他部署に優しく

部下が仕事をし易くするために

マネージャーは外交官である。

今日はそんなよくわからない書き出しから文章を始めてみる。

というのは、どんな業種や職種であっても他部署との関わり合いは少なからずあるだろうし、その際に良好な関係を構築している方が仕事はし易いだろうから、マネージャーが率先してその役目を引き受けるべきである、と考えるからである。

もちろん会社によっては、他部署であっても和気あいあいと仕事をできるところもあるのだろうけれど、少なくとも僕が務める会社には「セクショナリズム的要素」があって、その壁も高めであるのが実際のところである。

そんな時に、マネージャー同士がいがみ合っていたりすると部下は仕事がやりづらくて仕方がない。

だから、マネージャーは他部署に優しくしておいた方がいい。

今日はそんな実際的な話をしていく。

他部署とは仲悪くなりがち

皆さんは他部署と上手くやれているだろうか?

そして他部署と言っても、例えば営業1課と営業2課のような「近い」他部署もあるだろうし、営業と事務・経理・総務のような(比較的)「遠い」他部署もあるだろう(この辺は設計と製造、品質管理と商品企画などご自身の会社に置き換えて考えていただければいい)。

往々にして、遠い部署には優しくできても、近い部署にはライバル心が湧いて仲良くなんてとんでもない、ということが起こる(実際に僕も会社に入ってから営業課長同士が口も利かない、なんてことはザラにあった)。

これは人間が丸くなってくればある程度上手にできるようになるのは事実だし、上級マネージャーになる為には不可欠な態度であるのだけれど、自分もマネージャーに成りたての頃はそんなことはできなかったので、もう少し実践的な話を以下でしていこうと思う。

ナンバー2と仲良くする

ではどうすればいいのか?

他部署のマネージャーとは仲良くできなくても、その部下とは仲良くする、というのが僕なりの実践的なアドバイスである。

そしてその「部下」というのも、その部署の部下の中での「筆頭」(ナンバー2)であると望ましい。

要は、「実務ベースでの権力者」と親しくやっていくことが重要である。

斜めの関係を意識する

これは前述した近い部署でも遠い部署でも一緒である。

イメージとしては「斜めの関係」「叔父と甥」みたいな感じである。

僕が担当者だった時もそうであったけれど、他部署のマネージャーというのは利害関係が薄いし、人事評価者でもなかったので、気軽に色んな話ができ、その結果人間関係も良好であった。

直属のマネージャーには相談しにくいことであったことも、他部署のマネージャーであれば相談することができた。

このイメージである。

マネージャー同士の話し合いは表面的なものに帰結してしまうことが多い

これは親には言いにくいけれど、親戚の叔父さんには相談しやすい、みたいな感じである。

これをマネージャーの立場に置き換えて考えてみる。

例えば、自分の部下と他部署の部下に揉め事が起こったとする。

そして解決の為にはそれぞれの話し合いが必要だとする。

もちろん原則的にはマネージャー同士が話をして、解決方法を模索すべきであるけれど、それぞれ立場とメンツとプライドがあるので、この手の話は表面的なものになりがちで、何となく解決した雰囲気を出すものの、裏ではボロクソに罵っていたりするので、あまり効果がない。

それを見ている部下達も、実際に状況が好転する訳でもないので、仕事がしづらいままである。

これはよくない。

ではどうするか?

平場でナンバー2と話をつけるのが現実的

とりあえず「平場(アンオフィシャル)」において、相手の部署の筆頭の部下と話をする、というのが僕の答えである。

それもできるだけ畏まらずに聞く(コロナで難しくなったけれど、食事の際とか、トイレの時とか。ただ今の状況であれば、廊下ですれ違う時に偶然を装うというのが現実的だろう)。

「あの件、どんな感じ?」みたいに。

すると、向こうは向こうで直属のマネージャーには話しづらいことがあることが多いので、「実は…」というような形に話が展開していくことが多い。

もちろん、この手法を使うためには、日ごろからその筆頭の部下との関係性を良好なものにしておくことが望ましい。

その為には(嫌らしい話であるが)普段から優しくしておく、ということが重要になる。

もう少し実際的な話をすると、マネージャーの権力を使ってある程度便宜を図ってあげたり、直属のマネージャーから叱責されていたらフォローする、そんな当たり前のことをするだけである。

こうやって日々の「外交活動」をそれぞれの部署と行っておく。

飲み物やお菓子を差し入れすることも重要だろう。

世間話や馬鹿話をしに、フラフラと他部署に行くことも大事である。

歴とした外交活動ですよ。いや、本当に…

僕は暇な時間にこれをやっている。

傍から見れば、「暇を持て余している」ように見えるだろうけれど、僕からすればこれは重要な外交活動なのである(いや、実際に暇を潰している場合もある。というか多い)。

僕は上司を敬ったり、慮ったり、ヨイショしたりするのは苦手であるが、下の人達と仲良くするのは得意である。

彼ら(彼女ら)が困っていたら、手助けしたり、アドバイスをしたりする。

横に座って話を聞いたりする。

それだけで明らかに仕事はやり易くなるし、成果は上がり易くなる。

他部署のマネージャーがどんなに苦手であっても、これができていれば、何とかなるものである。

それではまた。

いい仕事をしましょう。


あとがき

マネージャーになればわかることだと思いますが、「話はわかるけれど、部下の手前、丸呑みはできない」ということが、それぞれの部署同士にはあります。

これは正に政治的状況に似ています。

そんな時に、相手のメンツを潰さずに、でも実務ベースでの仕事に支障がないようにするためには、相手の部署のナンバー2と仲良くしておくことが重要です。

マネージャーの仕事は「部下が仕事をし易い環境を作ること」です。

それにはこのような他部署との関係の良化も含まれています。

賄賂を贈り、便宜を図り、媚を売っていきましょう。