スペースを空けよう
スペースを埋めるのではなく…
最近考えていることの1つに「スペースを空ける」ということがある。
これはサッカー用語なのかもしれないけれど、自分がいるポジションをずらすことで、その部分に人がいない状態にする(結果プレーがし易くなる)ことを指す。
マネージャーの仕事は「スペースを埋めること」ではなく、「スペースを空けること」なのではないか?
人が密集していると、プレーの幅が狭まる。
そしてそのプレーを阻害している要因は、もしかしたらマネージャー自身かもしれない。
今日はそんなことを書いていこうと思う。
マネージャー=ボランチだと思っていた
僕はマネージャーの仕事というのは、サッカーで言えばボランチであると長年考えてきた。
試合の流れがスムーズになるようにボールを散らし、チームにリズムを作っていく。
前線にくさびのパスを打ったり、ピンチの時には体を投げ出してブロックしたりする。
そんなイメージでずっと仕事をしてきた。
でも、最近はちょっと違う。
何というか、偽9番みたいな感じなのだ。
マネージャー=偽9番?
偽9番というのは、センターフォワードのように見えるようなポジションにいるのだけれど、主要な役割はそうではなく、中盤に下がることで元いたスペースを空ける、ややチャンスメイク寄りのポジションのことを指す(もちろん点も取りに行く)。
と書いたところで、必ずしも9番でなくても良いなという風に思ってきたので、修正すると、「スペースを空ける動き」それで十分なのではないか、と思うようになってきたのである。
ボールを持たずに、ゲームを動かす
これは自分がボールを保持していないことを意味する。
ボランチはボールを軸に、ゲームをコントロールする。
偽○○は、ボールがない状態でゲームをコントロールする。
こんなイメージの変化があるのだ。
もちろん、ボランチであったって、スペースを作る動きというのは頻繁に行う。
だから、正確に言うなら、ボールを持っていない時のボランチ(偽6番?)みたいな感じということなのかもしれない。
オフザボールの動きというか。
僕はそんな感じで最近は仕事をしている。
マネージャーがいると、メンバーが動きづらい
というのも、マネージャーが前目で仕事をしようとすると、メンバーが自由に動けない状態ができてしまうのではないか、という疑問が生まれてきたからである。
そして、この疑問には段階があって、これは2段階目の疑問なのである。
よくわからないと思うので、もう少し詳しく書いていく。
1段階目の疑問
まず、プレイヤーからマネージャーに変わる時に1段階目の疑問がある。
「フォワードとしてプレーするのではなく、ポジションを下げた方がいいのではないか?」というものである。
そこで多くの人は挫折する。
気持ちとしてはポジションを下げた方が良いと思っていても、メンバーにもどかしさを感じて上がってしまったり、上司からの命令によってゴール前に顔を出したりしてしまう。
これが世に多くいるプレイングマネージャーである。
そして、それではダメだと気付いた少数の人が次にぶつかるのが次の(2段階目の)疑問である。
2段階目の疑問
それが「パスって必要なのだろうか?」というものである。
いま僕が考えているのがこれである。
今までの僕はそうは言ってもボールを動かす(パスをする)ことで、ゲームをコントロールしようとしていた。
必ずしもラストパスでなくても、前後左右にボールを散らすことでリズムを作ろうとしていた。
でも、最近それすらもいらないのではないかと思っている。
僕がそこにいることで、スペースが消されてしまうから。
そこに本来いるべき若手と被ってしまう可能性があるから。
まだ上手く言語化できていないのだけれど、自分がそこからポジションを変えることで、若手がそのスペースに飛び込み、活躍できる余地を作る。
そしてそのパスの出し手はマネージャーでなくてもいい。
そんなことを最近は考えているのである。
存在感を消すことの効用
これは「試合に出ない」ということとはちょっと違う。
もちろん監督のようにピッチの外から指示ができ、それに選手が的確に反応するというのが理想ではある。
でも、そこまでの境地にはまだなれていない。
ただ、存在感を消すというか、目立たないようにするというか、マネージャーの活躍で試合に勝ったよねと言われないことが重要なのではないか、と思うのである。
玄人だけがわかればいい、というか。
展開を作ること
多くのマネージャーはスペースを消してしまっている。
それもゴール前で。
そして若手が得点を決めない、上がってこないと嘆いている。
そりゃそうだ、と僕は思う。
お前がそこにいるから、スペースを消しているから、飛び込めないのだ、と。
そこからポジションを下げることで、若手がスムーズにゴール前に行けるような展開を作ること。
そしてパスの出し手も受け手も、マネージャーではなくメンバーであること。
それが重要なのではないかと考えている。
そこのけそこのけ
忌憚のない意見が出ないのは、僕たちおじさん(マネージャー以上の人達)がそこに居座っているからだ。
そのような羞恥心みたいなものを僕は持って仕事をしていこうと思っている。
「オレすげえええー!」ではなくて、すっとスペースを空ける。
そこにイキのいい選手が飛び込んでいく。
そういう仕事を僕はしたいのだ。
それではまた。
いい仕事をしましょう。
あとがき
今回の文章を書くことで、個人的には大きな発見ができたと思っています。
というのも、プレイングマネージャーから逃れることはできても、スペースを空けるまで行くのは結構難しいと思うからです。
ましてや、ボールを持たずにゲームを作ることはもっと難しい。
でも、それができた時、チームには「流れ」が生まれます。
間違っても自分自身が淀みとならないよう、気をつけて仕事をしていきましょう。