信念が、また同じようなプレイングマネージャーを生んでいく。

エンドレスの連鎖。

それをもうそろそろやめないか?

「具体的な方策」と「待つ」こと

僕はマネジメントに特化しないことを「逃げ」だと思っている。

それは自分で経験していて思うのだけれど、大抵のマネージャーが「具体的な方策」を示せないこと、その果実を享受するまで「待てない」ことが関係している。

マネジメントの成果が出るまでにはある程度の時間が必要となる。

そして何をすべきか、ということを明確に言語化する必要がある。

これを出来る人はびっくりするほど少ない。

あるのは、根性と怒号

精神論による鼓舞と脅迫だけだ。

あなたにできることは?

以前にも書いたことだけれど、ぜひ胸に問いかけて欲しい。

努力と根性が封じられたら、あなた(マネージャー)にできることはありますか?

残業時間を延ばすこと以外に、成果を高める手段を提示できますか?

自らがプレイすることなく、成果を上げる仕組みを構築できますか?

できないなら、できないで仕方ない。

それをしっかりと受け止めて、プレイングマネージャーとして覚悟を決めてやり抜くしかない。

ただそれもしないまま、安易にプレーヤーに逃げるのは、そしてそれをさも良いことであることであるかのように喧伝するのはやめて頂きたい。

とても迷惑だ。

それではまた。

いい仕事をしましょう。


あとがき

後進国的な労働環境と労働観という概念について最近よく考えています。

結局のところ、日本の生産性が上がらないのは、これが原因なのではないかと思うことが多いです。

「成果が上がらない→努力が足りないからだ!→根性で頑張れ!」みたいな負のスパイラルを僕たちは令和においても繰り返しています。

「それをそろそろやめませんか?」というのが僕の主張です。

賛同して頂けたら幸いです。