敵の敵は味方

外に共通の敵を作る

国際政治みたいなことを最近考えている。

チーム内に揉め事が生じていて、何となく雰囲気がギクシャクしている時でも、外に共通の敵がいると、その緊張が和らぐ、そんなことを思うのだ。

たぶん政治家たちは意図的にこのような手法を使って、自分への求心力を高めるのだろう。

流石に僕はそこまではできないけれど、1つの考え方として押さえておくとよいかもしれないと思ったので、今回はそれを文章にしてみる。

派閥争いに発展することも

内政と外交。

チームマネジメントにおいても、それらはどちらも重要である。

チーム内での関係性を良好にしながら、他部署とも上手くやる。

これがベースである。

でも、時に(というか往々にして)、チーム内に馬が合わない人がいて、その人達がバチバチと争っているせいで雰囲気が悪くなる、ということが起こる。

それが更に悪化していくと、派閥争いみたいなことが起きる。

それぞれが徒党を組みだして、相手方とは口も利かない、みたいな状態になってしまうことだってある。

これは結構しんどい事態である。

マネージャー争奪戦になったら最悪

僕自身は基本的に他人に興味がないし、実際にメンバーにもそのように思われているので、この両者の派閥がマネージャーである僕を取り込もうという動きはあまり起きない。

でも、マネージャーのタイプによっては、そのような状況が起こると思うし、そうするともう片方のメンバーとの関係性は急速に悪化するだろう。

結果として、チームは分断される。

空中分解してしまう。

こうなったら最悪だ。

自然発生的なら使っても良いのでは?

もちろんマネージャーとしては、それぞれの人達を架橋すべく努力をして、円滑に仕事が回るように仕向けるのだろうけれど、そうは言っても合わない人同士はどうやったって合わない訳で、そのしこりを解消するには程遠い、なんてことは結構よくあることであると思う。

そんな時にマネージャーができることは何なのか?

それが今回のテーマである、外敵を作る、ということである。

非常に嫌らしい話にはなってしまうのだけれど、これは想像以上にチームの関係性を良化する可能性がある手法である。

もちろん意図してやるのはどうかと思うけれど、「自然発生的にそれが起こってしまった場合には上手に使うことを考えてみても良いのでは?」というのがここからの話となる。

AさんとBさんとCさん

例えば、チームが2つあって、それぞれ営業1課と営業2課であるとする。

そして営業1課内のAさんとBさんの仲が険悪であるとする。

上記したように、通常であれば営業1課内において、Aさん閥とBさん閥が対立して、課がギスギスするわけであるが、ここに営業2課のCさんという人が登場するとする。

この営業2課のCさんが曲者で、Aさんに対してもBさんに対しても攻撃的であったとする。

すると不思議なことに、AさんとBさんの距離が縮まるのである。

仲良くなる、というところまでは流石にいかないけれど、かなりの融和が進む。

結果として、営業1課内の雰囲気が良くなることになる。

人間とはそういう生き物である

これは営業1課のマネージャーとしてはある種ありがたい事態である。

もちろんこれが「1課と2課の対立」にまで発展してしまうと、それはそれで面倒なのだけれど、Cさんという曲者が属人的に問題なだけなのであれば、この事態は営業1課のマネージャーにとってとても有利に働くことになる。

口もきかなかったAさんとBさんが、Cさんの悪口を言うことで盛り上がっていたりする、なんてことが起きる訳であるから。

僕はこういう事態を目にした時に、「ああ、政治家というのはこういうことを上手に利用しているんだなあ」と思うことになった。

権謀術数とまではいかなくても、人間というのは「そういう生き物である」ことをたぶん彼ら(彼女ら)は骨の髄まで理解しているのだろう。

中身は変わらないのに…

当たり前の話だけれど、AさんもBさんも中身は何も変わっていない訳である。

それぞれが口にしていた「気に食わない面」もそのままである。

それが外敵が出現した瞬間に、一気に融和ムードになる。

これは本当に驚きの事態である。

人間関係を拡張する

マネージャーとしては、それを煽ることもなく、淡々と仕事を進めればいいと思う。

人間関係というのはクローズドな環境において悪化する訳で、それを少し拡張するだけで事態が変わる、というのは覚えておいて損はない。

固定化した関係性が毎日続くから、箸の上げ下げまで気になるのである。

その視点を少しだけ外に向けてあげる。

そうすればチームの揉め事というのはもう少し解決が楽になるのかもしれない。

もっと嫌われる人を作ってみては?

これは矛先がマネージャーに向いた時にも使える手法である。

イマイチ自分がメンバーに好かれていないな、もしくは嫌われているな、と思ったら、外にそれ以上に嫌われる人がいる状態を生じさせる、というのは1つの手法として考えてみてもよいかもしれない。

先程の例では他課であったけれど、この相手は上級マネージャーであってもいい。

とにかく、更なる嫌われ役がいると、その対象から自分が外れるので、とても仕事がし易くなる。

悪魔的な手法ではあるけれど、参考になれば幸いである。

それではまた。

いい仕事をしましょう。


あとがき

今日の話はとても生っぽい話であると思います。

人間が集まると不和が生まれます。

でも、それよりも強大な敵が現れると、途端に結束したりするわけです。

意図的に使うかどうかは別としても、方法論として覚えておくと、チームマネジメントには役立つはずです。

揉め事ですら、有効活用の材料にしてしまいましょう。