数値化に拘ろう

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成果とは「組織で評価され、かつ数字で視認できるもの」のこと

先日、「成果成果と仰いますが、成果とは具体的にどういうことを指すのですか?」というメールを読者の方から頂戴した。

確かに僕は成果と言いながら、その成果の定義を具体的に行っていなかったような気がする。

なので、定義を行う。

それは「組織で評価され、かつ数字で視認できるもの」のことである。

大事なのは、「数字で視認できる」というところである。

いつも書いている通り、マネジメントにおける成果というのは数値化が難しい。

ただそれは直接的に難しいということであって、間接的には表現可能である。

チームの成果がマネージャーの成果である。

そしてそこには客観性が必要である。

客観性を担保するには、数値化するのが手っ取り早い。

今日はそんな話をしていく。

組織から提示される数値目標をクリアすることがマネージャーの仕事

企業決算が一定期間の業績によって構成される以上、マネージャーの評価も一定期間の成果によって為されることは当然と言える。

これがまず大前提だ。

僕らは資本主義という構造の中で成果を多く上げるというゲームに参加している訳で、その組織が求める評価項目を達成させることが主要なミッションとなる。

例えば、四半期、半期、年度、3か年計画、5か年計画、などである。

このタームの中で、提示される数値目標を達成させることがマネージャーの仕事である。

それ以外は評価対象外である。

数値化が困難なものは合格か不合格かにしてしまえば?

「いやいや、人材育成や労務管理、コンプライアンスなどもマネージャーの重要な仕事でしょ?」

それは確かにそうである。

ただ、これらの項目は数値化が困難である。

それでも無理やり行うなら、「Aさんの売上を前年比10%向上させ、労働時間を20%削減させ、法令違反も1件も出しませんでした」みたいな感じになるかもしれない。

でも、これだって、もっと大枠な「成果」ということで括ることは可能であると思うのだ。

例えば、これを「利益額」という成果で置き換える。

そうすれば、人材育成も労務管理もコンプライアンスもできていなければ、達成は難しいだろう。

もっと言うと、通年のみならず、中長期の成果として求められ続けられるのであれば、これらの項目ができているのは当然であると言える。

部下が育たなければ利益は上がらないし、労務管理ができていなければ辞めてしまうかもしれないし、コンプライアンスが十分でなければ顧客にそっぽを向かれてしまう。

そういう意味では、このような項目を包含する大きな「成果」を定めるのも1つの手であるし、数値化が難しいものは「合格」か「不合格」かの2つで評価することにするのが望ましいのかもしれない。

評価者と被評価者の認識のズレ

「利益はイマイチでしたけれど、人材育成に力を注ぎました!」とか「休暇取得を促進し、部下の労働環境を改善しました!」みたいなことを言う人が時々いるけれど(そしてそれを評価する評価者もいるけれど)、そのような「感覚」や「雰囲気」で評価するのは絶対にやめた方がいい。

もう少し人事的な用語で話をすると、「定性評価」というのは「定量評価」に現れるはずであるから、基準未達は問題であるけれど、それ以上は一定の評価に留めるというのが望ましいと僕は思っている。

それは、「一生懸命頑張りました!」という主張には際限がないからであり、それが必ずしも組織が求めている方向性と合致しない可能性があるからである。

それによって、評価者と被評価者の間にズレが生じる。

「結局は好き嫌いかよ!」という言い訳を生む素地を生じさせてしまう。

それを防ぐのが数値化である。

上司ガチャが外れた時にすがれるのは数字しかない

「数値化というのは非人道的で、人事評価にはそぐわない」、そう考える人がとても多いように感じる。

では、聞くけれど、「恣意性をできるだけ排除する評価基準って他に何かありますかね?」

僕はどんな部下であれ、どんな上司であれ、一定のレンジでの評価が可能なのは数字であると思っている。

よく言われる「上司ガチャ」がハズレたとしても、数字での評価が基準となっているのであれば、組織が求める成果を出しておきながら物凄く悪い評価がつけられることはまず起こりえないし、もし起きたとしたらその評価者こそが問題である、という提起ができるからである。

できるだけ感情や好悪というものを排除することで、みんなの意識が成果に向かうようになる。

おべっかやお世辞、ゴマすりや忖度、そんなものの影響を極小化することができる。

僕はそんな風に考えている。

数字で会話しよう

これは意識的に習慣づけることが必要である。

「頑張ったというけれど、それって具体的に数字に表すと前月対比どのくらいなの?」というように。

とても嫌味なマネージャーのように見えるかもしれない。

でも、マネージャーというのはそういう仕事なのである。

そしてそれを嫌味だと取られないように、マネージャーの仕事というのはそういうものであると周知しておく必要があるし、普段からの人間関係をある程度構築しておく必要があるのである。

それができればチームは確実に向上していくはずだ。

それではまた。

いい仕事をしましょう。


あとがき

「ドライな部分を徹底的にドライにした方が、人間性がより大きく意味を持つようになる」

「それを中途半端に行うから、評価者と被評価者の認識のズレがいつまでも改善しないのである」

僕はそんな風に考えています。

僕は超ドライ(これすらも数値化すべきでしょうか笑)ですが、スーパードライであるが故に、部下からは人間的に信頼されているような気がしています。

数字をベースに会話し、本当の意味での人間性を尊重していきましょう。